ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

第6期

2013年 10月 19  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

実習の様子

実習指導

 吉川 謙一(数学教室 教授)

チューター

 石川 勲(修士課程 2回生)

実施場所

 理学研究科3号館109号室

実習内容

 Chapter2のBertrand's Postulateが終わり、Chapter3に進んだ。3章はある多項式の整数解の存在に関する話であるので、それにまつわる話を付け加えながら進めた。また、来週にはChapter3も終わるので、今後読む場所とその役割分担を行った。

受講生の感想

  • いざ洋書を手にしてみるとやっていけるのだろうかと不安になったが、中を見るとどうやら平易な英語で書かれていれているようで自分にも読めると安心した。次回からはいよいよ黒板に証明を書いていくことになるのでしっかり準備して挑みたい。
  • 今日の体験学習コースも、とても面白いものでした。特に、チャプター2は少し見落としていたことがあり、不注意でした。本に書いてあること以外の、院生の方がおっしゃっていたペルの不等式とかだ円曲線とかは、今までほとんど名前しか知らなかったようなものを少しでも知ることができ良かったです。今後さらに理解を深めていきたいと思います。
  • 今回の定理はどれもよく分かりました。みんなの説明がわかりやすくてあのくらいの説明ができるようにならねばと思います。次回は幾何の証明を担当することになりました。普通に幾何が好きだからと思って担当になったけど、幾何の説明は整数以上に難しそう(゜△゜;) これまでの講座で整数について知識を色々ついたけど、また次から分野変わるので新しい知識を身につけねば…!頑張ろう!!
  • 部屋に入った時に暖房がついていたのが謎でした。発表の間、若干暑かったですが、楽しかったです。
  • 今回はごちゃごちゃした計算が多かったです。自分の発表の番でしたが、問題なく終えることができて安心しました。次(々)回から新しい分野に入るので楽しみです。
  • 今日はたくさん進みました。シルベスターの定理の証明がなかった時に、先生が京大の本のプリント版をいただいて、何でもそろっているなと思いました。セミナーに関しては、聞いている方も十分楽しめるほど発表者は上手になってきています。
  • いきなり次回発表があるということで驚いています。数学について自由にワイワイ話し合える環境で楽しいです。それぞれみんな色々と秀でているところがあっていい刺激になります。もっと数学の話をしたいのですが、共通の話題を探していこうと思います。結構集中していると疲れる感じ。

物理

実習1

分光器の作り方の説明

実習2

実習3

分光器の製作作業

実習4

太陽光のスペクトルの観測

実習5

蛍光灯のスペクトルの観測

実習指導

 吉川 豊(量子光学研究室 助教)

チューター

 小沢 秀樹(修士課程 1回生)

実施場所

 理学研究科5号館 115号室 

実習内容

 各自で簡易分光器を作成し、それを用いて太陽光、蛍光灯、LEDなど様々な光のスペクトルを観測した。その後、原子の構造と光の吸収・放出についての講義を行い、ルビジウム原子のレーザー分光のデモンストレーションを行った。

受講生の感想

  • 自分で作ったもので自分で観測する。それが今回の最大のポイントだったと思う。簡易分光器をその仕組みや原理を考えながら、より観察し易くするために自分でも工夫をして作った。最初つくったときは、先生に注意されていたのにも関わらず、回折格子の向きを間違った方向につけてしまい、観察ができていなかった。しかし、これによって、回折格子の性質を再認識できた。分光器をのぞいてみると、太陽光、レーザー光、蛍光灯、それぞれでまた、光の量によって見え方は異なった。その理由は、講義を聞くことができ、疑問を自らの身で感じて、それを考えた後に答えが分かるというサイクルによって、理解が深まった。最後には、実際に大学で研究に使われている器具を見て、今回習った基礎の基礎は今の最先端にもつながっていると実感し、基礎は甘く見てはダメだと改めて思わされた。有難うございました。
  • 今回は実習ということで分光器を製作し、太陽光や蛍光灯などをみました。太陽光を見たときに黒い線が見え、それが一体何なのか分からなかったのですが、後の講義で特定の原子により吸収されそこが欠けているということを知りました。このことは普段原子・分子や元素というものが存在していると感じることができるものだったので大変驚き、面白く感じました。分光器で色々見てみたいと思います。またレーザーを原子にぶつけたときに分かる線幅というものがドップラー効果を含んでいるというのは興味深かったです。そしてそこから運動がわかるというのも驚きでした。
  • 前半2時間は主に分光器の製作をし、その後様々な光源(太陽、蛍光灯、レーザー…)を覗き込み、分光の観察をしました。分光器の製作が、これほど簡単な材料で、手軽に作れることに、驚きました。と同時に、その作り方から、分光器の個性(精密さ)が一人ひとり違っていることも面白いと思いました。後半は講義を聴き、その後、実際に分光の実験装置を見学させていただきました。光と原子がここまで密接に関わっていることに、驚き、関心を持ちました。また、なぜ(前半に観測したような)フラウンホーファー線(暗線)ができるかなども理解することができました。実験室では、レーザー冷却の装置やレーザー分光の装置を見学することができ、その装置の大きさに圧倒されました(特にレーザー冷却)。四時間ぶっ通しの分光の体験学習で、より関心が高まりました。
  • 今回はまずそれぞれが簡単な分光器を作成しましたが、その作業は物理の学習でありながらも童心にかえったような気持ちですることができて非常に楽しかったです。また、その後各自が作った分光器で空を見上げた時に感動しました。美しい7色のグラデーションがくっきりと見え、原子の光の吸収によって生じたフラウンホーファー線も何本も見ることができました。後半部分では講義とレーザー分光のデモンストレーションがありました。講義でレーザー分光のことについて学んでから実演を見ることで理解が深まりました。滅多に見れないレーザー冷却の装置を見れたことも非常に嬉しいです。次回からはまた内容が変わりますが、能動的に講義、実験をしていきたいです。
  • 分光を2週間にわたってやってきて、分光学とはどうやら原子の構造を調べる学問であるらしいことが分かった。分光学で使うのは、ほぼレーザーのみだが、その単波長である性質を使えば、原子の構造が次々とわかる。レーザーを当てて、共鳴させるというところが、面白かった。また、分光器を使えば、例えば遠い太陽の組成がわかるというのも、研究しがいのある分野だな、と感じられた。
  • 今回は簡易分光器の作製をまず行った。この分光器は工作紙と黒紙で作った箱の両端にスリットと回折格子フィルムをつけたもので、案外簡単に出来て、楽しかった。その後、実際にその分光器で蛍光灯や太陽光、LED、レーザーのスペクトルを見た。各々に様々な違いがあるのが分かり、それなりに精度も高かったので嬉しかった。最後に、このような貴重な体験ができる機会を与えて下さったELCASに感謝したい。
  • 今回はまず簡易分光器を作りました。いろいろな光のスペクトルを思ったよりも鮮明に見ることができました。縞模様(フラウンホーファー線)も光の種類によって位置が変わり、蛍光灯の光は縞ばかりでした。レーザー分光のデモンストレーションでは、貴重な実験器具や他では見ることのできないような装置を実際に見ることができてとても良い経験ができました。実験室の雰囲気を実際に味わってみて面白かったです。4時間の体験講座があっという間でした。

宇宙地球

実習1

70cmシーロスタット望遠鏡

実習2

18cm屈折望遠鏡

実習指導

 野上 大作(附属天文台 助教)

ボランティア

 石井 貴子 (附属天文台 教務補佐員)

実施場所

 花山天文台

実習内容

 花山天文台の施設見学と分光データからの太陽自転速度の測定を行った。

 70cmシーロスタット望遠鏡、18cm屈折望遠鏡、歴史館、45cm屈折望遠鏡の見学を行った。シーロスタット望遠鏡による分光観測も行う予定であったが、曇りのため観測は行えなかった。薄日が射した時に、一面鏡を各自で動かし太陽光の二面鏡へのあたり方を確認してもらった。以前のELCAS受講生の観測データを用いて、太陽自転速度の測定を行った。各自の結果の検討や、誤差の原因の議論などの続きを次回の講座で行う予定である。

受講生の感想

  • 今回は、花山天文台へ行って望遠鏡や資料館のようなものを見ました。花山天文台では特に太陽の観測をしているようで、分光による光がとてもきれいでした。また、資料館では宮本正太郎さんの火星の目視による観測記録や、火星の分光器があって宮本さんのすごさにおどろきました。さらに最後は太陽の動くスピードを計算で出しました。しかし、ぼくのものは計算が合わずうまく答えが出ませんでした。次回は合わせられるようにしたいです。また次回この天文台に来たときは太陽の分光ができるよう晴れてほしいとも思いました。
  • 今日は、今のように精密な計算のできるコンピューターのなかった時代に使われていた様々な器具をみせていただき、とても貴重な体験でした。特に、毎日のように火星を見て書かれたスケッチは、昔の人の宇宙というものへの情熱をとても強く感じました。今ではコンピューターで写真を自動的に撮るということもできるので、時代のシンポは本当にすごいものだということを体感できたと思います。また、その後に太陽を実際に観測することはできませんでしたが、過去のデータを基に太陽の自転の速度を計算するということも行うことができ、とても貴重な機会になりました。明るくて熱いものだとしか考えていなかった太陽に興味を深めるきっかけになりとても良かったです。
  • 今回は、花山天文台に行ってきました。鏡をつかって太陽を観測する70cmシーロスタット望遠鏡をみせて頂いたり、様々な望遠鏡をみせて頂きました。あいにくの曇りで観測はできなかったのが残念です。花山天文台は昭和4年にできた古い天文台ですがキレイな施設でした。いつも会議室で講義をきいたり実験をしたりしていたので新鮮でした。
  • 天文台は非常に見ごたえがあり、歴史も感じることができ、圧倒された。今回は晴じゃなかったので、数値を実際にとることはできなかったが、いずれにせよλなどを使った計算はさっぱり理解できなかった。なんとかして、家でといてきたいと思います。天文台は非常に興味そそられるものでした。
  • 今回、くもっていたため、シーロスタット望遠鏡での分光観測が全く行えませんでした。あんなに大きな機器を使える機会は滅多になく、また、花山天文台での実習を前々から楽しみにしていたので、とても残念です。施設見学では、古い望遠鏡をいくつも見せていただき、とても興味深かったです。観望会にも、また申し込んでみたいと思います。後半の太陽の自転速度の計算は、あまり数学が得意でないのもあり、難しく感じました。
  • 今回は、前から楽しみにしていた花山天文台へ行きました。雲がかかっていたため、太陽の計測はできませんでしたが、目近で70cmシーロスタット望遠鏡を実際に見たり動かしたりできて、とてもいい経験ができました。他にも45cmの屈折望遠鏡を見たりして、木星がとてもきれいに見える写真を見たので、3月にある観測にも行って土星をきれいに見てみたいと思いました。今回は初めて見ること、することの連続だったので、とても楽しかったです。
  • 普段、行きたくてもなかなか行く機会のない天文台を見学出来て、大変よかった。太陽光の観測は天候に恵まれず、行えなかったが、色々な種類の望遠鏡を見れて、楽しめた。また、過去の観測結果を用いた計算は、はじめて聞くことだったので少々とまどったが、計算は出来たと思う。太陽の自転速度をこのような計算で求めれることにはとてもおどろいた。速度計算に興味がわいたので、自分でもインターネットなどを使って、調べたいと思う。

生物

実習1

実体顕微鏡で花を解剖、観察

実習2
標本庫の見学

実習3
電子顕微鏡で柱頭を観察

実習4
蛍光顕微鏡で花粉管を観察

実習指導

 東 浩司(植物系統分類学研究室 助教)

チューター

 山本 武能(博士課程 3回生)
 江口 悟史(理学部 4回生)

実施場所

 理学研究科2号館 114号室

実習内容

 カタバミとイモカタバミを材料に、実体顕微鏡を用いて花を解剖し花の構造の比較を行った。また、花粉のついた雌蕊を取り出し固定・染色して、蛍光顕微鏡で花粉管を観察した。柱頭部分の電子顕微鏡による観察も行った。
実験の待ち時間を利用して、京都大学総合博物館地下の植物標本庫を見学し、さく葉標本の学術的価値や植物分類学の歴史について学んだ。

受講生の感想

  • 今回は顕微鏡でカタバミとイモカタバミの違いを観察しました。その時顕微鏡を見ながらおしべやがくを取り除くのは、とても苦労しましたがとてもいい体験ができてよかったです。次に顕微鏡を使って同じようなことをするときに、今回のことが生かせるのではないかと思います。また、植物分類学がどういうものなのかを知ることができました。そのなかで植物の種類が違うと断定するためには、いろいろな地域でその植物の分布などを調べなくてはならないということを知り、一つ一つの種類を分類するだけでも、とても時間がかかるのだなと思いました。また、その時間を少なくするために、植物の標本を保管している場所にも行き、そこで”昔からの積み重ねで、今の最先端が成り立っている”ということを実感でき、とても感動することができ、よかったです。
  • 今日したイモカタバミとカタバミの花粉管の観察では最終的には花粉管を見ることは出来なかったけど、それを見る過程での花の分解など普段したこともないようなことをしてとても楽しかった。また植物の標本室なども見ることができ貴重な体験でした。120万もの標本も誰が数えたか知らないけどさすがにたくさんあると思った。植物の分類は本当にささいな違いで分けられているので人間もよく探すなと感じました。ありがとうございました。
  • 今回の実習で、京大の博物館の、普段は入ることの出来ないフロアに入ることが出来て、ちょっと嬉しかったです。また、そこでとても歴史があり、興味深い資料を見ることが出来て本当によかったです。標本などは、基本的には現地の研究者といった方に送ってもらうのでは?と思っていたのですが、まさかわざわざ現地に赴いてサンプルを手に入れているとは思っていませんでした。そういう意味でも、京大は世界へとはばたいているなぁと実感しました。あわよくば、自分もそのようなサンプル探しの旅に同行してみたいものです。目的のサンプル以外にも、世にも珍しい動植物や、滅多にお目にかかることの出来ない現象に遭遇することが出来るかもしれません。そう思うと、早く自分も大学の研究所に配属されて、いろいろな経験を積みたい!!と思います。そのためにも、今できることに対して真摯に取り組み、目標を達成することが出来るように頑張りたいです。もちろん、ELCASの実習にも一生懸命取り組んでいきたいと思います。

  • 今回はカタバミとイヌカタバミの観察を行った。資料を観察できる状態を作り、細胞を殺すが、形は生きている時と同じ形にしておく固定をし、脱色、染色を自分たちで行った。体験時間のすべてを使った大きな実習だったので、とても面白く、植物に対する興味がより深まった。固定や脱色には30分ほど時間がかかったので、その間に、京大博物館の地下貯蔵庫の標本を見た。100年以上も前の標本であったのに、現在もきれいに残っていることに近代文明の技術力が植物の分野の研究を支えていることがよくわかった。
  • 今回は少しおくれて参加したので最初の話が聞けなくて残念でしたが、実習にはみんなと同じスピードでできたのでよかった。少し実験の作業をした後に行った博物館の標本庫に入って、まず、その資料の多さに驚いてしまった。押し花は私も小さい頃に重い本などを積み上げて作ったことがあるので、その技術が研究に用いられていることにおどろいた。100年前の資料や新種を発見した時の資料も見せてもらい、とても貴重な体験をさせてもらった。その分未整理な資料などもたくさんあったのでそれを片付けつつあそこを一日中観察してみたいと思ってしまった。漢方をおいているところでは少しにおいがきつかったが、いきなり猿のがいこつなども出てきて、それが漢方に使われる、ということでどう使用するのかが不思議だった。今度は博物館の方にも行ってみたい。帰ってきた後の実験結果は、私が大切な部分を切り取ってしまい、他の部分はきれいに結果が出ていたので少し残念だった。でも少しでも花粉管がのびている所がみれたのでよかった。
  • 前回の講座とはミクロとマクロの観点からもまったく違う内容でとても面白かった。作業内容が本当に細かくて驚いたが(…結果うまくできなかったが)集中しながらそれぞれの過程を熟していくのはやりがいがあった。そして、一つ一つの作業を丁寧に行う大切さを改めて感じた。また、途中の標本庫観察では、標本を見る面白さとともに標本のもつ意味などを知ることができたのも良かった。最終的な観察ではあまり綺麗な結果を見ることは出来なかったが、全体を通して今回もとても面白い回だった。
  • カタバミの花粉管が見えました!!今回にかぎらず細かい作業が続いているのですが、今回はその中でも細かい作業で、目も頭も手先も緊張して疲れてしまいました。花を分解するだけでなく、おしべの中からめしべも探したり、そのめしべを分解したりと、手先が震えました。花粉管を見るまでにいろんな液で段階を踏んで固定したり、漂白したり、やわらかくしたりして、さらに観察もしなくてはいけないので時間がたりないです。けれど大学では毎日毎日このように生物と向き合えるそうなので、面白い実験がたくさんできそうでいいなーと思いました。
      今日のテーマは植物分類学だったわけですが、生物チームには珍しい、場所を移動しての学習もありました。総合博物館へ行って地下の標本庫を見学させてもらいました。そこには120万もの標本が保管されているそうです。植物はもちろん動物も保管されていて、資料の宝庫でした。フォーリーさんが採集してきたものを保管することから始まったそうですが、資料が多すぎて整理しきれていない部分もあるそうなので、実験と一緒で、やって終わりでなく最後の考察までやらないといけないなあと思いました。植物の分類は大きく取り上げられることは少ないかもしれないけど、陰ながら科学全体を支えているのだと知り、視野が広がったと思います。ありがとうございました。

化学

実習1

セラミック製試料管に粉末試料を詰める。

実習2

透明の保護カバーを付た試料回転装置で、2万回転/秒を目の当たりにする。

実習3

炭素13核の固体NMR信号を測定する。

 

実習指導

 武田 和行(分子構造化学研究室 講師)

実施場所

 理学研究科化学専攻 分子構造化学研究室

実習内容

 固体核磁気共鳴(固体NMR)の体験実習を行った。まず講義を行い、NMR信号がどのような原理で分子構造・物性を反映するのか、量子力学的な説明を(願わくば高校生でも分かるようなやり方で?)試みた。その後、試料管に粉末試料を詰め、固体高分解能NMRに必須のテクニックである、マジック角試料回転のデモンストレーションを行った。直径3.2mmの試料管を圧縮空気を用いて毎秒2万回という高速で回転させ、外周速度が時速720km/hに達している様子を観察した。その後、アミノ酸の粉末試料で炭素13核と窒素15核のNMR信号を観測した。さらに炭素13核のNMR観測中に窒素15核に電磁波照射して、炭素13−窒素15核間の磁気的相互作用の観察を試み(上手くいかなかったが!)、固体NMRにより核間すなわち原子間の距離を決定できることを説明した。

受講生の感想

  • 今回は前回までの有機化学の分野でも使用されていたNMRの話をもう一度聴くことができるというこのだったので、非常に楽しみだった。最初のNMRの話は液体についての話で、実際、有機化学の研究の分野でも液体NMRが利用されていた。固体NMRになると量子力学の分野など様々な分野の内容のことが関係しており、理解するのは難しかった。しかし、最先端の化学ではこのようなことを行っているのだということを実感でき、良かった。今回の実験では予測通りの結果は得られなかったが、「なぜ予測通りにならなかったのか?」と考える面白さ、最先端の化学の研究で行われていることの1つ、また、様々な分野を幅広く学んでいくことの必要性を知ることができた。大学院生に教えるようなことを今回、ELCASを通して学ぶことができて光栄だ。今回まで、有機化学や核磁気共鳴と2つの分野を学んできた。次回はどのようなことを学ぶことができるか楽しみだ。
  • 今回は実際にNMRの測定の一連の作業を行い、固体NMRがどんなものなのかや、どのようなメカニズムがあるのかを少し知ることができたと思います。私は今回途中から参加したので、前半の講義は一部しか聴くことが出来なかったのですが、固体NMRの原理についてある程度理解できたと思います。ただ、とても難しい内容で、実際に実験をしたときは理解できているわけではなかったと思います。サンプルの準備から測定への作業は興味深く、高精度の酸化ジルコニウムでできた管についてや、ふたを冷却して入れること、測定前の調整などはおもしろいと感じました。高度な実験では、自動制御のようなイメージがあるのですが、手作業でつまみを回したりすることも必要でした。また、化学だけでなく物理等の知識も重要であることを再認識できました。幅広い分野について学んでいこうと思います。
  • 今日のELCASは今までの中で最も高度で理解が大変な内容だった。第1回に扱ったNMRの続きで今日は固体NMRも行ったが、量子力学の簡単な導入部分や化学シフト等について学び、非常に内容の濃いものだった。講義の中では僕は特に量子力学に興味をもった。行列によって世の中の“系”について記述できるといったことはぼんやりとしか理解できなかったが、自分が今いる世界と全く違うような感じがしてとてもおもしろい話だった。今回のように高校では絶対に扱わないようなハイレベルな内容の講義を受けることができて本当にありがたかった。実験では実際に固体NMRを観測するだけでなく、 それを用いることでどのような分子の性質等がわかるかといったことまで学んだ。特に13Cと15Nでラベリングされたアラニンを用いてC-N間の結合の長さを求めようとする実験はとても興味深いもので、物質の同定以外にもNMRが応用されているということを実感できた。しかし、実験がうまくいかなかったのは残念だった。固体NMRの実験では液体NMRといくぶんやり方等が異なっていたのも興味深かった。というのも試料ををマジック角(≒54.7°)に保って回転させるというのがとても工夫されていると思ったからだ。今日のELCASではNMR等の現象について非常に興味を持った。
  • かなり深くまでつっこんで難しいことも説明する、ということだったので、すごく緊張しました。先日有機化学の研究室でNMRを実際に使った時にも、TAの方がNMRは難しいと言っておられたので身構えましたが、説明が分かりやすくて、前回のNMRについての導入部分をきけていなかったのに、理解できるところも多かったです。でも後半部分や、双極子結合定数のところなどはついていけませんでした。実習部分では、貴重な薬品を使わせていただき、ありがとうございました。回転速度が720km/hに相当するというのには驚きました。最後ピークが分かれなかったのは残念でしたが、どうしてピークが分かれるのかということも深めたいと思います。ありがとうございました。
  • 本日は固体のNMRを行った。前にやった液体のNMRと原理などは同じなのだが、固体の分だけ、すべての分子に対して均等に磁場をあてることができない。そのために、ある角度に傾けて、標的となる物質を入れた容器を回さなければならない。傾ける角度がcosθ=1/√5で表される角度で、これはx,y,z軸から等しい角度となるときの角度である。そして、この角度はこの用紙の対角線上に引いた線と、短い方の辺となす核に一致する。また、回す速度も8千~2万回/sとものすごい速さであるらしい。今回の実験では、アダマンタン、L-ヒスチジン、13C,15N-アラニンを用いて行った。初めの2つの実験で行ったものは、はっきりとしたものだったので面白かった。でも、最後13C,15N-アラニンの実験では上手くいかなかったうえ、今一つ何がどうなのか分かりにくかった。
  • 今回の内容は正直難しかったが、「そんなもんがあるんや」ということを知ることが出来て良かったと思いました。今回の実験の最後で15Nに光を照射するという実験が失敗に終わりましたが、化学は失敗が付き物、と思えば1つ位の失敗は許されるのでは…(失礼!)と思ってもみたり。久しぶりのNMR単独に実験でしたが、眠気と闘いつつも楽しく体験することができました。質問ですが、NMRの実験で使ったアダマンタンの主な用途はいったい何でしょうか?名前からして、慣習的にそういう名前だった、という気がしました。本日は、お世話になりました。
  • このNMRを使った体験学習のELCAS1回目以来で、内容を忘れてはいないかと不安であったが、案外、講義を聴いていると、こんなこと言ってたなと思いだすことが出来ました。また、有機化学の実験の方でも、NMRは使っていたので、その時の様子ともリンクされ、今回の体験学習がより理解できたように思われます。今回の実験では、化学という分野にとらわれることなく、数学ならフーリエ交換、電気(エレクトロニクス)であったりの高度な知識が必要だったため、何か一分野ばかりというモノな視点でなく、様々な方面の知識と深い考察力を身につけたいと思いました。cos1/√3程度の角度をつけると、空間的にちょうどいい状態になり、液体のときのように、NMRが行えるというのは面白いことだなと思いました。実験が失敗したのは残念でしたが、それだけ精密な準備であったり、注意力が必要なんだなと思います。今回の講義内容はとても難しかったですが、大学での学びとはこういうものなのかと肌で体感する機会になりました。そういう意味でとても興味深かったです。ありがとうございました。
  • 今回は、前回少しだけ使ったNMRを深くしました。話は難しくてついていくのがやっとでした。前回に使ったNMRと形態や仕組みが若干違っていてNMRにも色々あるんだなぁと思いました。一番最後にした15Nの照射だけうまくいかなくて、「実験には失敗はつきもの。」まさにそうだなと感じました。有機化学の実験室を訪ねた後でのNMRの部屋は機械音だらけで一瞬物理を受講してると錯覚しました。化学分野にも様々なものがあると分かりました。

過去の体験コース
2013年

9月7日

  9月21日
  10月 5日
  10月19日
  11月 2日
  11月16日
  12月 7日
  12月21日
2014年
1月 11日
  1月 25日
  2月 1日
  2月15日
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