ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

体験アーカイブ第5期

2012年 10月 20日  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

群の定義やすぐに言えることの復習。右逆元は左逆元でもある。

実習2

群の元の位数を定義し、具体例として Z/7Z の乗法群の各元の位数を計算してみる。

実習3

Lagrangeの定理を示して素数の無限性の第3の証明を終える。

実習指導

 伊藤 哲史 (准教授)

チューター

 佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)

 岡田 健(数理解析研究所 修士課程 2回生)

実施場所

 理学研究科5号館209号室

実習内容

 群とは掛け算と割り算ができる単位元をもつ集合である。 単純な対象であるが、それ故に難しい。 前回に引き続き色々な具体例を織り交ぜながら、今回は新しい概念である、群の元の位数を定義した。この定義が妥当(well-defined)であることを示した上で、更に群の元の位数と群の位数の関係を表すLagrangeの定理を証明した。これを用いて、素数の無限性の第3の証明を終えることができた。

受講生の感想

  • いつも通り、難しかったです。宿題、頑張ってきます。
  • ついていくので精一杯ですね。4時間もやるとくたくたです。理屈では理解できてるのに感覚が追い付かない不思議な感じです。要復習ですね。
  • この間の証明の続きでした。少しですが、群のことを本で読んできたので、今回は分かりやすかったです。今度は凖同型のレポートがあるので、しっかり書いてこようと思います。
  • まだまだわからないことだらけで、難しかったです。ほとんどが抽象的、一般的で、想像するのに手こずりました。
  • 3つ目の証明の2回目の講座だった。6つある証明の中で一番短いものがこんなに複雑な話だとは思わなかった。ラグランジュの定理は抽象的で分からなかったので、Z/pZ の乗法群にあてはめて具体例で理解したいと思う。
  • 頭の中があまり整理できていないので、次回までには完璧に理解できているようにしたいです。分かっているつもりでも分かってない所がたくさんある気がします。
  • 合宿において、磯に行くとは、かつ、ぬれるとは驚きです。わかる事項とむずかしい事項が複雑に混じり合っている感じがくせになります。

物理

実習1

講義の様子

実習2

講義の様子

実習3

講義の様子

実習指導

 石野 雅也(素粒子実験研究室 准教授)

チューター

  加茂 直之(修士課程 1回生)

実施場所

 理学部5号館 302号室

実習内容

 最初に前回の講義の簡単な復習を行った。

 その後、データ解析ソフトのrootを使うために、rootマクロとC言語の簡単な説明を行い、簡単なヒストグラムの作成を行った。

 ヒッグス粒子が2ガンマに崩壊する過程から、質量を再構成をするために必要な変数の説明や、transverse energyの重要性を解説した。

 最後にヒッグスの質量125GeVの再構成をした。

受講生の感想

  • 前回よりも理解が深くなった。そして今回はつくられたデータを使って実習をさせてもらったがふつううはよりすぐられていないデータから見極めるのだからとても大変な作業だと思った。また素粒子がいちばん小さな単位たる実例の話、トランスファー平面に加えてZ軸への方向もつりあうということへにはとても興味がわいた。自分が想像したよりも理論の世界だと思った。何よりも楽しかった。
  • 今日はベクトルの話がでて、私は今学校でベクトルを習っているところなので感激した。自分がやっている数学がただ問題を解くということだけでなく、将来的には現実のものをあらわしていくんだということが、確認できる機会になった。素粒子のことはいろいろ調べてきたけれど、検出方法や解析方法を知ることができていかなかったので、新しいことをたくさん身につけられた。プログラミングはしたことがなかったので、すごく戸惑いもあったけれど、助けてもらって最後にはわかってきた。ELCASでは新しい経験をたくさんさせてもらえて楽しいです。
  • 前回の話で理解できなかった部分を自らヒストグラムを書くなどしてみることで、理解できるようになった。"Z方向のビームは一方向で動く"という話のところがとても興味深かった。私はまだ高校で物理を習っていないから知識が少なく難しかったが、最終的に出たグラフがきれいにできていてよかったし、達成感があった。今回はデータを頂いてその中から探していったけれど、また機会があれば個人的に挑戦してみたいと思う。
  • プログラムを作り、ヒッグス粒子の検出の方法を学んだ。プログラミングの作業は難しく、何度もチュータの方に助けていただいて(本当にすみません)、なんとか基本は押さえることができるようになった(気がする)。かなり内容は複雑だったが、最先端の物理学に触れられた気がした。しかし、これよりも現実は難しく、今回のように、分かりやすく出ることはないとチューターの方に聞いた。素粒子の研究の難しさを知るとともに、「なぜ陽子どうしの衝突ではxy平面では対称なのに、z軸は非対称なのか」という自分で考える楽しさを知った、充実した講義だった。
  • 今日、プログラミングの説明がメインで、その説明の途中でわからないところがあったのですが、質問することでかなり分かるようになったので良かった。、目には見えないフォトンとかを見つけて、さらにどこにとんだかを全てわかるのもすごいことだし、そのデータが本当にフォトンかを見極めて研究していくことでヒッグス粒子が見つかったので、とてつもない根気があったと思った。学者っていうのは専門分野に強いだけじゃなくてコンピューターにも強くなければいけないので、コンピュータープログラミングについてもっと知りたいです。

宇宙地球

実習1

分光スペクトルの画像をPC画面で確認

実習2

シーロスタット望遠鏡(太陽分光望遠鏡)の操作

実習3

自転速度を太陽画像から測る実習の説明

実習4

自転速度測定のために黒点の位置を測定する様子

実習指導

 北井 礼三郎(理学研究科附属天文台 准教授)

実施場所

 理学研究科附属花山天文台

チューター

 柴山 拓也(理学部3回生)
 野津 湧太(理学部3回生)

実習内容

 非常によい天気だったので、前半は太陽館にてシーロスタット望遠鏡を用いた観測を行いました。観測準備については、装置について前回の復習を行いながら、生徒達自身に行ってもらいました。そして、黒点部分や太陽の縁にあるプロミネンスをスペクトル(Hα線など)で観察するとどのような特徴が現れるのか、分光観測から太陽屋や星についてどういう物理が分かるのか、実際にスペクトルの画像を見ながら、学習しました。

 後半は、太陽の画像(飛騨天文台で撮影)を用いて、黒点などの日毎の移動の様子から太陽の自転周期を計算してもらうという解析実習を行いました。緯度毎に自転周期の異なる「差動回転」の様子についても学習しました。

受講生の感想

  • 明後日からテストなのでくるか迷ったけど、来て良かったです。今日は太陽の回転の速さを求めました。地球も動いているから少し違うらしいけど、求めた値がだいたいあってて良かったです。
  • 前回欠席したので光のスペクトルを初めて見て感動しました。また、スペクトルによって黒点やプロミネンスを観測したり、自転速度まで分かってしまうので驚きました。太陽の黒点によって太陽の自転日数を求めるときに、プロットを間違えたり日付を単位換算するのがとても難しかったです。
  • 太陽の表面では色々な事が起こり、興味が尽きない。今日は、プロミネンスが起こった所を見た。太陽の磁場のせいで、表面に雲のようなものが見えた。また、今日も頭の痛くなる計算をした。一足遅れて皆に追いついた。疲れたけど、感動は大きかった。
  • 今日はやっと晴れた天気で太陽スペクトルの観察が出来て良かった。太陽の自転周期を求めるのに違うやり方を知れてよかった。
  • 今日は黒点の移動によって、太陽の自転速度を求める事をした。
  • 今日は太陽スペクトルの観察と自転にかかる時間を求めました。スペクトルは初めて聞く話でとても興味があり、昔聞いた一本教授の話とリンクすることもありました。自転は昔もやった事がある計算で復習のような感じでした。 
  • 今回は、前々回(9/15)の実習では綺麗に観察できなかった太陽をはっきり観察することが出来ました。黒点もしっかり見られて良かったです。実習の後半では、その黒点を使って太陽の自転周期を求めました。これも前々回にドップラ効果を使って求めましたが、今回は全く違う方法で求める事が出来ました。計算は複雑で苦労しましたが、自分で計算して求める楽しさを感じることが出来ました。

生物

実習1

実験に使った植物の形態の観察

実習2

各種光源のスペクトル測定

実習3

光屈性の様子

実習指導

 長谷 あきら(植物生理学研究室 教授)

チューター

 大西 功人(修士課程1回生)
 小林 幹康(修士課程1回生)

実施場所

 理学部2号館 107号室

実習内容

 植物が光を通じて自らのおかれている環境を感知し応答していることを、解説を交えながら観察してもらった。

 植物が光に応答する際、波長に応じて異なる応答をする例として、シロイヌナズナ暗所芽生えの光屈性とフックの解消の観察を行った。

 それに平行して野外での環境による光の性質の違いや、自然光と人工光との違いを知ってもらうため、太陽光と単色光のスペクトルの測定•比較を行った。

受講生の感想

  • 今回はシロイヌナズナを使って光屈性とフックの解消の実験、光スペクトルの測定をしました。植物に一定方向から光を当て、茎が曲がる かどうかを観察して、赤色の光は反応しませんが、青色の光では屈曲が起こっていました。フックの解消は赤色、青色の光ともに反応し、暗所では解消が起こら ない理由が植物が土の中では成長点を守らなければならないということ、土から茎が出た時は光があたるため、解消が起こり葉が開いていくのだと言うことを教 えていただきました。光スペクトルの測定は太陽光(日向、日陰)・赤・青・緑の光をそれぞれスペクトルラディオメターで測定し、波長の違いがよくわかりました。白い光が様々な光がまざっているそうです。今回の実験はちょうど学校で習っている範囲だったのでより理解が深まり本当にいい経験になりました。あり がとうございました。
  • 今回のシロイヌナズナのフックの解消について、実験結果はあまりよくなかったが、全体像をつかむことができただけでもよかったと思う。まだ物理をとっていないのでよくわからなかった光のスペクトルについても良くわかったし、植物の好きな光などもわかった。とても理解しやすく、たのしい研究室だと思う。
  • 今回も、身近な植物に注目した実験をしました。光にはさまざまな波長(色)があります。その色のそれぞれに植物にもたらす働きがあることを知りました。青い光にあてると光屈性で茎が曲がり、フックという、仕様を頭とみると猫背のようになっている状態が、まっすぐになります。人の目には普通みえないくらいゆっくりだけど、しっかり動いていて、その変化がすごくおもしろいなぁと思いました。そして植物は緑の色をあまり感じないということに驚きました。植物自体がほとんどの場合緑色だから、それと何か関係があるのかなと思いました。とてもおもしろい実験でした。次回も何をするのか楽しみです。
  • 今回は主にフックの解消というものと、光の波長によって色が変わるなどの実験をしました。植物は光の色(波長)に大きく影響されると言うことがわかってとても興味深かったです。
  • 今日は最近に光屈性の観察をするためにセットからしました。暗い部屋に入りました。不気味でし たけど、結構楽しかったです。外に出て太陽光のスペクトルや人工的な光のスペクトルを測りました。外に出た時、蜂がいました。鳥っぽい蜂でした。室内で は、LEDの光を当てて青と赤と緑にああいう、波長があると思いませんでした。
  • 光屈性は生物、スペクトルは物理でちょうど今学校で習っているところだったので学校で学んだことの裏付けができ、ためになりました。学校では習っていても実際にはできないことが多いのでとてもいい経験になりました。光の波長によって植物の反応がさまざまになるのはとても不思議でおもしろいなと思いました。また、フックがやや動いていてよかったです。フックについてはあまりよく知らなかったのですがどのうようなものなのか、どういう反応をするのかよく分かりました。またこれからもいろいろな勉強をしていろんなことを実際にみてみたいです。

化学

実習1

PC室にて実習内容の説明

実習2

測定データを処理する手法の説明

実習3

解析(タンパク質の構造構築)中

実習指導

 竹田 一旗(生物構造化学研究室 講師)

チューター

 丹羽 智美(理学部4回生)
 岸本 麻子(修士課程2回生)

実施場所

 理学部6号館 459号室

実習内容

 タンパク質のX線結晶構造解析を体験してもらうために、リゾチームとバクテリオロドプシンの構造解析を行った。専用の解析ソフトを用いて、電子密度からタンパク質座標を決定し、得られた構造をもとに、タンパク質の立体構造の特徴について考察した。

受講生の感想

  • 今日はリゾチームの構造を見ました。初めの計算は複雑で、よくわからないことも多かったのですが、どうしてそういう計算をするのか、ということについて分かりやすい説明をしていただけたので勉強になりました。計算後、側鎖を電子密度に当てはめるところは3Dのパズルのようですごく面白かったです。芳香族アミノ酸以外にもいろいろな種類のアミノ酸でやらせていただきました。自動モデリングを経てきれいになったモデルと基質の様子をみると、糖が切れる様子が良く分かりました。リゾチームだけでなくバクテリオロドプシンの構成まで見せていただき、本当に充実した体験でした。ありがとうございました。
  • 普段パソコンをあまり使うことがないので、扱い方が難しかった。リゾチームを電子密度に合わせてアミノ酸を当てはめていく作業に初めは手間取ったが、だんだん慣れてきて楽しかった。特に、糖鎖を当てはめるのは難しく、なかなか自在にコントロールできなかった。2週間前に作った結晶が大きくきれいな姿になって嬉しかった。タンパク質についてまだ知らないことが多いけど今回たくさんのことを目に見て知りとても勉強になった。
  • 今回は、モデルタンパク質の構造を知りたいたんぱく質の構造に近づけるということをしました。その際、コンピュータを使うということで、最初は戸惑いましたが、作業をしていくうちに慣れていき、今何をしているのだと思うこともありましたが、最後には何をしているのか分かりました。前回作ったリゾチームの結晶を見てみると、前回では味わえない感動をしました。
  • 今日は分子置換という方法でバクテリオロドプシンの結晶格子をコンピューターのソフトを使って表しました。コンピューターのコマンド操作からCOOTを使った構造の修正まで全く無知のことばかりだったがTAの方にに一から教えてもらい、最終的にはなんとか要領を掴んでソフトを使いこなすことができました。アミノ酸という普段身近なものもこんなに複雑な構造をしていることが驚きでした。この体験を将来研究するときに生かしたいと思います。今日はありがとうございました。
  • 先週の結晶と比較して、そのまま大きくしたように育っていて感慨深かったです。当たり前のことですが分子が整然と並んでいることを実感しました。バクテリオロドプシンは、分子と分子の結合が正六角形なのが、結晶の形からもうかがえて興味深かったです。分子の構造決定は,手間と時間がかかりそうなイメージがありましたが、意外と機械的な作業でもあり驚きでした。ありがとうございました。
  • 今回はパソコンを使ってリゾチームの解析をしました。自分で側鎖を当てはめる、という作業を行ったのですが、分子のモデルに合わせるのがとても難しくて大変でした。TAさんが軽々と作業をする姿がとてもかっこよかったです。自分も慣れることができるかな、と思いましたが、何回やってみても上手くいかなくて、少し悔しかったです。今回はタンパク質の深い部分まで知ることができて良かったです。タンパク質の結晶の写真を記念にもらったので、大切にしておきたいです。

過去の体験コース
2012年

9月1日

  9月15日
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2013年
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