ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

体験アーカイブ第5期

2013年 1月 5日  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

微分の種々の公式を、微分の定義から導く

実習2

三角関数の極限の公式を導出

実習3

例を出しながら平面グラフを考える

チューター

 佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)

実施場所

 理学研究科3号館109号室

実習内容

 前回に引き続き、「天書の証明」の中から各人が選んだ話題について発表してもらった。まず、ゼータ関数の特殊値を計算するために使う微積分の公式を証明した。次に平面グラフに対するオイラーの定理の証明を行った。

 短い時間だったが、多くの公式やオイラーの定理を証明する事ができた。

受講生の感想

  • ゼータ関数な一日でした。私はゼータ関数が大好きなので、大変良い、充実した日だったと思います。
  • 今回の内容は、未修分野の所もあったけど、興味が持てました。そろそろ自分の発表の番なので頑張ります。
  • 講演も数学だったので疲れました。といっても4時間コースの日よりは短いんですけどね。
  • 様々な微分の公式が聞けてよかった、数Ⅲの予習になった。
  • 前半は微分で使う公式の証明をした。深く考えずにいつも使う公式を、もう一度初心に帰って導いた。その後、オイラーの多面体定理について証明した。よく知られている証明とは別の物で多少難しかった。今回は講演も数学で、充実した日々だった。
  • 色んな証明があって面白かったです。

物理

実習1

講義風景

実習2

回折格子にレーザを照射し格子間隔を評価している様子

実習3

X線回折実験の様子

実習指導

 松田 和博(不規則系物理学研究室 准教授)
 永谷 清信(不規則系物理学研究室 助教)

チューター

 木村 耕治(博士課程 1回生)
 松波 健司(修士課程 1回生)

実施場所

 理学部5号館 212号室 

実習内容

 物質の原子構造を調べる上で、X線が強力なツールとなることを講義、実習を通して体験してもらった。実習では、回折格子にレーザーを照射し、回折パターンから回折格子の格子間隔を評価する実験を行った。さらに、現実の物質としてSiの単結晶を取り上げ、これにX線を照射し、回折パターンを観測する実験を行った。

受講生の感想

  • 今回の講座では、X線を用いた結晶の解析を行った。重ね合わせやホイヘンスの原理など基礎的な物理学の知識から最先端科学技術が成り立っていることを理論から実感できたので、とても興味深かった。また、光について考えるときには、深い物理学への理解が必要だと思った。今回、結晶を解析するときには電卓を使ったが、意外と計算は難しかった。きちんと整理しつつ電卓で計算する大切さが分かった。次回は、結晶のように規則正しいものでなく、不規則な物質の解析をするそうだが、不規則な中からどのように調べるのかが今から楽しみだ。
  • 構造解析ということで、以前にも何度かX線をあてて何かするということは聞いていたが、その前段階として回折というものがあり、レーザーでもいろいろ分かることを知った。数値から実際に計算すると、講演を聴いているよりすごさを感じた。最後には、X線を作っている機械やそこから得たグラフを見たが、あそこから構造が分かるとはスゴいと思った。
  • 物質の解析のようなことは今までも何回かありましたが、今回のX線回折はそれらとは異なったアプローチをしていて、また自分の視野が広がりました。実際に回折格子やシリコンで光線の回折を見て、格子間隔を計算してみて、そのすごさが良く分かりました。光を当ててその回折で見えた点々から結晶構造を読みとるというのは、自分でやってみるまで、うまく想像できませんでした。でも、計算してみるとちゃんと構造が見えてきて、やっぱりすごいなと思いました。次回は、シリコンのX線回折による解析も、もっと詳しくできるみたいなので、とても楽しみです。
  • 今日の前半の内容は、学校で習ったり測定・計算したことがあって、少し踏み込んだ内容もスムーズに理解できた。高校のことが土台となるということをとても感じた1回だった。計算機器の扱いに少し手間取ったけれども、今回の回折格子のモデルは、正解が用意されていて、どのくらいの精度だったのかが目に見て取れて、実感がいつもよりもあった。また自分でいろいろ考えられて、楽しかった。
  • 今回のX線の話は、いつもより理解できたと思うし、とても楽しかった。格子間隔の話など、初めて知る話がほとんどだったが、実験も通して非常に深く理解できたと思う。回折格子は、レーザーが広がるところからまず興味深くて、さらに、その格子間隔まで、距離を測ったり、三角関数の知識を用いたりして、計算できてとても楽しかった。次回も楽しみだ。
  • 今回は、物性物理学ということで、電磁波を用いた物質のミクロ構造決定の実験をさせていただきました。自分たちで距離などを測って計算し、物質の性質(回折格子の間隔)を求める、という作業をさせていただいたことで、物性物理の不規則系を研究されている方々が普段どんなことをなさっているのかということにふれることができました。今回の内容は、全体的に、以前受講した量子力学の体験講座の時と似ているという印象を受けました。どの点において似ているかと言うと、両方とも、電磁波を物質に当てることによって、その物質の性質を求めるという点です。このように、物理学というものは、色々な所でつながっているのだということを感じました。本日はありがとうございました。次回も楽しみです。

宇宙地球

実習1

地球と衛星との距離を測る様子 

実習2

屋上にて、雨量計観測をどう行っているのか観察した

実習3

電子レンジ実験で、氷がなぜ解けないかの解説

実習指導

 重 尚一(物理気候学研究室 准教授)

チューター

 真鍋 和大(修士課程 2回生)

ボランティア

 河野 太郎(修士課程 1回生)

実施場所

 理学部1号館 462号室

実習内容

 人工衛星からのリモートセンシング(遠隔観測)について学んだ。

 スライドを用いた説明の間にいくつかの体験と実験を行った。

 スライドでは、衛星の簡単な運動力学から始まり、人工衛星から撮影した映像や物理的な様子や軌道、その種類・近年発達している技術など、また搭載している観測機器としくみについて幅広く学んだ。

 Dagik Earth(地球や惑星を立体的に表示す4次元デジタル地球儀)を用いて人工衛星と地球の位置関係の実体験を行った。衛星の種類によって地球からの距離が異なることを体感した。

 実際の地上雨量計観測をどうやって行っているかを理学部1号館の屋上にて、観察した。

 また、電波(マイクロ波)吸収における分子構造の重要性について、電子レンジを用いた水と氷の加熱実験を行った。

受講生の感想

  • 今日は気象衛星についての話が一番印象に残っています。日本の世界の技術先進国として、衛星の打ち上げなど、すごいことが出来るんだと感じました。
  • 普段は何気なく天気予報を見ているのですが、今回の講義を聞いて、いかに正確に観測をするのが難しいかということを感じることができました。また、その観測方法は今まで全く知らなかったのですが、詳しい技術が分かり、遠く離れたところでも宇宙から観測できるなんて面白いなと思いました。前々回とは、違う角度から気象のことを学べてよかったです。
  • いつもニュースで流れているような映像が、つい最近できたもので、すごい今も苦労して、研究していることを知り少し驚きました。いつも週間予報ばっかり見ているけど、そういう映像もこれからは注意して見たいです。
  • 人工衛星に載せられているレーダーや放射計がどのような仕組なのかそれぞれの長所・短所を学ぶことが出来て、とても興味深かったです。今、学校で習っている、物理の知識がたくさんでてきて、知識はつながっているのだなあと、改めて思いました。
  • 今日は人工衛星からのリモートセンシングについて教わりました。難しくて理解しづらい部分もあったけど、今まで以上に地球を観測することに興味を持つことができたので、良かったです。いくつかの実験も理解を深める助けとなり、面白いと感じました。ありがとうございました。
  • 人工衛星は人類の大発明だと思う。人工衛星のおかげで、天災を把握し、危機を回避できると思うと少し安心する。これからは、宇宙ゴミや維持費、製造費などそれらを支える環境をととのえていかないといけないと思う。
  • 立体的な地球の映像がとても興味深かった。ところどころ、話の内容が難しかったが、面白い内容だった。屋上にも上がれてよかった。
  • 今回は観測とかの仕組みを学んだ。レーダーとかにはそれぞれ一長一短があり、それぞれの長所をつなぎ合わせて、現在の観測をなし得ているのだとわかった。また、現在の雨量観測はまだ地球全体を、覆うほどのものではなく、赤道を中心とした、狭い範囲でしか観測できなく、雨量観測でずれがしばしば生じるということがわかった。そして、現在の雨量観測が始まったのは、1979年であり、まだ40年くらいしかたっていないので、引き続き雨量観測のデータを集め続けることが大事だとわかった。また、地球を観測する衛星は地球を回る赤道の軸に対しての傾斜角を調整することによって、地球のどこでも観測するようにできるのだとわかった。そして、今後衛星の性能が上がり、地球のほぼすべてが観測できるようになるらしい。

生物

実習1

TAによる説明

実習2

TAによる種・雌雄の見分け方の説明

実習4

アズキゾウムシのメス(右)と交尾しようとするヨツモンマメゾウムシのオス(中央)

実習3

交尾中のアズキゾウムシのオス(左)とメス(右)。メスはオスとの交尾を嫌がってオスを蹴っている。

実習指導

 曽田 貞滋(動物生態学研究室 教授)

チューター

 小沼 順二(科研費研究員)
 京極 大助(博士課程 1回生)

実施場所

 理学部2号館 308号室

実習内容

 アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシの交尾行動を観察する。一見オスとメスの協調的行動とも見える繁殖行動において、オスとメスの利害が一致していないことを観察する。続いて、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシのメスを、それぞれの種のオスに同時に提示して求愛行動を観察する。オスが必ずしも同種のメスを正確に識別しておらず、しばしば誤って他種のメスに対しても求愛をしてしまうことを確認する。

受講生の感想

  • 虫を観察するといろんな行動をするのでとても興味深かったです。思わず虫はどんなことを考えるのかなあと思いました。(もちろん虫は脳が人間とは全然違うので感情があるのかないのか本当のところは虫に聞いてみないと分からないのですが)今回一番驚きだったのは、マメゾウムシが異種への求愛をするということです。私が観察していたシャーレではたぶんヨツモンどうしがなかなか出会わなかったためだと思いますがヨツモンがヨツモンのメスよりアズキのメスに多く求愛していました。外見は明らかに違うので、ヨツモンのオスは目以外のもので判断しているということもよく分かりました。オスは触角を動かしてさぐっているような感じがありました。とてもおもしろかったです。
  • 生態系のテーマ、種内競争、種間競争について講義を受けました。アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシとでは見た目が大きく異なるにもかかわらず、求愛行動をとるのはやはり昆虫が見ためでなく、フェロモンで相手を判断しているのだと思いました。
      よく「住みわけ」などといって、生活様式が似た生きものは生活場所を変えるという話を聞きますが、その過程は個体が移動して分かれるものであるのではなく、競争排除によってふるいわけられるのだと知り目からウロコが落ちる思いでした。
      また、こんなに簡単に雑種ができてしまうと知り、自然のバランスはこんなにもかんたんにくずれてしまうのかと怖くなりました。
     とりあえず1番面白い講座でした。
  • 今回は繁殖干渉による競争排除の実習を行いました。
    生物の分布と個体数の変化、種内競争・種間競争のお話を聞き、少しの個体数の違いや環境の違いで種の排除や共存が起こりうることがとても興味深かったです。種間競争があるのとないのとでは大きな差があるそうで、今日の外来種問題など生物の生態系は本当に難しいのだと感じました。私が初めて知ったのは生物は資源の競争よりも繁殖干渉によって個体数が左右され、繁殖干渉においては多数派が強いということです。
     実際にアズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシで異種・同種での求愛を観察し、とてもおもしろい結果が出たと思います。
     本日の実習は今までのものと違っていて、行動学にとても興味を持っていたので楽しかったです。
  • 今日は、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシの交尾を観察しました。
    なんだか不思議な感じでした。2種類のメスと、どちらかのオスを一つのシャーレに入れて観察したとき、どちらのオスも自分とは違う種類のメスの方にも行ったので、どうしてまちがえるのだろうと思いました。でも、もしかしたら虫的には「まちがい」なわけではないのかもしれないと思いました。
      あと疑問に思ったのが、虫たちは互いに自分たちが交尾した相手を覚えているのか、ということです。私は覚えていないと思います。
      こんなにしっかりと虫の観察をしたのは初めてだったので興味深かったです。これからの体験学習コースは、目で見れるくらいの大きさの世界についての研究を見に行くようなので、楽しみです。
  • ヨツモンマメゾウムシとアズキゾウムシを使いました。ヨツモン同士の♀と♂の交尾では動きが激しかったので、わかりやすかったけど、アズキの♂と♀の交尾の時は♂の交尾器が透明で細くて交尾期間が短かったので、なかなか見るのが大変でした。
      アズキの♀とヨツモンの♀とアズキの♂を1つのシャーレに入れた時に、ヨツモンの♀はヨツモンの♂と交尾済みなので、もう交尾はしないと思っていました。ヨツモンの♂がヨツモンの♀に求愛行動してもヨツモンの♀は逃げつづけていました。
      アズキの♀とヨツモンの♂とヨツモンの♀を1つのシャーレの中に入れた時、ヨツモンの♂はヨツモンの♀を避けているように思いました。アズキの♀は追いかけられていました。小さいものをずっと観察し続けるのは、忍耐強くないといけないなと思いました。

化学

実習1

作図した周期模様の回折パターンの観察

実習2

マイクロチューブの回折パターン

実習3

模型を用いた結晶構造と表面構造の説明

実習指導

 八田 振一郎(表面化学研究室 助教)

チューター

 野間 俊(修士課程 1回生)
 中野 佳津子(理学部 4回生)

実施場所

 理学部6号館 表面化学研究室

実習内容

 3次元結晶を切断した時、切断面ごとに特有の周期構造があることやその周期構造と化学結合との関係を学習した。また、その周期性を知るためには、低速電子線の回折パターンを用いることが有用であることを学習した。実際に、作図ソフトを用いて周期構造を描いて OHP シートに印刷し、レーザー光を用いて回折パターンを得た。さらにその回折パターンの解析も行った。

受講生の感想

  • 物質に光をあてて、その回折で表面の様子を観察するという手法は、これまでの実習で何度か出会ったことがありましたが、機械の中ですべて行われていて、できあがった縞模様を見るだけだったので、このように目の前で実際に回折や干渉が起こっている様子を確認できたのは、とても嬉しかったです。金属の表面観察は固体の金属片を用意して、光をあてているだけだと思っていたので、実際は試料版に均一に金属を蒸着させて光をあてるのだと知り驚きました。また個人的に色素増感型太陽電池を研究していて、導電性ガラスになじみがあったので、ガラスにインジウムを蒸着させて、酸化インジウムの導電性ガラスを作るというお話がとても興味深かったです。
  • 今日は、「表面化学」というものを学習しました。タイトルを見たときに、どういった分野なのか疑問に思いましたが、タイトル通り表面の原子構造や原子の運動、化学反応などを研究するそうです。表面の原子配列の周期性を調べるために、デモとしてレーザーを使ってスクリーンに写る模様を観察しました。原子の間隔が広ければ広いほどスクリーンに写る模様の間隔も広くなると予想していましたが、実際は全く逆で驚きました。
  • 表面化学と聞いてはじめはどんなことを研究しているのか分かりませんでしたが、面によって同じ物質でも性質が違ったり、構造を模型やスライドでみていくうちに大変興味深い研究だなと思うようになりました。表面を調べる方法には電子や光を使うものがあるというのはなんとなく分かったのですが、実際に見て、さらに原子を1コずつうごかすことができるような顕微鏡があるとは知らず驚きました。
      また、低速電子回折法でみた回折パターンはすごくきれいで、それからμm単位の正確な値を実際にだすことができることに驚きました。
  • 今回は、表面化学研究室での体験学習でした。金属の表面での化学反応はいつも学校で書いている化学反応式のように単純にあるものとあるものを合わせると新たなものができるという1つのプロセスではなくいくつものプロセスを踏んでいるという事実を教えられ、驚きました。次回は金属などの表面の原子配列を調べるそうなので楽しみです。
  • 今日は表面化学という初めて聞いた分野がどのようなことを研究する分野であるのかといったプレゼンテーションと、実際にレーザーポインターを使った回折実験を行いました。プレゼンテーションでは、普段反応式を覚えるだけで終わってしまう化学反応が実はミクロな部分で様々な条件を伴い反応をくり返していることがわかりました。そして走査トンネル顕微鏡を使うことで、微小単位のものを1つずつ動かすことができるようになった、という話も聞いて、科学分野の発展に驚きました。実験では実際に計測することで、d がわかり、目に見えない距離が計算できるとわかりました。再来週も頑張りたいと思います。今日はありがとうございました。

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