ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

体験アーカイブ第5期

2012年 12月 15日  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

Fermatの小定理の証明2. 数珠順列によるもの

実習2

Fermatの小定理の証明3. 二項係数によるもの

実習3

博物館監視問題. 部屋を三角形に分割する

実習指導

 伊藤 哲史(数学教室 准教授)

チューター

 佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)

 岡田 健(数理解析研究所 修士課程 2回生)

実施場所

 理学研究科5号館209号室

実習内容

 今回は「天書の証明」から各々が気になった問題を調べてきて、 発表してもらった。 次のような内容だった:

birthday paradox.23人のクラスには1/2以上の確率で同じ誕生日の人がいる。人数が少なくても、 同じ誕生日の人がいる確率は直感よりも大きい。

平方剰余とFermatの小定理.Z/pZ の構造を調べた。

n種類のものを1つずつランダムに収集するとき、 コンプリートするために必要な回数の期待値はどれくらいか?

博物館監視問題.n枚の壁をもつ博物館を監視するには何人のガードマンが必要か?

受講生の感想

  • 今週は私が証明すると思ってなかったので、しどろもどろで申し訳なかったです。色々途中で教えて下さってありがとうございました。最終的にうまくいったので良かったです。また次回までに何か証明をやってきたいと思います。
  • 今回はいろいろな内容を扱って、今までで一番充実した回だった。
  • 充実した1日でした。
  • 充実していたと思います。定時で終わったことが驚きです。
  • 今日は特に楽しかった!! 次回の伊藤先生の講演とても楽しみです。

物理

実習1

:光の波動説を説明しているところ

実習2

光速の観測の実験を説明しているところ

実習3

光速不変の仮定の下、高校生どうしが「同時」の相対性を議論している。

実習指導

 小林 達夫(素粒子論研究室 准教授)

実施場所

 理学部5号館525号室

実習内容

 特殊相対性理論へつながる入門的な内容をゼミ形式で行った。具体的には、マイケルソンーモーレーの実験、光速不変を仮定した場合に、同時性が相対的であること、運動している時計はゆっくり進み、長さが縮むことなどを議論した。

受講生の感想

  • 今回の体験学習は、いつものものとは違い、自分たちで説明し合うというものでした。相対性理論は、名前はよく耳にしますが、詳しい内容まではよく知りませんでした。ですので、今回は自分で説明することによってより理解を深めることができ、よい機会となりました。他人に説明するというのは、自分だけが理解するのとは違い、より深い理解が必要となります。それに、質問をされたりするとそこでもまたより深い理解が必要とされます。今回は、よい機会をありがとうございました。この経験を生かして、友達にも相対性理論の説明をしたいと思います。
  • 今回のELCASに向けて自習をしてきたが、そこでニュートンの運動の法則の表す意味を感じ取って、とても興味深く思った。ベクトルや微分など未習の分野でも、その美しさのようなものが、分かった。特に複雑な演算を経て、シンプルな式に変形されるところは物理の美しさを表していると思った。また、相対論というとても難しいイメージがあったが、イントロダクションとはいえども、その概要を聞いてみるといたって分かりやすかった。もっと、これは自分たちで講義し、教員にも教えていただいたからだろう。今日は物理の楽しさを再確認できた、充実した一日だった。
  • 予習の段階では、一体何が起こっているのかおぼろげにしか分からないまましていたが、今回の授業で説明してもらうことによって再確認ができ「おおっ」となってすごいことが分かりもっと学んでみたいと思った。また前にでて説明することで自分が分かっていなかったことが分かって勉強になった。また思考実験を考えて理論値をだすということを考えたこともなくて考えだした人はすごいと思いました。
  • 自分で説明すると、わからないところがはっきり出てくるし、他の人の説明を聞くことで、分かったりするので、今回は普段のように研究室にはいきませんでしたが、かなり意義はあったと思います。相対性理論はやはり少し難しく、光は時間、速さと長さの概念にまで話が及び、ちゃんと理解するのは大変でしたが、みんなで議論したり、質問し合ったりすることができたので、理解も深まった。とても楽しかったです。
  • 今日はアインシュタインの特殊相対性原理の本を読んで、皆の前で発表するという形で学びました。自分は少し難しい説明をしてしまって、皆ポカーンとしていました。説明することは難しいと思いました。数学的な壁は大きかったです。本題に入るまで(今回の)に多くの時間を要し、今回の内容が今までの科学(物理学)の発展してきたその先っぽなのだと感じました。
    ちなみに理論の研究は僕の進路第1候補なので、いつもよりたのしかったです。高校でもこの回にあつかったようなことをできればいいのにとおもいました。高校の物理(数学も)かなりごまかしているとあらためて思いました。
  • 今日は、ゼミ方式という形だったと思うけど、本当に難しかった。まず自分が理解していないと説明できず、私はあまり理解できていなかったのできれいに説明することができなかった。相対性理論で何が証明されているかについては知っていたが、どうやって証明されたかについては知らなかったので今回は想像していたより大変だった。また、こうやって証明のプロセスをきっちり見ていくことは自分一人でやるには難しすぎてできなかったと思うので、とてもよい機会になりました。ありがとうございました。
  • 家で本を読んで学習していた時に比べて、理解がもの凄く深まったと思う。まだ、数学でも物理でも習っていなかったのでニュートン力学の辺りは特に難しかったけれども、等式が成り立つ理由を考えて少しずつ分かっていくことがとても楽しかった。自分の発表したところも質問されて「あっなるほど」となるこころが多く深く理解できたと思う。資料を配られたときは難しくてわーとなってすぐに眠たくなったりしたが、今日ではとても楽しく受けられた。光の波動説などのところはすごく興味深かったし、これからも学んでいきたい。

宇宙地球

実習1

実習内容についての説明 

実習2

イオンクロマトによる測定

実習3

イオンクロマトの結果を用いて、海水温を推定している様子

実習指導

 渡邊 裕美子(地球テクトニクス講座 助教)

 田上 高広 (地球テクトニクス講座 教授)

実施場所

 理学部1号館 532号室

実習内容

1.古気候学についての説明

2.沖縄県・石垣島で採取されたサンゴを酸分解し、その化学組成(Mg & Ca濃度)をイオンクロマトグラフにて測定

3.サンゴの化学組成から海水温を計算

4.結果のとりまとめ、ディスカッション

受講生の感想

  • 今日はサンゴから海水温度を求めた。サンゴの成分を抽出するときにいろいろな化学的操作をしたのがとてもおもしろかったです。また、休み時間に教授の部屋もみれてよかったです。
  • サンゴの成分を調べて、そこから海水温を求めるということで、初めは全くやり方が分からなかったのですが、何とか海水温を出すことができました。その当時に気象観測をしていなくても、海水温を出せるというのは面白いなと思いました。また、実験の待ち時間に大学の建物の中を見学できて楽しかったです。
  • 最近学校でmolとかやっているけれど、今日使おうと思ったら、すごくむずかしかったです。サンゴの成分から海の温度がわかって、今の科学はすごいと思います。次の授業も楽しみだなぁ~と思いましたね。
  • 今日は、実際のサンゴの粉末をイオンクロマトグラフにかけて、そのサンゴが生きていた時の海水温を計算しました。同位体の量を調べると、海水温や気候を測定できるということに驚きました。また、クロマトグラフにかけている間、教授のお部屋を案内していただきました。様々な鉱物や食べられる石(石を真似たおかし)を見せていただいて、ともて興味深かったです。
  • 今日は、サンゴの化学組成の測定を行い、データ処理をして海水温度を求めました。計算するのは少し大変だったものの(途中から電卓を使いだした)、最終的に温度を出すことができたので良かったです。ただ温度計を使うのでなく、このような方法でやってみると、また新たな視点で対象を見て考えることができたため、とても面白いと思いました。また、先生の研究室にお邪魔しましたが、興味深いものばかりでした。ありがとうございました。
  • 初めて、何かと何かを混ぜたりする実験をしたが、とてもおもしろかった。実験室もこんなんかーと思った。30分の休けいの時に入った教授さんの部屋がすごくおもしろく魅力的だった。世界各国の様々な岩石や土産物がすごく印象深かった。

生物

実習1

生物由来の色素。左から、PYP、葉緑体、バクテリオロドプシン、ヘモグロビン。

実習2

測定・観察データの解析

実習3

分光光度計で測定した様々な色素の吸収スペクトル

実習指導

 今元 泰(分子生体情報学 准教授)

チューター

 前田  亮(博士課程 2回生)

実施場所

 理学部6号館 4F実習室

実習内容

  小型分光器を用いて様々な波長の光を投影し、その色を観察してPowerPointでカラーバーを作成した。

 葉緑体、バクテリオロドプシン、ヘモグロビン、PYPなど生物由来の色素の吸収スペクトルを分光光度計で測定した。それらの吸収スペクトルをPowerPointでグラフにし、物質がよく吸収する色と目で見える色を比較した。

 バクテリオロドプシンの吸収スペクトルを用いて、ヒトの三原色に対応する赤、緑、青の視物質の吸収スペクトルを作成した。

 蛍光灯や白色LED、緑色や赤色のレーザーポインタから出る光を光ファイバーで検出し、実際にどの波長の光が目に届いているかを調べた。

受講生の感想

  • 今日は、光についてしました。光については植物の時に光についてしたので、光の波長の紫外線とか可視光緑、赤外線についてはなんとなく見覚えがありました。コンピューターを主に使っていたので、コンピューターができないのでなかなかてこずってました。どうしたらパソコンができるのか謎です。今回は色々見覚えのある機会を使っていました。最初のELCASで2面がギザギザの容器を使ったので、あれから3カ月くらい経つんだなとなつかしんでいました。
  • 自分は体験学習コースに遅れての参加となりましたが、それにもかかわらずプリントと説明だけで大方の内容が理解できたのは、”分かりやすく伝える力”が“最先端の科学”に携わる人々には備わっているからでしょう。そのような力が必要であることは、ここまでのとても分かりにくい文章を書いている僕にとっては重要でしょう。ところで、今回は光のスペクトルについての実験でした。はっきり言って、遅れて入室した時、部屋を間違えたのかと思いました。しかし、パソコンを多用するという作業のような時間でしたが、これが“最先端の科学”を支えていると思って感動し、胸が熱くなりました。本当です。
  • 今回は光の波長と色の関係、三種類の色素についての観察を行いました。はじめに小型分光器を用いて白色光を単色光に変換し、350nmから750nmまでを50nmおきに色を観察し、パワーポイントで8つの色に分けて記録していきました。白一色にしか見えない光にこんなにもたくさんの色が含まれていると知って驚きました。色々な物質の吸収スペクトルを調べる実験では、葉緑体、バクテリオロドプシン、ヘモグロビン、PYPを使用しました。私達の目に見えている色が、その物質が吸収していない光で、それ以外の色が全て吸収されているそうです。海藻の緑藻や紅藻などの分類も光の波長によるものだと思うと、とても興味深いと感じました。最後にヒトの視覚の三原色をグラフで表示し、青視物質と緑視物質と赤視物質の波長が良く分かりました。学校で習っていたものも含まれていたので、さらに理解が深まり、本当に良い勉強になりました。
  • 可視光線より外の波長の光が見えないのがなぜかやたらと悔しかった。そこにあるはずなのに見えないと言うことにとても興味深いと感じているので面白かった。パソコンで上手くデータをグラフに表すことができたので良かった。また、光の波長を計測する機械で小さいライトと携帯電話のライトの波長が全く同じだったので感動した。これらの計測データを学校に持ち帰り、周りの子達にも教えてあげたい。
  • 今日は、光の波長と光について実験と、パソコンでデータの整理をしました。最初実験では、実際に波長を変えると、光の色が変わっていく様子を見ました。光の色と波長と言うのが、なかなか感覚的に結びつきにくく、不思議だなあと思いました。でも、次々に色が変化するのが、とてもきれいでした。そして、データをパソコンで整理して、グラフにして比べました。グラフ化することで、また違った見方ができて、面白かったです。今までの研究でも、どこでもパソコンを使っていました。デジタル化することによって、今まで見えていなかったことまで見えるように、知れるようになったんだろうなあと思いました。パソコンを使えるようになることも、大切だなあと思いました。
  • 今日は時間を間違えていたうえに、早めに終わったので、ほとんど何もできませんでした。しかし、今回は視覚に関することをしたのですが、生き物が光を感じる仕組みをとてもよく理解することができて良かったです。

化学

実習1

:ソフトウェア上で分子を構築する

実習2

ポリエンのエネルギーをグラフで表示する

 

実習指導

 林 重彦(理論化学研究室 准教授)

チューター

 田村 康一(博士課程 2回生)
 野口 志保(修士課程 1回生)

ボランティア

 谷口 信平(理学部 4回生)
 土本 真史(理学部 4回生)

実施場所

 理学部6号館 252号室

実習内容

 担当教員から基礎的な講義を受けたあと、各自が選んできた分子をソフトウェア上で構築し、量子化学計算で構造最適化を行った。計算された軌道やエネルギーを調べ、分子の性質について議論した。その後、視覚の初期過程における分子メカニズムについての講義を受け、光受容分子様ポリエンを構築し、Schiff塩基とそのカウンターイオンの役割を量子化学計算によって解析した。

受講生の感想

  • 今回は先週のつづきで、様々な分子にNaやKやClなどを近づけHOMOとLUMOのエネルギー差の変動をMopacというソフトを使って求めました。中々予想通りにはいかないことがありましたが、それぞれにもきちんと理由があり、単純にはうまくいかない、ということをTAの人達に教えてもらいました。エクセルでグラフを作ったりもして実際の計算値が視覚化され連続性のある物だということもわかりました。学校では習わない量子力学に触れることでまた新しい化学という勉強分野の一面を見ることができ、良かったです。今回は色々つきっきりで教えて下さったTAの人達に感謝しています。ありがとうございました。
  • レチナールの呈色については、以前のELCASの授業で視覚的に確認したことがあったので、それが物理的にこのような仕組みで起こるということがわかりより身近に感じました。シュレーディンガー方程式でHOMOまでの軌道がわかるのはまだ感覚的に納得できますが、LUMO以降の軌道がわかるのはすごいなと改めて思いました。今回扱ったような原子の数でも膨大な演算が必要なのに、タンパク質のような高分子では想像もつかないほどの計算が必要だろうと思うと、目で見えないほど小さな世界の運動は途方もないと感じました。
  • 今まで化学は実験をして現象を調べるイメージが強かったのですが、今月の2回の実習を通して、化学の新たな一面を見ることができたと思います。ずっとパソコンのソフトを使って計算して、エクセルでデータをまとめるというようなことは、まさか化学分野でやるとは思っていなかったです。視覚の光化学について勉強したのですが、電子レベルのところまで詳しく知ることができたので良かったです。今回の内容はとても難しく、自分の理解をこえるような点がいくつかあったのでしっかり復習したいと思います。
  • 化学にこんなに論理的に迫ることができるってすてきだなと思いました。人が色をどうやって認識しているか、さっくりとですが分かった気がします。一つのレチナール分子が3種類もの色を分けてうけとることができるのは確かに不思議で、実際にイオンが作用することでエネルギーが変化しているのを計算で見ることができるのは、なんというかすごく嬉しかったです。理論化学で構造を知ることで、いろいろなことが分かるのだと知りました。私は今回、シュウ酸をつくって構造をみたのですが、OHの位置をいろいろかえてみても計算可能で、そのエネルギー差が分かったのが感動でした。家でもソフトを使っていろいろつくってみたいなと思います。
  • 前回、出席できなかったので、初めどんなことをするのか分からず不満だった。しかし、ちゃんと前回の説明もして頂いたので嬉しかった。また、今、有機化学を学校で習っている最中なので、学校の授業の理解をより深め、またとても難しい発展的なことまでできてよい経験になった。分子をここまで立体的に分かりやすく触れ合うことができ、良かった。また人間の見る視界の色のことについて分かりやすく説明して頂き参考になった。
  • 今回も、量子力学の計算をしました。前半は、自分が調べてみたい分子について、エネルギーを変えたときの変化を見てみました。後半は、目の仕組みを量子力学の側から考えて、量子力学の計算をして、目がどのように色の吸収を制御をするのかということを調べてみました。化学は実験して、起こった現象をただ見て楽しむことが良い所だと思っていたのですが、今回のように、計算をして、化学の現象を論理的に考えることもおもしろいのだとわかりました。

過去の体験コース
2012年

9月1日

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  12月15日
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