
2013年 12月 21日 数 学 物 理 宇宙地球 生 物 化 学


セミナー風景
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実習指導
吉川 謙一(数学教室 教授)
チューター
石川 勲(修士課程 2回生)
ボランティア
横田 真秀(博士課程 1回生)
実施場所
理学研究科3号館109号室
実習内容
集合論の章の最後の部分のセミナーを行った。内容は順序数の概念、連続体仮説など。複素関数の話が出てくるのでそれについての補足を行った。また発表者の方が論理学の基礎的な内容について語ってくれた。章内でここだけ非常に難度が高く、正直高校生には難し過ぎるようという感がいくらか。
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受講生の感想
- 前半は順序数の話のところをまったく予習していなかったので大変でした。雑談でまさか論理学の話をされるとは思いませんでした。残念ながらあまり頭の休憩にはならなかったです。次回からは大きくテーマが変わりそうで楽しみです。
- 今日は論理学の話で1日つぶれた気がしてならない。嫌いではないが。最後の方は複素関数の話もありましたけど。でもいろんな分野について少しでも知識を幅広く持つことは大事であると実感したのでよかったです。
- 複素解析の世界は深いと思いました。(面白くない?)雑談を暖かく迎え入れてくれてありがたかったです。
- 今日は複素関数の話や論理学の話など難しかった。ちゃんと証明を理解できなかったのでまた復習したい。
- 今日はチャプター17の定理5とAppendixでしたが、それに関連する論理学とか複素関数とかの興味深い話を聞くことができて今回も有意義に講義を受けることができました。
- 集合論が大変に思いました。
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実験の目的とシンチレータ検出器の説明を受ける

セットアップを組み、カウント数を計測する

スペクトル測定から宇宙線の成分を読み取る

スパークチェンバーの動作を観察する

実際の飛跡の様子
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実習指導
高田 淳史(宇宙線研究室 助教)
チューター
小田 真(修士課程 1回生)
実施場所
理学研究科5号館北棟
実習内容
2次宇宙線であるミューオンの観測を行った。PMTを接続した2枚のプラスチックシンチレータを上下に平行に置き、その同時計数をみることでミューオンのカウント数を測定した。この測定はシンチレータの角度を天頂角で0度、西に20度、東に20度それぞれ傾けた条件に場合分けして、結果を比較した。宇宙線到来方向の東西効果から予測される値とは異なる結果となり、その理由を考察した。
さらにセットアップを組み直し、ミューオンのスペクトル測定も行った。
また、ミューオンの飛跡が視覚的に分かる検出器スパークチェンバーの動作を実際に観察した。
受講生の感想
- 今回は、宇宙線を実際に測定した。測定器を東に傾けた時、西に傾けた時、傾けなかった時に分けて宇宙線の量を測定してみると東と西の値がほぼ同じだった。唯、本来は西側の時の方が値が大きくなるそうだ。この違いは建物の構造が影響しているようで、実験の難しさがよく分かった。又、宇宙線のスペクトルも測定した。この測定は時間がかかるので結果が出るまで他の実験室ものぞかせて頂いた。とても貴重な体験をさせていただき、ELCASには深く感謝しています。
- 前回に続き分かり易い解説の下、実験に取り組ませてもらえたので、自分が今していることを十分に理解し、自分なりに別のことを考えて意見を出す余裕もあった。本日は宇宙線の検出がメインだった。シンチレータとPMT(光電子増倍管)を使って、東西方向で宇宙線の検出量が異なるということや線源の有無とエネルギー量から宇宙線のスペクトル部分を解析するなど、どれも初めて知る現象や実験の方法で非常に興味深かった。スパークチェンバーで目で見て今どこにミューオンがとんでいるのかが分かるのは爽快で、欲しいと思ってしまった。自分でも機会があればつくりたい。近い将来に気球で高度数十kmに飛ばすという最新の検出器を見たり、話を聞き、自分もいつかそのような最先端をつくっていく一人になりたいと改めて思った。本日も有難うございました。
- 今回は宇宙線が時間あたりどれだけ来ているかカウントしてみようというもので、真上、西へ20度、東へ20度の3つの場合を測定しました。やはり真上が一番多く、宇宙線って結構ふってきてるのだなあと感心しきりでした。また、東と西では東西効果から西へ20度のときの方が多くなるはずだったのですが、東へ20度のときの方が多くなり実験の精度を上げるって難しいんだなぁと実感できました。でもそこが実験の面白いところでもあるのかなと思いました。また物理に興味をもつようになったきっかけになったスパークチェンバーをより近くで見ることができ嬉しかったです。間に鉛を挟むことでミューオンが崩壊してできた電子が曲がっているということをちゃんと目でみることができ、感動しました。理論でいわれていることが実際目で見て結果として分かるというところに実験のよさを感じました。
- 今回は前回に引き続き、シンチレータという検出器を用いて、宇宙線とよばれる宇宙から飛んでくる高エネルギーの物質の検出を行いました。とはいえシンチレータは様々な粒子に反応してしまうため、検出する粒子の条件を「宇宙から」ということに絞るため検出器を縦に2つ並べた形にするという工夫がなされていました。ただ検出器は検出するのみで、その軌道がどのようであったかを把握するのは厳しいようです。そこで軌道を電気によって分かるような「スパークチェンバー」という装置も見させていただきました。地味ながらとてもくせになります。体験した検出の発展形が今なお世界中で気球実験として行われているようで、さらに興味が湧きました。
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- 今日は、宇宙線を測定して、グラフで実際にその存在をみてみるということ主にしました。私が一番印象に残ったのは、その測定結果がでるまでの時間に見た、“スパークチェンバー”というものです。上と下におかれたシンチレータの間を通るミューオンの軌跡を見ることができて、エネルギーの強弱や入った角度方向によって通りかたや、鉛を間に置いた時の曲がり方がちがうということを実感しました。また、今後気球でとばされて宇宙線を観測するだろうγ線カメラを見てその仕組みを教えていただき、結構繊細な実験なのだな、と感じました。また長く待った末に、宇宙線らしきものを確かめることが出来て良かったです。
- 今日はずっと実験をしていましたが、「宇宙線」という普段は殆ど関わることのできないものを計測する実験だったので、あっという間でした。特に印象に残っているのはスパークチェンバーとガンマ線カメラです。スパークチェンバーはとても美しく、また分かりやすくて他のELCASメンバーといっしょに盛り上がることができました。ガンマ線カメラは自分が生涯見てきた中でも最もすごいものでありました。そんなものを間近で見て研究者の方の話を聞くことができたはとても貴重な体験でした。ありがとうございました。次回のELCASも楽しみです。
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各自、様々な配置で複数のピンホールを空け、干渉像を観察する

ピンホールが1つの時の回折像

ピンホールを3つにすると光が干渉して模様ができる
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実習指導
岩室 史英(宇宙物理学研究室 准教授)
実施場所
理学研究科4号館 504号室
実習内容
レーザー光源とレンズやミラー等の光学機器を組み合わせて、
1. ガウスのレンズ公式の実験による確認
2. 光の回折による像の広がりの観察
3. スリットの製作と干渉像の観察
4. 複数のピンホールによる干渉像の観察
5. フィゾー干渉計の製作
6. マイケルソン干渉計の製作
の実験を行い、それぞれの原理の簡単な説明と、それらが天文学でどのように生かされているかの解説が行われた。
天候が悪かったため、CMOSカメラと広角レンズを組み合わせた装置による観望会は中止となったが、既に取得してある画像を用いて観測や画像の重ね合わせに関する簡単な説明が行われた。
受講生の感想
- 干渉器を自分で一から組み立てていって、様々な実験をしたのは難しかったけれど、とても良かったです。最後に行った円を2つ組み合わせて縦模様などをうつし出すのにはとても苦労しました。けれど、最後壁にきれいに線がうつし出されていたのでよかったです。また、印象に残っているのは、紙に針で穴を空けて干渉器のレンズの間に入れると、穴の形によってさまざまな模様がうつし出されるという実験です。ハートや星の形などをしてみると、くもの巣のような模様ができてとてもきれいでした。少しの差でも大きな違いが出るというのはとても不思議でした。
- 今日は光の干渉を起こす実験をした。光が波運動をして、いくつかの波が交わるところが明るくなることを自分たちで考えながら実験を行えられたので楽しかった。また、様々な望遠鏡の原理も理解することができたのですごくよかった。次回の ELCAS も楽しみです。
- 今回は光学で、光の回折を使った実験をたくさん行いました。しぼりを入れるだけで、波紋のような光が出たり、2本の棒状の穴のスリットを入れると、濃い光が3本になるなどとても楽しい実験が多くありました。また、小さな穴が多いスリットに光を通すときれいな模様になり、理由はわかっていても不思議だなと思いました。今回の実験はやっていてとても感動したので、またやりたいなと思いました。
- 今年最後の実習は光の干渉といった現象について学ぶことができました。このことを学ぶにあたって様々な実験を行ったので、とても印象的でした。普段見ることのできないような光の興味深い姿に加え、実際の天文学に使われている様々な観測機器についても理解を深めることができ、とても良い機会になったと思います。
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- 今回はレーザーを使って「干渉」をしました。いろいろと調節するのが難しかったですが、最終的に成功できてよかったです。マイケルソン干渉は、しましまを作るのが一番難しかったですが、一番、干渉しているのが実験において実感できたと思います。晴れていたら、星や月を見れたらしいのですが、曇っていて残念ながらみれませんでした。みたかったなぁ。
- 非常におもしろかった。今日は実験だけだったが、それの理屈もわかりやすい解説があったので、わかった。光の波長などは今高校でも習っている範囲で、その発展みたいなかんじでよかった。より頭に入ってきやすかった。微妙な角度の調節などで大きく結果がかわったりしてとても繊細だった。
- 今日は難しい実験が多かったため、やりごたえのある体験学習でした。干渉という言葉は知っていましたが、それがどのようなもので、また、何に使われているのかは知らなかったため、理解するのは大変だったもののとても興味深く、充実した4時間でした。
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タンパク質と小分子(薬剤)との結合過程についての解説

分子ビューアーソフトを使った実習の様子

変異型と野性型のノイラミニダーゼの活性中心近傍の比較
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実習指導
高田 彰二(理論生物物理学研究室 教授)
チューター
佐久間 航也(修士課程 1回生)
清水 将裕(修士課程 1回生)
ボランティア
高木 勇輔(修士課程 1回生)
齋藤 真美(修士課程 2回生)
坂井 冬樹(博士課程 3回生)
実施場所
理学研究科1号館 201, 202号室
実習内容
分子ビューアーソフトを用いて、ノイラミニダーゼ-オセルタミビル複合体の結晶構造を観察する。変異型ノイラミニダーゼと野性型の構造を比較し、オセルタミビル耐性の変異型タンパク質がなぜ耐性をもつのか、構造生物学的に考察した。
受講生の感想
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- 今日はインターネット上にタンパク質のデータを3Dでうつしだして、インフルエンザウィルスに使われるリレンザとタミフルについてよく調べました。まず第一にインターネット上に3Dのデータが入っているサイトがあるということが驚きました。英語ばかりの画面に、「このアミノ酸をこういう状態で出してください」という命令を打ち込んだり、画面をいっぱい引き出して見比べたりしていると、あれ…何やってたんだっけ…? となることもありました。でも今回は若干薬学の部分に触れられて楽しかったです。野生型と変異型とでは効く薬も変わるということはなんとなく理解できますが、なぜ効いていた薬が効かなくなってしまったのかがわからないので、薬が変わるといっても、どうすればいいのかわからないわけです。ですが今回のように形の変化を見比べて、薬の形がはまらなくなったのだということがわかるとなんだかすっきりします。変異型が出たら出た分薬をパワーアップさせていけばいいじゃないかと思うわけですが、人体への影響も調べながらやっていかないといけないので、難しいのだと思いました。家でもぜひやってみようと思います。ありがとうございました。
- 「ウイルスに対し薬が効く」というのはどういうものなのかが分かり、もっと深く知りたいと思いました。またパソコンからのタンパク質データを取得する方法が分かり、その中で、タンパク質の表示方法を色々と変えることができることに感動しました。よくテレビの科学番組などで必ず出てくるようなものを自分の手でパソコンを操作して表示するのはなんて楽しいことだったでしょうか。また自分のパソコンを使ってやってみたいと思いました。
- 今回の実習では、インフルエンザウィルスの構造を見、タミフルがなぜきかなくなったのかということを学習しました。274番目のHがYに変わっただけでタミフルがききにくくなるというのは知りませんでした。タミフルがききにくくなるのは野性型のインフルエンザのときではうまいこと結合するためよくきくが、変異型だとむりやり形をかえてはまろうとするため長い時間結合することはできなくなり、ききにくくなるというのは初めて知りました。今日はありがとうございます。
- 学校で習ったインフルエンザのことがこんなに奥深いと思わなかった!根本の根本を探っていくとなぜそうなるのか?というところが分かってきて面白かった。PDBjというサイトも初めて知ったし、構造をあんなに明確に示せるなんて作った人天才やなと思った。身近に聞いたことのあるタミフルやリレンザの仕組みやそれがウィルスに効いていく仕組みを知ると改めて人間の体もそれに合った薬も偉大だと感じた。ノーベル賞を受賞した人は根本の根本を突き詰めていく人なんやなと感動した。私は難しいことやめんどくさいことになると興味があったことも投げ出してしまいがちなので納得の行くまで、面白いと思えるまで追究したいと思った!知れば知るほど疑問が出てくるしもっと知りたいなと思う。自分の知っている知識の浅はかさをいつもここに来ると感じる(笑)次回もがんばります!!
- 今日の実習で、インフルエンザの治療薬のリレンザ(これは商品名で、本当の物質の名前はザビミナル)の構造のモデルを見て、こんな形で本当にインフルエンザに効くのかと驚きました。思っていたよりもシンプルかつ単純な構造でびっくりしました。また、H1N1の野生株の274番目のタンパク質が変異するだけで、リレンザ(ザナミビル)300倍もの耐性がつくことに一番驚きました。私は「たかが一個のタンパク質が置き換わっただけで」と思っていましたが、それは大きな間違いだと気づくことができてよかったと思います。今回の実習も非常に面白かったです。
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量子化学計算の体験後、自発的にGaussianを操作して、各自が計算している様子。

ひとりひとり興味のある分子について量子化学計算している様子。

量子化学計算した結果の分子構造を興味深く考察している様子。 |
実習指導
金 賢得 (量子化学研究室 助教)
チューター
植野 正嗣(博士課程 3回生)
伊藤 広伸(博士課程 1回生)
実施場所
理学研究科 6号館 158号室
実習内容
まず、第一原理計算について、量子力学的視点からその原理説明を行い、代表的なソフトウェアであるGaussianについて、その操作方法を説明しながら簡単な分子についてデモンストレーションを行い、当該分子の持つ特性の解説を行った。
それを受けて、各自が考えてきた自分の計算したい分子について、Gaussianを用いて実際にひとりひとりが量子化学計算を行った。それぞれの学生がグルコースなど、自分の興味のある分子を考えて、インプットファイルを作成し、計算を実行し、結果のファイルの解析まで行った。特に、HOMOやLUMOの解析や、分子内振動の振動数の解析、そして初期構造と最適化構造の構造の違いについて、考察をした。
受講生の感想
- 自分でカフェインという分子を選んで構造最適化計算を行った。大きな分子は初期構造を作るのも大変で、計算もストップしがちになり、大きな分子の計算は相当大変なんだろうなと実感した。
- 今まで実際に手を動かした実験しかしたことのない僕にとって、すごく画期的に思えました。家でもできるそうなので、実際に家でインストールしてやってみたいと思います。
- 物理や数学が基礎になっていて難しかったが、教科書に載っている安定構造以外の様々な分子を見れて楽しかった。エネルギーやばね的な分子振動の様子も様ざまな種類があり、高校で習う分子の姿は本当にほんの一部なんだと実感できた。しかし、高校の化学を理解しないと今回の実習内容も理解できないので、まずは高校での勉強を頑張りたいと思いました。
- またひとつ化学の新しい分野を知ることができました。どの分子もくねくね動いている姿がかわいかったです。量子化学の本を紹介していただいたので、読んでみようと思います。
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- 自分で考えた分子だけでなく、以前に別のELCASでの実験で出てきた有機分子を計算でき、とてもよかった。コンピュータにしかできない分子の動きやエネルギーの計算は量子化学計算の大きな特徴であることが分かった。ぜひ家でもインストールして自分の力で挑戦してみたい。
- 今回実際に量子化学計算をコンピュータ上でしてみて、この手法の威力を実感できた。たとえば分子のどこに化学結合が生じやすいかも電荷の偏りで説明できると理解できました。計算条件によって制度や計算時間が大きく変わり、その条件の設定の大切さが実感できた。
- 実際のGaussianの計算はひとりひとり丁寧に教えていただいたこともあり、すぐに慣れることができた。慣れてからは、アセトン、グリセリン、ナフタレンなど、気になる分子を次々に計算するのが楽しくて仕方なかった。実験をしない化学は高校では学べないので、とてもいい経験でした。
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