ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ(第4期)

2011年10月15日  数 学  物 理  宇宙地球  生 物  化 学

数学

実習1
位相空間という高度な数学を用いて素数が無限個あることを証明

実習2
素数はいつでも2つの平方数の和で書けるだろうか?
実習3
「ビュフォンの針」について解説してくれました

実習指導

 伊藤 哲史(准教授)

チューター 

 岩木 耕平(数理解析研究所 博士課程 1回生)

 佐藤 信夫(博士課程 1回生)

実施場所

 理学部3号館108号室

実習内容

 実習の前半はテキストの「Proofs from THE BOOK」の1章の「素数が無限個存在することの6通りの証明」で、前回残っていた部分を担当の学生に発表してもらった。残っていたのは位相空間という、大学2年生で習うような高校生にとっては高度な数学を用いた証明法であり、学生たちは理解するのに皆苦労している様子だった。発表してくれた学生は大学生が開くような専門書を見てよく予習していて、非常に感心した。後半は同じくテキストの3章の「素数を2つの平方数の和で書けるか?」という内容で、その判定に必要となるいくつかの命題を学生に発表してもらった。そして、4n+1型の素数は2つの平方数の和で書けることが証明できた。さらに、余った時間で「ビュフォンの針」という確率論の問題についても発表してもらった。

受講生の感想

  • とても難しかったです。けど色々分かって楽しかったです。
  • 100分におよぶ証明は迫力があった。証明を理解するのはなかなか苦労した。
  • 位相空間を用いた素数が無限個あることの証明を発表したが、とても難しかった。また勉強を頑張りたいと思う。
  • 集合や確率は得意ではないけれど面白かった。素数が2つの平方数の和になるのは興味深いと思った。
  • 問題を解く時間、もしくは日を作ってほしい。都合等で予習ができなかった場合、ついていくのが困難になる。各発表者の発表する日はきっちり決めておかないと、内容が前後したりしてよくない気がする。
  • 前半の(素数が無限個あることの)証明がかなり難しかった。証明を説明する難しさを感じた。頭では理解できても言葉にするのが大変だった。

物理

実習1
講師から予備知識と手順の説明を受ける

実習3
冷却用のドライアイスを細かく砕く
実習2
完成した霧箱を用いて宇宙線を確認する

実習指導

 南野 彰宏 (高エネルギー物理学 助教)

チューター 

 関 繁人 (修士課程1回生)、長崎 時大(修士課程1回生)

実施場所

 理学部5号館302号室

実習内容

 講師から素粒子に関する予備知識と、霧箱の制作手順についての説明を受けたのち、家庭で手に入る材料を用いて霧箱を作り、環境中に存在する放射線や宇宙線を実際に目で見た。また、市販のランタンマントルを中に入れて、放射線が出ているかを見た。また、実験室の見学や、講師の研究紹介も行った。

受講生の感想

  • 霧箱は一発目に成功してよかったが、ランタンを入れての実験に失敗して残念だった。研究室の中を案内してもらえてよかった。先生の研究についての話も聞けてよかった。
  • 以前から気になっていた霧箱実験を、実際にすることができてよかったと思う。なかなかうまく見れなかったが、少しはミュー粒子を見ることができた。機会があればもう何度か家でもやってみたいと思った。ミュー粒子が地球にかなり降り注いでいることは知っていたが、実際にその飛跡を見ることで、身近な粒子なのだということが実感できた。
  • 今日は、霧箱を作るという初めて実習らしいことをした。実はこれもまたプライベートでやったことがあるのだが、久しぶりにやったら無理だと思っていた。が、なんと1回目でα線、β線、宇宙線が確認できた。嬉しかった。そしてドライアイスを割ることとか、童心に帰ったようで楽しめた。また、今話題の137Csも見れてよかった。けれど、今回学校の文化祭で偶然に霧箱をする予定なので丁度いいタイムリーな講義だった。しかし、不規則に出現するα線はまるで流れ星を見ているようだったが、やっぱり秩序はないんだなあって感じた。
  • 今回の体験学習コースは、新聞にも載っていたニュートリノのことだったので、僕にもわかりやすかった内容だと思います。身近なものを使って実験することもとても重要だと感じました。また、物理と気象は意外と関係が深いと思いました。なので、頑張って気象の勉強もしていきたいです。
  • またこういう身近な実験をやりたいです。あんなに簡単に放射線が見られると思っていませんでしたので、びっくりしました。指導してくださった方たちも面白いのですごく楽しかったです。
  • ELCASで初めての実験でした。霧箱を製作し、宇宙線やα線、β線を見ました。霧箱を作る手順は簡単でしたが、ドライアイスで冷やす温度やアルコールの量の微妙な違いでグループでの見える量が全然違いました。ニュートリノの説明も聞くことができてよかったです。将来自分達が大学院に入る頃には新しいニュートリノの実験に就くことができるかもしれないそうです。そのころニュートリノの実験はどうなっているのかとても楽しみです。

宇宙地球

実習1
分光器(回折格子)の説明

実習2
天文台施設見学(45cm屈折望遠鏡)

実習3
太陽東縁と西縁の分光データを見比べているところ

実習指導

 野上 大作 (附属天文台 助教)

ボランティア

 石井 貴子(派遣職員)

実施場所

 花山天文台

実習内容

 花山天文台の施設見学を行った。天候が悪かったため、以前にとったデータを利用して、分光観測データから太陽自転速度を測定する練習を行った。次回(11月第3週)は、天候が良ければ、実際に自分たちでデータを取得して自転速度を測定する予定。

受講生の感想

  • 今日の体験学習コースは、実際に花山天文台に行くことが出来て、とても良かったです。見学が殆んどメインで、最後に手計算があったので、ちょうど良かったです。本物の天文台はあまり見たことがなかったので、とても良い経験になりました。また花山天文台へ行って、今度は望遠鏡を実際に使用するということなので、とても楽しみです。講師の方にも優しく教えていただいたので、とてもよく理解することが出来ました。
  • 雨ですごく残念だったけど、日本一古い手動の望遠鏡を見れたり、有名な建築家の方が建てた資料館を見て天井を自分で開けさせてもらえたり、歴史あるものをたくさん見られてよかったです。京都大学の天文台がそんなに古いとは思いませんでした。最後の太陽光の波長の計算は難しくて、周りの人より時間がかかってしまったので、次は追いつけるようにがんばります。今日1日で、やっぱり天文学って楽しいな、と思いました。11月3日(第3週?)が晴天であることを祈ります。
  • 古い建物のにおいが良かった。この天文台の古さをよく知れてよかった。古い新聞などの記事などにもこの天文台の写真がのっていたりしてけっこう有名なんだなと思ってやっぱり京大すごいなと思った。昔の望遠鏡でもすごい大きくてそれだけやっぱり遠い星をみるのは大変なんだなと思った。最後に分光をして計算をして太陽の自転速度を求めるのが一番たのしかった。こんな風にして遠いところにあるわかるはずもないような速度もわかるんだなと驚いた。
  • 研究で実際に使われている、或いは以前つかわれていた望遠鏡を見れたのは良かった。学校で学習しただけの回折格子の実際の利用法等を見れて、学校で習っていることと実用がリンクしていて良かった。今回は曇りで望遠鏡を使えなかったのが残念だが、次回楽しみたい。
  • 今回は、花山天文台での太陽観測の予定でしたが、あいにくの雨で観測はできませんでした。前回も機械が壊れて、実習ができなかったので、残念でした。ですが、花山天文台の色々な建物を見学できて、楽しかったです。古い望遠鏡がたくさんあって、昔は色(今?)のような便利な機械がなかったにも関わらず、あんなものを作れたということに驚きました。
  • 80年前の望遠鏡や100年前の望遠鏡など普段は見ることができないものがたくさん見れたのでとても楽しかったです。天候に左右されるので、次の実習の時は晴れてほしいと思います。色々な探検ができて面白かったです。大きな望遠鏡は本当に感動しました。ドームが動いたのもびっくりで、また動かしてほしいと思いました。
  • 花山天文台にある、いろいろな設備を見るkとができてよかったです。80年とか100年とか聞いて、ビックリしました。歴史があって、取り壊しができない建物とかがあったのには驚きました。計算の練習もできてよかったです。11月19日には、晴天の下で、作業をしたいです。
  • 今日の体験学習コースでは、花山天文台に行かせていただいた。新しいものでも、40年の歴史があり、古いものでは100年以上というものもあった。ほとんどのものは手動であり、すごく歴史を感じさせてこれるものだった。また、普段は入れない所にも入れさせていただき、とても貴重な経験をさせていただいた。太陽の自転速度も求めた。

生物

実習1
RASMOLについての説明

実習2リガント周辺での構造比較
実習3
野生型と変異型の比較

実習指導

 高田 彰二(理論生物物理学研究室 准教授)

チューター 

 田中 智大(理学部4回生)、三吉 洋平(修士課程1回生)

実施場所

 理学部1号館202号室

実習内容

 タンパク描画ツールであるrasmolとPDBについての説明の後にrasmolのマウスを用いた操作及びコマンドラインからの操作をミオグロビンを用いて練習する。またそれを用いてインフルエンザの構成タンパク質であるノイラミニダーゼにタミフルがついた構造の解析を行い、それとタミフル耐性のあるノイラミニダーゼ変異体にタミフルがついたもののの構造の違いを原子スケールで考察し、耐性の原因を考察する。

受講生の感想

  • Rasmolを使ってウイルスの構造を観察してみて、難しいことも多かったけれど、ウイルスの構造が少しわかったような気がしました。タミフルのついたノイラミニダーゼの野生株とH274Y変異株とを比較してみる作業はとても大変でしたが、比較してみるとタミフルの形が少し変わっているのが分かりました。少し変異をしただけでタミフルが効かなくなってしまうなんて、すごいことだなと思いました。またH274Y株が発見されたのはヨーロッパということで、タミフルの耐性を作るために変異をしたのではなく、次々と変異を続けることで、耐性を持つウイルスができた、ということを知って驚きました。家でもRasmolをインストールして次はリレンザの場合も観察してみたいと思います。 今回、ウイルスの構造について勉強できてよかったです。ありがとうございました!!
  • タンパク質の構造を見るということは初めてだったので、見てとても感動しました。家のパソコンでもこんなことが出来るという事にも驚きました。インフルエンザウイルスが耐性を身につけて 年々変化するという事は知っていましたが、それが1つのタンパク質によるものだとは知りませんでした。構造を見るとタミフルの形が変わっていることが分かり、こんなに少しの違いで 薬が効かなくなってしまうんだとウイルスに恐ろしさも覚えました。私はタミフルを使ったことによってウイルスが変化し、タミフルを効かないようにしたのだと思っていました。
     しかしそうではなく、このH274Yの変異株はヨーロッパで発生したということを知り、驚きました。タミフルは日本が4分の3を使用していて、この変異株はそのタミフルの影響で変異したのではなく、それが日本にやって来てしまったという事です。インフルエンザにはかかった事がありますが、まだまだ知らない事がたくさんあり、 今日はとても楽しかったです。また家でも見てみたいと思います。
  • とても楽しかったです。前から「生物物理でなんだろう」と興味があったので、その一部の勉強を体験することができて本当に良かったです。はじめはインフルエンザについて 説明を聞きました。私もインフルエンザになったことが有りますがその構造までは知りませんでした。戦うためにはまず敵を知ることが大事だと思いました。その後、プロテイン データバンクでタンパク質を検索しました。私はまず、けんサックスるほどタンパク質の種類があることも知らなかったし、こんな複雑な構造をしていることも知らなくて驚きの 連続でした。そしてこれら1つ1つを解析してきた人たちがいるのだと思うと、人類の進歩は素晴らしいと思いました。今後インフルエンザにかかってタミフルやリレンザを飲むときは (かかりたくはないですが)、もっとありがたくいただこうとおもいました。
  • 今回はELCAS2回目の参加だったが、前回とは全く違い目に見えない世界、ミクロの世界の話だった。それも毎年冬になると、私達を苦しめるインフルエンザウイルスから細かい タンパク質の構造について調べた。インフルエンザの治療に使われるタミフルがどのようにしてインフルエンザウイルスを倒すのかがわかり、そして毎年どんどん成長するインフルエンザウイルスにタミフルが効かなくなるのは構造上のどういう理由からなのかということが少し予想できた。今回はタミフルにおける変化のみを調べて、変異体と野生で比較してみたが、今度家でもタミフル以外のインフルエンザの治療に使われるリレンザでも調べたいと思う。野生と変異体の違いがはっきりと理由づけして説明できればこれからインフルエンザの恐怖はなくなるのではないだろうかと思う。今日は目で見ることのできない不思議な世界が見られて面白く、またそういう研究にも大変興味を持った。
  • 実験をせずに、コンピューター上のみで研究をするという生物学に触れることができてとても面白かった。インフルエンザウイルスにタミフルが作用する様子や、タミフル耐性のインフルエンザウイルスの変化などが分子レベルで見ることができてとても興味深かった。今回タミフルを通してはじめて薬の作用を知ることができて、このような研究は薬の開発に欠かせないことがよくわかり、とても興味深かった。また家で様々なタンパク質を見てみたい。
  • ウイルスが増えるのを止めるためにリレンザやタミフルがあるということを聞いて驚きました。てっきりリレンザやタミフルがウイルス自体を消しているとおもってました。最近のインフルエンザにタミフルでなくリレンザを飲むのはタミフルが子供に良くないと言うだけでなくタンパク質の変異によってタミフルが効かなくなるという理由もあるのかなと思いました。今回は色々な知らない単語が出てきたのでりかいするために必要な知識をつけたいと思います。そして家に帰ってぜひ、rasmolで自分も実験してみたいです。
  • コンピューターでrasmolを使って楽しかったです。タンパク質の構造を初めて見たときとても複雑だなと思いました。でも操作していくうちに慣れてきて何が何を意味しているのか分かっていきました。野生株とH274Y変異体は何が違うのか最初は分からなかったです。でもタミフルと274と276を比べてみたら、確かに微妙に276が274に押されてタミフルの形が変わっていました。この分かりにくい違いを最初に見つけた人はすごいなと思いました。そしてこんな少しの違いでタミフルがきかなくなっていることにとても驚きました。薬はパソコンを使ったミクロの世界で研究されていることを知って勉強になりました。

化学

実習1
DNAのHPLC精製

実習2
ESI-MassによるDNAの質量分析

実習1
nanodropを用いたDNAの吸光測定

実習指導

 坂東 俊和(生物化学研究室 准教授)

チューター 

 池端 桂一(修士課程1回生)、金里 脩平(理学部4回生)

実施場所

 理学部2号館517号室

実習内容

 前回合成したDNA hexamer をHPLCを用いて精製し、nanodropによるDNAの特徴的な吸光を確認し、またESI-Massを用いた質量分析を行う。化学構造描画ソフトにより構造の確認、質量の計算を行い、ESI-Massで得られた値と照合して目的のDNA人工合成が達成されていることを確認する。

受講生の感想

  • Massスペクトルが2価であることがピークの分子量でよく分かり感動しました。今回もメインは機械でしたが、機械をうごかしている間の説明がとても分かりやすく、今機械でどういったことが起きているのかがよく分かりました。少し脱線して放射線の話なども聞け大変勉強になりました。次回は用事で参加できず残念ですが、次々回と合宿がとても楽しみです。
  • 目に見えないDNAが数値で表されていて、2価が0.5ずつになっていてすごかったです。化学的な薬品から生物のDNAがつくれて、化学ってすごいなと思いました。クロマトグラフィーもいろいろな種類があると聞きました。またもっと他のDNAを合成してみたいし、DNAについてもっと知りたいです。
  • 今日は2週間前に作ったDNAが、目的のものになったかという確認をしました。マイクロピペットの扱いから丁寧に指導していただきました。高速液体クロマトグラフィの理解には時間を要しましたが、理解できると凄く納得できました。他にもESI-Mass測定や、ChemDrawを使わせてもらいました。あのソフト、本当に欲しい…! 実験中も時々投げかけられる質問に皆で答えたりするとかが、とても楽しいし、高次元だなと思いました。次回も楽しみです! 今日はありがとうございました!
  • 今日は2週間前はより理解しにくい実験で難しかったですが最後には理想値が出て良かったです。DNAについてより詳しくわかったので学校の勉強にも役立たせたいです。
  • 今日は4時間みっちりと実習できた。高校で習ったクロマトグラフィーについての話は何度も何度も説明してくれたので理解できたような気がする。DNAについて何も知らなかった自分は少し成長できたような気もする。次の実習もがんばっていきたい。
  • 今回の体験では前回作ったDNAを、より純粋なものにし、確かめる実験をしました。実験の途中、一年の化学の授業で少し触れていた内容が、ここでしっかりと活かされている事に驚きました。その他にも数多くの工夫がデータで測定する際に盛りこまれていました。色々な人達が積み重ねてきた成果が、今日の科学を支えていることが実感できました。
  • 全部の実験過程で精密さを重視しているのが分かりました。原理は”物を飛ばしてその距離を測定する”で比較的簡単な装置のようだったんですが、ほこりへの対策などへの警戒の厳重さがすごかったです。
  • 前回に引き続いてDNAの合成を行った。回を重ねるごとに精密さを要求する操作になってきて、本格的になってきているのを感じた。今回は実験室巡りもしたが、ほとんどが見慣れない機械で、こんなところで実験をしているんだなあとわくわくした。合宿でもがんばっていきたい。

過去の体験コース
2011年

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