ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

 

第6期

2013年 12月 7  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1

発表の様子

実習指導

 吉川 謙一(数学教室 教授)
 川口 周(数学教室 准教授)

チューター

 石川 勲(修士課程 2回生)

ボランティア

 横田 真秀(博士課程 1回生)

実施場所

 理学研究科3号館109号室

実習内容

 今回はCauchy's rigidity の証明を完了した。今まではずっと整数論で複雑な式変形や計算であったが、今回は幾何学の定理だったので一味違った雰囲気であった。次回はあまり分野にとらわれない小定理のようなものを皆でやっていく予定である。

受講生の感想

  • 今日は幾何の証明をしたが、これまでとは雰囲気が一転し面白かったです。次もまた雰囲気が変わるのでまた楽しみだ。
  • 幾何になって、感覚的なものが多くなってきて、頭を使うことが多くなりました。けれども整数よりも楽しいし、やってて面白いです。
  • 今日はチャプター13のコーシーの剛性定理の証明が終わりました。今日はおもしろい話が多く、勉強になりました。次回の担当の範囲をがんばりたいです。
  • 今回は宇宙についての講演からでした。数学好きだけどやっぱり他の分野の話もきくと楽しいです。体験学習コースの方は、幾何の話だったのでまだイメージしやすかった、かも。球上の多角形に余弦定理のようなものを使うというのが面白かったです。また新しい証明担当することになったのでコツコツ頑張っていきたいと思います。数学力だけでなく英語力も欲しい・・・。(切実)
  • 純粋に楽しかったです。

物理

実習1

ガンマ線のスペクトルを確認する

実習2

高田先生から検出器の説明を受ける生徒達

実習指導

 高田 淳史(宇宙線研究室 助教)

チューター

 小田  真(修士課程 1回生)

実施場所

 理学研究科5号館北棟 262号室 

実習内容

 高エネルギー天文学において重要なガンマ線の測定実験を行う。

 検出器にGSOシンチレータと光電子増倍管を用い、MCAで線源のガンマ線のスペクトルを測定する。

 また、線源と検出器の間に厚さ1mmの鉛を何枚か置き、その枚数で遮蔽の効果がどう変わるのかを定量的に観測する。

 データ解析にはgnuplotというツールを使い、プロットやフィッティングなどの重要な操作を学んでもらう。

受講生の感想

  • 今回はγ線を観測し、解析しました。γ線というものを間接的にではありますが、自分の目で見ることができ非常に貴重な経験になったと思います。シンチレータや光電子増倍管などは名前や働きについては知っていましたが、その具体的な仕組みについてはほとんどなにもしらなかったので勉強になりました。巷で噂のセシウム137を使って実験できたことも驚きであり、また非常に楽しいものでした。グループで実験をするというのはやはり良いものです。今回担当だった先生は非常に親身になって分かりやすく教えてくださったので、より理解を深めることができました。ありがとうございました。
  • 今日はγ線の測定をしました。実験手順から一つ一つ丁寧に教えていただきとても分かりやすく面白かったです。実験の測定中は質問をしたり実験室にある他の実験装置の説明をしてもらったり、充実した時間を過ごせました。中には普通には見ることもできなさそうな高価なものもあり大学のすごさを実感しました。コンピュータープログラムでグラフをつくる作業は今までやったことがないほどハイレベルに思えたのですが、教えていただいたことで理解が深まったと思います。テーマ自体がだんだん重くなってきていますが、その分実習の内容も濃く興味深いことばかりでした。
  • 中学時代に簡単にはγ線の遮蔽の実験をした経験はあったが本日はその結果を用いて解析までできて、精密で視覚的な体験ができた。解析をするには数値が必要であり式が必要である。また、グラフを描く作業が伴う。パソコンを通してそれらの数値の規則性を見出し、それを更に遮蔽する鉛の枚数ごとで分析する。プログラミングしていく中で「ガウス関数」という万能なものがあると知り、感動した。結果的に指数関数をまだ習得していないので理解に苦しむ部分もあったが、とても充実した2時間だった。ありがとうございました。
  • 今日は自分達でガンマ線を測定し解析していくとき、ガンマ線を遮るためにPbの枚数を増やしていくと、グラフのピークが指数的に変化していき、指数関数で表わすことができたというのが驚きでした。指数的に変化するということは枚数を増やしても透過の比率は変わらないという理解でよいのか、そのあたりが私にとって非常に難しいところでした。またシンチレーターというものの仕組みが自分の知っているものと似通っているところがあり、理解できたのでよかったと思います。それをもっと人に分かりやすく説明できるようにしたいと思いました。
  • γ線を測定し、(測定する機械の前に鉛の板を1枚ずつ増やし、置いていって)そのγ線の量の変化を測定・解析した。最終的には鉛の板を1枚増やすごとに、γ線の量が一定の割合で減少する(即ち、指数関数的に単調減少していく)ことが分かった。この事実を知り、なんとなく数学で習った「常用対数」の話題を思い出した。gnuplotというフリーソフトを、グラフ(横軸:鉛板の枚数、縦軸:γ線量)の描画に用いた。とても扱いやすいソフトだなーと感じ、また何かしらの実験をした時には利用したいと思う。

宇宙地球

実習1

研究紹介の一環として気象学の基礎を学んだ。

実習2

途中で数学についての解説も織り交ぜた。

実習3

講義の最後に質疑応答の時間が設けられた。

実習指導

 余田 成男(気象学研究室 教授)

チューター

 新原  快(修士課程1回生)

実施場所

 理学研究科1号館462教室

実習内容

 本日は、天気予報の仕組みやカオス状態により予測の限界があるということを電卓を用いた実験を通して学んだ。

 最初に、研究についての背景から、それに必要となる基礎について学び、さらに研究の目的や国際協力のあり方について説明を受けた。次に、数値天気予報の流れから、天気予報は観測とコンピュータ計算で行われていることを理解した。そして、カオスについて説明を受けた後、予測モデルが完璧でも、予測の限界があるということを学んだ。そして、電卓を用いて繰り返し計算を行い、使用した電卓の機種により、計算結果が大きく異なり、カオス状態を実感した。

受講生の感想

  • 以前から少し気になっていたカオスの話が聞けて、とても興味深かったです。また、天気予報は物理でやっているということは、「このような大気の時はこうなる可能性が高い」という統計で予報しているイメージを持っていたので驚きでした。
  • 同じ国でも同じ月の一年後の天気予報は全く違うので、グラフに表すとその違いがよくわかりました。私たちの今は5億次元での一点というのが興味深かったです。コンピュータ技術の進歩はとても良いことだと思うけど、使う電力は30億円と、どんどん増えていっているというのは環境に良くないと思いました。それは、これからの技術を発達させていくうえでの一番の問題点なのではないかと思います。電卓での計算は機種によって、答えが異なるというのにとても驚きました。これからの社会の上で役立つことが学べて良かったです。
  • 今回は天気の予報についてのお話を聞きました。予報ではカオスという予報の限界があり、電卓でそのカオスを体験しました。予測するときに少しでも初期値が違うだけで結果が大きく違うところがとても驚きました。さらに、一年違うだけで天気予測が実際の天気と比べて大きく違ったり似ているものであったりして、不思議だなと思い興味がわきました。
  • 今日は気象について天気を予報するという側面から教えていただき、日頃よく目にする天気予報について理解を深められる一日となりました。非常に興味を持ったのは、初期データの微小な差異でもその後の予報に天と地ほどの差を与えてしまうということです。はずれることもよくある天気予報にもこのような原因が付きまとっていて、その予報の大変さがうかがえ、天気予報というものの複雑さ、困難さというものが身にしみて感じられました。
  • 今日は電卓カオス実験をしました。Lorenzがしたピンボールやそり、滑り落ちるスキー板などが方向の違いとかがあるというのを聞いた時、確率的なことかなと思ったのですが、実際に電卓でやった時、携帯、電卓機で機種によって「違い」がうまれるのを実感したのですごく良かったです。天気予報の観点からつなげた話だったのでとても興味がありました。

生物

実習1

LEDの発光スペクトルの測定

実習2

実習3

エクセルでデータを解析中

実習4

色覚色素の吸収スペクトルとLEDの発光スペクトル

実習5

赤と緑の光で黄色を合成

実習指導

 今元 泰(分子生体情報学分科 准教授)

実施場所

 理学研究科1号館 422号室

実習内容

 1.動物の視覚と色覚についての解説。
 2.光の波長と色の関係の観察。
 3.ヒトがもつ3つの色覚色素の吸収スペクトルを計算する。
 4.二つの単色光を合成して、さまざまな色を再現する。
 5.同じ色に見える光の波長分布を測定し、色覚色素
   の吸収スペクトルと比較する。

受講生の感想

  • 今、一番興味をもっている生物物理分野の講座ということで大変興味深く聴講できた。とくに、目や波長のことについては、以前から興味をもっていたので、詳しく知ることができて本当によかった。Excelを使ってデータ処理、という新鮮な内容も、若干苦労はしたけれど(笑)、データを得られたときの喜びはひとしおだった。今回得られたデータだけでも大分感動したが、今後はそれを使って何か結論(?)を導きだす、考えるということもしてみたいと思った

  • 今回はパソコンを使っての作業でした。目がとっても疲れました。色素の吸収スペクトルをグラフにして視覚的にわかるように、赤、緑、青の三色の吸収スペクトルをExcelにプロットして計算してグラフ化しました。いつもは顕微鏡とにらめっこしたり移動して実験したりすることが多かったので、今回で新たな生物学の一面を知りました。打ちまちがえるとエラーが出たり値がずれてしまったりと正確さが求められる作業でした。最終的にはちゃんとグラフが出てよかったです。でも今回みたいにちまちまやっていたら全然仕事が終わらないので、現代人としてもう少しパソコンとお友だちにならなければと思いました。
  • 人は3色の色覚がベースになって色を見分けているわけですが、ニワトリには紫をたした4色があって、ミツバチや金魚には紫外線もあって、どんな風に見えているか知りたいと思いました。まだまだ光には奥がありそうなので、もっとくわしく調べてみようと思います。
  • とても興味深い授業でした。色覚の違いがグラフによって表すことができることが分かり、驚きました。また、進化に深く関係しているそうなので、とても重要な研究だと思いました。また、赤緑色覚異常の人のグラフを見て、「まだ人間のDNAには昔、夜行性だったときの地図(データ)が残っているのか」と知って、もしかすると今生きている生物の中のデータをさぐっていくと、生物がどのように進化していったのか、またどのような姿をしていた時代があったのかが発見できるのではないかと思いました。

  • 私は自らの研究テーマの一部に光度計を用いて吸光度に関するデータ集めをしています。その吸光度を求めるのに、こんなにも大変だとは思いもよりませんでした。また、Excelの難しさと、その大切さに改めて気づきました。今回の実習も非常に有意義で面白かったと思います。ちなみに、ミツバチは紫外線を見ることが出来ると聞いて少し驚きました。やはり、科学の世界には私の知らないことがたくさんあって、それらはとても面白く興味深いものだと改めて実感しました。また、人間の脳にだけでなく、目にもシナプスがあるということにもとても驚きました。やはり、先入観だけで物事を見つめるのは良くないことを改めて実感しました。次の実習も楽しみです。

  • 今回は、光に関する体験だった。人間など、たいていの動物にそなわっている目が日常の生活には欠かせないことは分かっていたが、目が認識する色の波長の範囲がそれぞれの動物によって異なることは知らなかった。人間には見ることのできない波長も見えるようになることで、動物の行動の仕方などが解明されていることに驚いた。人間には見ることのできない波長を見えるようにする遺伝子を作り出し、組み込むことで、新たなおもしろい見え方ができるようになると思った。目は人間にとっては最も重要な感覚器官だと思うので、目の謎についてさらに解明し、未知なる物質の発見もできるのではないかと思った。

    化学

    実習1

    第一原理計算のデモンストレーション風景
    (分子の構造と軌道を解析中)

    実習指導

     金 賢得 (量子化学研究室 助教)

    チューター

     植野 正嗣(博士課程 3回生)
     伊藤 広伸(博士課程 1回生)

    実施場所

     理学研究科 6号館 158号室

    実習内容

     1.計算化学分野の位置づけを化学という分野全体の中で行ない、どのような利点と不利点があるかを紹介した。

     2.第一原理計算について、量子力学的視点からその原理説明を行った。

     3.第一原理計算の代表的なソフトウェアであるGaussianについて、その操作方法を様々な分子について行い、解説し、当該分子の持つ特性の解説を行った。

    受講生の感想

    • 1つの分子でも様々な振動の仕方をしていると知り、分子が増えたらどれだけ複雑なのだろうと思いました。分子軌道のHOMOとLUMOの話はとても興味深かったです。理論化学では反応していく過程も見れ、特に水分子たちが液体から固体に変化していく様子には心奪われました。来週の実習が楽しみです。
    • 教科書の中の水分子は曲がっていてその状態をキープしているように見える。しかし、数値実験ではその曲がり具合を変えたり、水素と酸素の間を変えたり、水分子が一番安定する構造を説明できる。エネルギー面が山肌に似ていて、面白かった。
    • 高校化学よりさらに詳しい「分子軌道」について教えてもらったことにより、物質がどうして構造を持つのか理解が深まった。フラスコの中だけでなく、計算機上でもモデルを動かしたり、プログラムを走らせる化学もあるのだと知り、エネルギーやどんな状態に今あるかといったこと、どのように変化するかを見ることができることなど、面白いと思いました。次回までにしっかりと調べて臨みたいと思います。
    • 前回と違って、コンピュータで仮想的な実験を行うというもので驚いた。自分が教科書で学んできた分子も、いろいろと形を自由に変えることができると聞き、面白かった。「実験を行わない化学」に触れることができてとてもよかった。
    • 今までコンピュータ上でなされる研究についてほとんど知らなかったので、水分子の運動やたんぱく質の動きを実際に見せていただいて、様々な応用の可能性を感じました。来週の実習がとても楽しみです。
    • 今までの化学はフラスコの中で反応させるというイメージしかなかったが、コンピュータの中で分子の状態を計算して反応機構などを解明すると聞いて驚いた。分子の構造や電子がどのように移動するかなど、実際の実験では観測できないことを解明できるのはすごいと思った。

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