ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

体験アーカイブ第5期

2012年 9月 15日  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

掛け算表を書き下してみて、 割り算がいつできるのかと予想

実習2

証明すべく,主張を言い換える

実習3

素数の無限性をFermat数を使って証明

実習指導

 伊藤 哲史(准教授)

チューター

 佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)

 岡田 健(数理解析研究所 修士課程 2回生)

実施場所

 理学研究科5号館209号室

実習内容

 整数をnを法として同じものと見做した集合にも、整数と同様に足し算、引き算、掛け算ができることを前回学んだ。
 今回はそこで割り算ができるための必要十分条件が、 nが素数であるということを、 表を書くなどして手を動かして観察し、 途中で命題を言い換えるなどをして、 最後には証明することができた。 単射や鳩の巣原理などの少し高等な概念も用いた。
 また、素数が無限個存在することの第二の証明として、Fermat数を使ったものを取り上げて発表してもらった。

受講生の感想

  • 今日は始めからずっと専門教科の数学をやっていたが、全く疲れることはなく、むしろとても楽しかった。4時間があっという間だった気がする。 来週は前に出て発表することを目標にしたい。
  • だんだんと難しくなってきていますが、その方が楽しいです。改めて自分の研究の稚拙さに落胆しましたが、合宿のプレゼンでその研究の熱意が伝えられたらと思います。黄金比とρが...
  • 今日の内容もまた高度で難しかったですが、前回よりも理解できたように思います。最後に自分で証明を発表する時は想像以上に緊張しました。自分では頑張って予習してきたつもりでしたが、穴だらけなので悔しかったですが、チューターさんがやさしく教えてくださったのでよく分かりました。何時間もの間、密度の濃い数学の勉強を出来て幸せでした。
  • 今日も黒板の前で発表をした。先週に比べるとだいぶ慣れてきたし、言いたいことを正しく文章にできるようになった気がする。次回も頑張りたい。
  • 今日は合同式の割り算が出来る時について学びました。どんな時に割れるかは知っていましたが、詳しい証明は知らなかったので、今日のELCASで皆で例を黒板に書いて証明していく感じが楽しかったです。来週は皆の前で自分も発表するかもしれないのでしっかりと勉強して臨もうと思います。
  • 前回よりも理解できたような気がします。ただ、まだまだ分からない所もあるので、もう少し集合論に関して理解を深めて行きたいです。
  • 今回はmod.の世界で割り算ができるかを考えた。=> が言えるか、<= が言えるか、というのを突き詰めていって、やっと結論までたどり着くことができた。いろんな命題を、いろんな論理で => で結んでいくのが楽しかった。
  • 第1回目は高校では扱わない記号が多くてあまりついていけませんでしたが、 この二週間で少し慣れたので楽しくなってきてうれしいです。 理解するのに時間がかかったりするので、 次回までに復習しておきたいと思います。 2時~6時まで数学はしんどいかなと思いましたが一瞬で時間が過ぎました。
  •  

物理

実習1

超伝導の講義

実習2

超伝導体の磁気浮上の実験

実習3

高温超伝導体YBCOへの端子付け

実習4

超伝導体YBCOの抵抗測定

実習指導

 米澤 進吾(固体量子物性研究室 助教)

チューター

 梶川 知宏(修士課程 2回生)

 西村 佳吾(修士課程 1回生)

実施場所

 理学部5号館 115号室

実習内容

 最初に超伝導の歴史や原理、基本的な性質についての講義を行った。

 その後、今回実験に用いる高温超伝導体YBCOの説明をし、実際にYBCOを液体窒素で冷やして磁石を浮かべ、うまく浮かせる方法を考えるという実験を行った。

 最後に超伝導体のゼロ抵抗を観測するための方法(4端子法や温度計の種類)を学習した後、YBCOに端子付けをして冷却しゼロ抵抗の観測を行った。

受講生の感想

  • 液体窒素で冷やすだけで高温超伝導体の物質がマイスナー効果で浮いていた!スプーンに乗せてやるとすごく反発しているのが感じれて、良かった。YBCOの構造がCuとOがすごく規則的に並んでいて驚いた。YBCOを液体窒素で冷やして、抵抗の値をグラフ化していくだけで超伝導がよく分かってゼロ抵抗になったのも確認できた。今回は実験が多くて、高校ではまだあまり実験をしていないので楽しかった。こんなに液体窒素を使えないのでいい体験になった。
  • 生の超伝導を初めてみた。はじめて液体窒素に指を入れた。また、銀ペーストなんかをつかった作業もはじめてした。学校でははんだづけしかしたことがなかった。そして抵抗値をはかるのに4端子法という方法でやった。これは十分大きな電流に対して小さい電流を無視してもかまわないという方法で、極限の考えかたとよく似ていると思った。十分に大きなものに対して小さいものを無視できるというこの考え方は他にも役に立ちそうだと思った。また、量子化された磁束が複素函数で表されることと深く関係があるという話があったが、数学の上に物理が成り立つことを感じた。
  • 今日はELCASに来て初の実験をした。学校での物理の実験とは全然違っていて、端子を使って実験するのは初めてだった。超伝導という現象を電子回路を使って測定していくという作業はとても新鮮だった。(端子に超伝導体を直接ひっつけるというのにも驚いた)先生もおっしゃっていましたが、大学で理学物理といえば、やっぱり素粒子を思い浮かべてしまうが、超伝導もとても面白かった。超伝導のしくみについては疑問が残ったので家でしっかり復習したいと思う。
  • 初めて見る超伝導にとても感動した。私は、そもそも液体窒素を見るのも初めてだったので、初めからずっとわくわくしていた。最初のマイスナー効果の実験では、磁石が宙に浮いておどろいたと同時に、すごく興味がわいた。私は、まだ高校で物理を習っていないので、周りの人に比べて知識も少ないし、初めはとても不安だったが目の前の実験で理論上のことが本当に起こっていて理解しやすかった。YBCOのゼロ抵抗の実験では抵抗がだんだん減っていくのを見たりすることができてとてもおもしろかった。時間も忘れるくらい楽しかった。
  • 今回は、4時間フルで体験コースということで、たくさん実験をさせて頂けました。内容は、前回に引き続き超伝導についてのことでした。前回よりも深く、超伝導について理解できたと思います。特に興味深かったのは、マイスナー効果です。温度が下がるだけで、磁力に変化があるというのは、私にとっては新発見でした。マイスナー効果を実感するためにした実験は、なかなか難しくもありましたが、皆で楽しくやれて今回で交流も深められたと思います。わたしは、超伝導というのは聞いたことはありましたが、それがどんなものか詳しく知ったのは今回が初めてです。これからもELCASで様々なことを知っていきたいと思います。ありがとうございました。

宇宙地球

実習1

70cmシーロスタット望遠鏡(太陽館)の観測準備

実習2

望遠鏡を用いた分光スペクトルの撮影を試みている様子

実習3

太陽の自転速度を求める解析実習

実習指導

 北井 礼三郎(理学研究科附属天文台 准教授)

実施場所

 理学研究科附属花山天文台

チューター

 野津 翔太(理学部3回生)

 野津 湧太(理学部3回生)

ボランティア

 石井 貴子(理学研究科附属天文台 教務補佐員)

 柴山 拓也(理学部3回生)

実習内容

 実習全体の概要説明をした後、太陽館に移動しシーロスタット望遠鏡(太陽分光観測用)での観測準備を、適宜説明しつつ生徒達自身にやってもらいました。そしてまずは、太陽の赤道部分の東端と西端の分光スペクトルの撮影を試みました。(しかし運悪く撮影直前になって曇ってしまった為、今回は撮影は出来ませんでした。)

 その後は過去に天文台で撮影した太陽の赤道部分の東端と西端の分光スペクトルの画像を元に、ドップラー効果を用いて太陽の自転速度(~2[km/s])を計算してもらうという解析実習を行いました。

受講生の感想

  • 今日は太陽の自転速度を求めました。知らない公式を使ったりして初めは難しく感じましたが、親切に説明していただいたおかげで何とか実際の値に近い値が出せました。曇りだったせいで、元となるデータが自分達で取れなかったのは残念でしたが、自分の手で計算をして値を出した事で、実験・観察の面白さを味わえて、とても楽しかったです。
  • 今日は観測が出来なくて少し残念でしたが、また1カ月後に太陽が顔を出してくれる事を期待しています。後半計算で太陽の秒速を出したりしましたが、なかなかはじめは上手くいかなくて戸惑っていました。しかし慣れてきてちゃんと数値が出せるようになった時はとてもうれしかったです。実際に自分で数値を出してみると、太陽が身近なものだという事をより実感しました。次回はまた別の方法でやってみるという事でとても楽しみにしています。ありがとうございました。
  • 太陽の自転速度を観測値だけで求めれるとしって、驚いた。だが地球上で観測するにはどうしても誤差が出てしまうので、どこまで正確に求めれるかを試すのも、面白いかなと思う。また今日は友達も増えてとても楽しかった。次は3週間後だが、とても待ち遠しい。
  • まず天気が悪くて観測できなかったのが凄く残念だった。太陽の自転速度を求めるのは計算が多くて大変だった。なかなか計算が合わなくてもやもやしたけど、似た値が出たときは素直に嬉しかったし、達成感が大きかった。またこれを始めて求めた人は、改めて凄いと思った。でもこれも1つの方法であって、他にも求め方があるという事に凄く興味を持った。
  • 今日は太陽のスペクトルを使って太陽の自転速度を求めた。残念ながら曇っていて観測が難しかったので、パソコンの中に残っていたデータを使ってのものとなった。太陽の自転速度を求めるのは今までやった事がなかったのでちょっと途中で失敗してしまったが、最終的には追いついて値も誤差の範囲内に収まったのでほっとしました。来月は合宿があるので、それを楽しみにしています。

生物

実習1

位相差顕微鏡での細胞運動の観察

実習2

ImageJを用いた細胞運動の解析

実習3

タイムラプス撮影した細胞の集団運動

実習指導

 井上 敬(形態統御学教室 講師)

チューター 

  橋村 秀典(理学部4回生)

実施場所

 理学部2号館 202、213、B21号室

実習内容

 細胞の運動様式について簡単な概説をしたあと、多細胞動物の細胞で広く見られる仮足運動に焦点を絞って、原生生物(アクラシスと細胞性粘菌)の仮足運動を実際に位相差顕微鏡を使って観察した。顕微鏡をのぞいてみただけではわからない細胞の形態変化は、タイムラプス撮影によってはっきり認識できること、また、緑色蛍光タンパク質 (GFP) を導入した細胞を用いて、生きて活動している細胞の中における特定の分子の分布変化をリアルタイムで観察できることを体験した。一方、細胞性粘菌の多細胞化の各段階を実体顕微鏡で観察した。最後に、今回撮影した動画を材料として、ImageJを用いた画像解析の一端を体験した。

受講生の感想

  • 学校では光学顕微鏡しかなく、実験も少ないのでELCASでいろんな顕微鏡をみられるのはとても 面白いし、よい経験になりました。また、学校では絵でしか見たことがなかったタマホコリカビが見ることができ、学習してきたことと照らし合わせてみるとイメージと全然違っていてとても驚きました。 タマホコリカビはもっと速く動くと思っていましたがとてもゆっくりでした。やっぱり学校で勉強するだけでなく実際に見てみることも大切だなと思いました。私は顕微鏡を使うのが結構苦手だったのですが先生方のご協力のおかげでなんとかピントがあってよかったです。
  • 今回はタマホコリカビを実体顕微鏡で観察しました。私が見たのはムラサキタマホコリカビで、他にも赤色や黄色のものがあるそうです。単細胞生物が集まり多細胞生物になるというサイクルがずっと繰り返されるそうで、とても興味深い生物だと思いました。アメーバ状になって動きまわっている様子がおもしろかったです。単細胞生物から多細胞生物になるときにお互いがフェロモンでひきよせあい、1つの個体になる目安(何十個から何万個まで)が種類によって異なっているそうで、一体どのように認識しているのか不思議でした。2週間前も使用した共焦点顕微鏡でみた画像も素晴らしかったです。今回も貴重な体験をさせていただいてありがとうございました。
  • 2回目のELCASでは細胞運動を見、測らせてもらいました。今回の実習で最も印象に残ったのは、実体顕微鏡と生物顕微鏡の2種類を使った、細胞運動の観察です。トウモロコシの葉脈を観察したり、微生物の運動を観察し、スケッチをしました。微生物たちは思っているよりもかなり動くのでスケッチをとるのが難しいと感じました。また、細胞の中の物質の流れるさまをまじまじと見ることができて良かったと思います。前回にも共焦点レーザーについて学習したのですが今回移動体を見ることで改めてこの顕微鏡のすごさを実感しました。
  • 前回は、植物の細胞を見ましたが、今回は動物の細胞を見ることができました。口の粘膜の細胞を見たことはありましたが、生きて動いている細胞をみることができて感動しました。粘菌というものも観察しました。肉眼では見えないほどゆっくり動いていて、でも、一生懸命生きているんだなぁと思いました。実体顕微鏡での観察では上からの光源と下からの光源とで、見え方が全然違って、おもしろかったです。 ヒトをつくっている細胞は、広く見ればどれも同じものだと思っていたけれど、動き方で3種類に分かれることを初めて知りました。やはり、目には見えない小さな世界は、とても、奥が深いと感じました。 また新たに知識が増えたり、触れたことのある機具、見たことのある世界が増えてよかったです。次回も楽しみです。
  • 今回は顕微鏡の使い方を詳しく学んだり、顕微鏡で見たものを画像解析してもらったりしてそれを見せてもらったりした。粘菌の流れを見せていただいたりしたのですが、それがとても興味深かったです。アメーバをスケッチするのが難しかった。

化学

実習2

PLCで分離した化合物を取り出している

実習3

PLCのシリカから目的物を抽出し、ロータリーエバポレーターで濃縮している

実習3

精製した化合物の鏡像体過剰率をHPLCで調べている

実習指導

 橋本 卓也(有機合成化学研究室 助教)

チューター

 川又 優(修士課程2回生)
 林 裕美(修士課程2回生)

実施場所

 理学部6号館 763号室

実習内容

 前回の実験で合成した化合物をPLCで単離する。単離した化合物を核磁気共鳴法および質量分析法で目的物であるか確認する。精製した化合物の鏡像異性体過剰率をHPLCによって分析する。

受講生の感想

  • 今回の実験では、前回以上に普段接しない機械を使用することが多く新鮮でした。名前だけはよく聞いていましたが、使うのは初めてで、嬉しかったです。しかし、その原理など詳しくはよくわかりませんでした。実験で使うからには、ある程度理解しておくべきだと思います。少しずつでも勉強したいなと思いました。また、どのような結果になるかわからないまま実験をして、97 : 3くらいに分かれた結果を見たとき、自分で作った触媒ではないけれどやっぱり嬉しかったです。これが、自分でいろんなステップを踏んで苦労して作った触媒の結果だとしたら、喜びも一層だと思います。この時の気持ちを原動力に研究室の方は実験されているのだなと感慨深かったです。今回一番感動したのは、PLCの欠片をろ過するときに、空気圧をかけることで、一瞬でろ過できてしまったことです。チューブをつけるとすぐにセライトがからからになって、面白かったです。高校ではできないことなので、単純なことかもしれませんが、本当に感動しました。
  • 今日の実験では前回と比べ少しだけではありますが、慣れてきて手際よく動けたと思います。すきまの時間で様々な実験器具についても教えていただけてすごくプラスになりました。見たことのない機械にさわり、使えて、どのように、そして、何を知るために使うのかまでざっくりと教えてもらえて、"本物"の体験ができたと思います。 2週間前に理解しきれなかったこともだんだんぼんやりと分かるようになってすごく楽しかったです。私が選んだ触媒はたまたま"最強"というか1番結果が良くなるものだったようでHPLCで山がきれいにでて、すごく達成感がありました。でも実際にはもっともっとたくさんの触媒を手さぐりで試してえられる結果だというお話もしていただきました。有機化学は予想できないから大変だけれどだからこそ面白いんだろうなということは2回の体験で感じられたので有機化学には今すごく興味を持っています。 今回の実験では本当にたくさんの手順があって私にとっては新鮮なことばかりでした。予想できない、答えの分からないことも楽しみながらやっていける人を目指したいと思いました。
  • 前回に続いて、本当に楽しい実験をさせてもらった。PLCというクロマトグラフィーや核磁気共鳴法などやり方は複雑で正直、一体何をやっているのだとたくさんの疑問を抱いたが一つ一つ親切に教えてくれて本当に良かった。また、前回よりいっそう大学の雰囲気を感じとれたし、なじめて、嬉しかった。研究室で研究している先生たちもみんな、気軽に話しかけてくれて、緊張感が薄れて、リラックスして実験できた。とても充実した一日だった。
  • 今日は2週間前の実験のつづきでした。最初は実験の値がうまくグラフに出ず、やり直すことになりましたが、2度目は手際よくゴミを除去することもでき、無事グラフもうまく値がでてくれてうれしかったです。これも丁寧に教えて下さったTAのおかげでした。ありがとうございます。これからも実験をうまくこなしていけたらと思っています。

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