ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

体験アーカイブ第5期

2013年 2月 16  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

Basel問題をもう一度皆で分担して証明した。今回はプレゼンを意識して話し方を工夫していた。

実習2

早速スライド作りに取り組む。

実習3

パソコンとにらめっこ。

チューター

 佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)
 横田 真秀(数学教室 修士課程 2回生)

実施場所

 理学研究科3号館109号室

実習内容

 ELCAS修了合宿ではζ(2)=(π^2)/6という等式(Basel問題)について発表する事が前回決定していた。今回はまず、“スライドの発表でどこをどう話すか”を考えながら、皆で分担してBasel問題の証明を復習した。その後はひたすらパワーポイントでのスライド作りを行った。慣れない作業だったとは思うが、皆真剣にパソコンに向かっていた。

受講生の感想

  • ほとんどの時間を、パワーポイントの作成のための準備に使いました、数学班以外の班の人に聞いてもらうという事で難しい用語などを出来るだけ分かりやすく説明するところに力を注ぎました。プレゼンテーションが上手く行くといいと思います。
  • 発表が思ってた通り、予想以上に大変だという事が分かりました。少しでも分かりやすく伝えられるよう頑張ります。
  • 皆でζ(2)の発表の準備をしました。他の分野の人たちにも分かってもらえるように、頑張って発表したいと思います。
  • スライドの作成は初めただったので大変でしたが、何とか形になってよかったです。発表は緊張しますが、最後の一日なので楽しみたいと思います。
  • 頑張って発表したいと思います。
  • 今回、最終回という事でプレゼンテーションの準備だけという事になってしまい、若干、残念な気がしました。ELCASの半年間楽しかったです。

物理

実習1

今回の実習で用いるNaIシンチレータ検出器。

実習2

ガンマ線のスペクトルを計測。

実習3

エネルギースペクトルを理解する。

実習4

鉛板による遮蔽効果をグラフにプロットして傾向を調べる。

実習指導

  藤岡 宏之(原子核・ハドロン物理学研究室 助教)

チューター

 時安 敦史(博士課程 5回生)
 森津 学(博士課程 4回生)

実施場所

 理学部5号館 東棟 

実習内容

 NaIシンチレータを用いてガンマ線の測定をおこなった。環境放射線および60Co, 137Cs の放射線源からのガンマ線を計測し、核種により決まった特定のエネルギーのガンマ線が放出されるため、そのエネルギーを決めることにより核種が同定できること等を学んだ。複数のガンマ線のピーク位置を用いて検出器のエネルギー較正をおこなった。また鉛板の厚さを変えてガンマ線の遮蔽効果について学んだ。

受講生の感想

  • 放射性物質 137Cs, 60Co, 40K から放射されるγ線のエネルギーの測定をして、またその結果から様々なデータを得るという事をした。直接γ線のエネルギーを測定するのではなく一度シンチレータで電気信号に置き換えてから計測するので、その変換式などを実際に計算して求めた。鉛によるγ線の遮蔽は鉛の厚さごとに対数グラフに示すと近似直線になって非常に興味深かった。
  • よく考えた。今までで一番考えた。自分でやってみると分かることも多くなると思った。片対数グラフ実はよく使われるもので、指数函数が自然界にある一端を垣間見た。そしてまたコンピュータを使った。コンピュータは欠かせないものなんだと思った。知識が向こうからやってくるのではなく、考えるのもおもしろかった。というかこっちの方が楽しい。
  • 今日はγ線を電子に変えてグラフと変換率を求めるという実習だった。ELCASの締めくくりの実習として最高の題材だったと思う。これまで学んだことを考えながら取り組めたし、今までの中で一番理解を深めることができたと思う。ELCAS全体としては、すごくエキサイティングだった。新しく知ることがとてもたくさんあったし成長したと思う。一つの話を聞いただけで疑問がたくさん浮かぶようになり、前にも増して好奇心が大きくなったように思う。貴重な経験をさせていただいてありがとうございました。本当に楽しかったです。
  • 今日はγ線の続きでパソコンを使ってデータ処理をおこなった。グラフに表すとき片対数のグラフと初めて出会った。難しいところもあったけれどおもしろかったし、物理について深められたと思う。
  • 今回は前回に引き続き、原子核ハドロン研究の実験の体験をさせて頂きました。内容は、γ線を測定することによって、異なる三つの物質の特定と鉛のγ線に対する遮蔽性を調べるというものです。最近は東日本大震災の福島原発の事故などもあり、放射性物質関連の事柄をよく耳にしていました。なので、今回の内容は非常に興味深いものでした。今まで半年間ELCASを運営してくださった方々、お世話になりました。本当にありがとうございました。ELCASで得たものは私の人生にとって大切なものになったと思います。
  • 今回の実習ではγ線を測定し、その数とエネルギーの関係について調べた。また、鉛で遮るとその厚さでどのように変化するかも調べた。パソコンや電卓を用いたが、自分でその法則について考えるのは楽しかった。対数については習っていなかったが、今回の実習で理解することができた。
  • γ線を測定する実習だったが結構コンパクトな装置で正確に測れてすごい。また遮蔽をするときに倍々でしているのに対数関数が出てきて驚いた。対数関数の知識をもっと得てもう少し詳しくわかればいいなと思った。

宇宙地球

実習1

動画や写真、グラフやイラストをふんだんに用いたスライド講義の様子。

実習2

赤外放射の選択的吸収を感じるためのキッチン実験でのひと場面。生徒達が放射温度計を向けて、フライパンやガラス表面の温度を測定している。

実習3

気象学研究室で展示している微気圧計の観測データを解説をする様子。ソ連が行った水爆実験の衝撃波を和歌山県潮岬でとらえている。

実習指導

 余田 成男(気象学研究室 教授)

チューター

 瀬尾 卓(理学部 4回生)

実施場所

 理学部1号館 462号室

実習内容

 多くの分野が複雑に絡み合う地球温暖化という問題を、理学の観点からとらえ、その基礎知識を紹介した。さらにそれに関して、赤外放射の選択的吸収やカオスに関する実験を行いその理解を深めた。また、気象学研究室を訪れ、その設備を見学した。

 講義の前半では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告にもとづいて地球温暖化に関する現在の知見を確認しながら、その基礎理論を紹介した。その中でフライパンとガラスを用いて実験を行い、赤外放射を実際に肌で感じ、さらにそれがガラスに吸収されることを実感した。

 講義の後半では、気候システムの近年の状況と、数値天気予報や気候予測の仕組みと問題点を紹介した。その中で、電卓を用いた実験を行い、計算機の精度とカオスを体験した。

 最後に、温暖化予測の不確実性に関して、いくつかの立場や観点を紹介し、「自らが考える」ことの重要性を強調して講義を締めくくった。

 また、講座の中盤では、気象学研究室を訪れて、貴重な展示物や実際に運用している計算機を見学した。

受講生の感想

  • 地球温暖化は今世界中で話題だけどこんなに複雑だとは思ってませんでした。ELCASは今回で最後だけどこれからもいろんなことを学んでいきたいです。
  • 最終の実習だった今回は、地球温暖化とは何かについて学びました。「温室効果ガス」や「気候変動の予測」のような日常生活で聞いたことのある言葉がどういうものなのかや、天気予報がどのように数値計算で導かれているのかなど学びました。また、いくらモデルを完璧なものにしても観測条件との違いによって結果が一致しなかったりすることを知りました。不確定な情報でも活用していくことが大切なのだなと思いました。
  • 今日は地球温暖化と気候の予測について学びました。いろいろな計算機を使用した精度実験では、計算のはじめの方でつまづいてしまいましたが、桁数によっては結果が真逆になってしまうことを知り、実際の気候予測においても不確実で大変なものだと驚きました。地球温暖化もつきつめていくとまだまだ考えなければいないこと多いと感じました。小学校のときに天気について自由研究をやりましたが今日の講義で、知らないことだらけで未熟だったと思いつつ、より興味を持てたので良かったです。ありがとうございました。
  • 今日は地球温暖化について学んだ。地球のかんきょうが人間によってかわってきてこれからの天気や環境を予測することがむずかくなるそうだ。これから人間は環境を意識するとともに計算技術などにも力をそそいでいかねばならないと思った。
  • 難しい内容だったけれど、これからの将来に役に立つことばかりだなぁと思いました。地球温暖化や海氷面積の減少など、解決していくべき問題が山積みだなぁと思います。
  • 今日がさいごだと思うとちょっと残念だ。やっぱりもっとあってほしかった。今日は地球温暖化についていろいろしれてよかったと思った。
  • 地球温暖化の問題は以前から興味があったので今日の話はとてもおもしろかったです。電卓を使ったカオスの実験によって、その予測の難しさを感じることができ、改めて複雑な問題だということがわかりました。

生物

実習1

講義中

実習2

卵の殻に窓を開け、胚を観察する。

実習3

胚の心臓にインクを注入し、血管の走行パターンを観察する。

実習4

暗室にて、蛍光顕微鏡により遺伝子操作された胚を観察する。

実習指導

 高橋 淑子(動物発生学研究室 教授)
 田所 竜介(動物行動学研究室 助教)

チューター

 安江 泰治(博士課程 3回生)
 村井 英隆(博士課程 3回生)

ボランティア

 吉野 剛史(ポスドク)
 高瀬 悠太(博士課程 3回生)
 熱田 勇士(博士課程 3回生)
 川地 輝明(博士課程 1回生)

実施場所

 理学部2号館 422号室

実習内容

 発生生物学講義およびニワトリ胚の観察。発生2、3、および4日目の胚を実体顕微鏡下で観察し、発生にともなう形態の変化を確認する。さらに、胚の血管中にインクを注入することにより血管のパターンを、透明骨格標本により軟骨と硬骨の形成過程を観察する。また、蛍光タンパク質発現遺伝子(GFP)を導入された胚を観察する。

受講生の感想

  • 今回は動物発生学の実習でした。鶏卵を用いて発生2日目のものから順に中を観察していきました。心臓がドクドクと動いているのがよく見え、こんなに小さな生物が精一杯生きているのだと思うととても感動し、生命の神秘を感じました。脳、脊髄などの器官ができていく様子がよくわかり、手・足・目のもととなるものを観察することができました。最後に血液中にGFPを導入し、血管のはりめぐらされ方を見る実験では残念ながら成功しませんでしたが、生物班の中に成功した人が2人もいて、すごいと思いました。透明標本をたくさん見せていただけたのがとてもうれしく、完成度の高さに驚かされました。学校でも作成しているのでコツなど詳しい作り方を教えていただけてよかったです。本日はありがとうございました。
  • 最初、この実習には物理で入ろうと思っていまたのですが、高橋教授の講演を聞き、その場で生物に変えました。そんな話も面白い教授に最後の学習講座をしていたただいて本当にうれしかったです。最後にニワトリの二日目胚の心臓にうまく蛍光塗料を注入できてよかったです。脳を流れる血液までもを見ることができて驚きました。
  • 今日はニワトリの卵を使って発生段階の様子を見ました。卵に穴を開けて注射器で白身をぬく作業が楽しかったです。回数を重ねるたびに少しずつ手際がよくなってきて、色々収穫することができました。卵は、2日目から見始めて、体節の数を数えるのに結構苦労しましたが、数えてすっきりしました。あと印象に残っていることは、心臓がドクドクしてて、見ごたえがありました。あと、目がかわいかったです。今回はこのような、とても貴重なことをさせていただいてありがとうございました。今日でELCASの実習は終わってしまうのでさみしいです。
  • 今日は、今までで一番実験というかんじのする講座でした。動物発生学の研究室でニワトリの卵の中身の観察をしました。発生2日目、3日目、4日目の卵をあけて観察します。まず、小さな穴を空けて白身を吸い出します。それから窓を作って中身が見えるようにします。黒いインクを入れると、もっと見えやすくなりました。ヒトは、生まれてくるのに10ヶ月かかるのに、ニワトリは、温めて約3週間で卵からかえるそうです。確かに、2日目のと3日目、4日目で成長するのがとても早かったです。心臓が動いているのも、体節があるのもとてもよく見えました。そのあとに、血管に蛍光インクを注入しました。きれいに血管や血液の流れる様子が見れました。すごくきれいで面白くて、いつまでも見ていられるなあと思いました。とても楽しい実験でした。ありがとうございました。
  • ニワトリの卵をあんなにじっくり見たのははじめてだったのでとてもおもしろかったです。1日目~4日目までの変化がよく分かりました。血管の動きなどもよくみえて楽しかったです。いろんな不思議な現象がたくさんおこっていて神秘的だなぁと思いました。実験では自分で炭を入れるのがなかなか難しかったです。何度もやっていくうちに手順なども覚えていくことができ、少し研究の雰囲気を味わうことができました。今日で最後となってしまうのがとてもさみしいです。またここでの経験も将来に生かしていきたいです。本当にありがとうございました。
  • ニワトリの胚の時間の経過による変化とメカニズムに関しての体験学習でした。短時間での「生命の誕生」からその成長の過程を観察し安い言葉ですが「生命の神秘」を感じました。また、研究を少し経験して「生物学」の入り口を少しのぞいたような気がしています。個人的な話になりますが、説明をしてくれた方がとてもわかりやすくてラッキーでした。こんな研究者になりたいものです。最後の体験学習コースにふさわしい、面白く、将来を考える機会になりました。ありがとうございました。京大理学部に入りたいです。入れて下さい。

化学

実習1

粉末X線結晶構造解析装置

実習2

スピンクロスオーバーにより、Fe(pyridine)2Ni(CN)4の粉末の色が、黄色から赤に変化した。

今回合成した2次元混合金属錯体、{(NBu4)[MnCr(ox)3]}x

実習4

磁気天秤の原理についての解説

実習指導

 前里 光彦(固体物性化学研究室 助教)

チューター

 橋口 良太(修士課程 1回生)

実施場所

 理学部4号館101号室、6号館 563号室

実習内容

 前回合成した錯体、Fe(pyridine)2Ni(CN)4について粉末X線結晶構造解析を行い生成物の同定を行った。また、この錯体を液体窒素で冷却しスピンクロスオーバーによる色の変化を観察した。さらに、新たに2次元混合金属錯体、{(NBu4)[MCr(ox)3]}x(Bu = n-butyl, M = Mn, Co, ox = oxalate)を合成し、粉末X線結晶構造解析による生成物の同定を行った。またこの錯体について磁気天秤を用いて磁化率を測定した。

受講生の感想

  • スピンという言葉すら聞いたことがある程度だったので、今月の体験は楽しみにする気持ちの反面、不安な思いもあったのですが、丁寧な説明のおかげで、体験を楽しく終えることができました。色々合成させていただいたいので、たくさんの物質を見、扱い、大変勉強になりました。合成した遷移金属錯体の確認でX線を使ったり、磁性を測るために磁気天秤を使ったり、ELCASでないとできないようなことができました。また、今回は色を見るのもメインでやることとしてあって、先々週作っておわってしまっていた錯体が温度変化により、スピンクロスオーバーがおこって色が黄色から赤へがらっと変わる様子には感動しました。
    ありがとうございました。
  • 今回は、まず前回合成した物質をX線で測定し、本当につくりたいものができているのか調べました。次に、2種類の遷移金属錯体を合成してみました。2種類の遷移金属のスピンを同じ向きにして、磁石にするというものでした。最後に、遷移金属錯体を液体窒素で冷やしてスピンの状態を変えて、スピンクロスオーバーという実験をしました。色の変化にとても感動しました。
  • 今日は先々週のスピンクロスオーバー錯体の続きを行いました。
    先々週は生半可だった原理についても今日改めて説明を聞くことで、やっと他人に説明できるぐらいに理解できたので、良かったです。エネルギーの差の大小によってhigh spinとlow spinがそれぞれかわるが、両方を持つスピンクロスオーバー錯体を扱うと、冷却する以前と以後で、spinの状態がかわり、視覚的な違いになる、というのが確かめられました。今までの6回の実験の中で一番理解できて良かったです。今日はありがとうございました。
  • 磁力・電気・電子・光といった世界は、その場が目で確認しづらく、イメージがわきにくいのですが、今回の実験で、確かに温度に依存して物質の色が変化し、それがスピンの違いによるものだという説明にも納得ができました。普段あまり聞きなれない錯体を用いての実験で、何が起こっているのかよく把握できない場面もありましたが、物質の性質を理論的に計算し、実験して照合するという手順が面白いと思いました。AがBに変わるという変化の原因をこのような方法で研究するのが興味深いと思いました。
  • まず、先々週作った遷移金属錯体の結晶をX線で解析しました。以前のELCASでもX線回折を使ったことがあるので、より理解を深めることができて良かったです。今日はマンガンとコバルトの錯体を作ったのですが、マンガンは緑っぽい色、コバルトは紫っぽい色と、遷移金属のもつ色の多様性を目で確かめることができました。
    また、温度を低くすると、ハイスピンの状態からロースピンの状態に相転移する錯体があり実際にその様子を観察させてもらいましたが、うすい黄色から赤色に変化してとても驚きました。

過去の体験コース
2012年

9月1日

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