ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2009年2月21日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

森脇淳 教授
チューター:木村嘉之(博士課程 2回生),長尾有晃(博士課程 2回生)

実施場所:理学研究科 3号館 109号室

部分ラテン方陣の箱の数がn-1以下であれば位数nのラテン方陣に拡張できると主張するEvans予想について、特に異なる元の数がn/2以下の場合の証明を、高校生に発表させた。

講読している本『天書の証明』の第25章の前半部分に当たる。

また、ラテン長方形の拡張についての問題を出題した。

ラテン方陣の説明  

ELCASメンバー用WIKI・数学もご参照ください。より詳しい解説の記載があります。

受講したELCASメンバーの感想文

  • ラテン方陣に入りました。前に証明してあったホールの結婚定理を利用するところが、たくさんあって、難しかったけど、面白かったです。
  • 発表して、とても疲れました。緊張して分かっていたはずのことも忘れてしまって、うまく出来なかったです。
  • すごくゆっくり説明してもらってわかりやすかった。自分で考えて全く分からなかったところがようやく分かった。
  • 行列がまだ未習なので、理解しがったんですけど、何とか頑張りました。
  • 今回のは分かりやすくて、面白かった。
  • ラテン方陣は考えていて楽しかったです。補題2の途中の計算は難しいと思いました。実際にラテン方陣を作ってみたら分かりやすかったです。行と列がたまに混ざるので、もっと慣れないといけないと思います。
  • なんか長かった。本も黒板も見ながらだと、分かりやすい。

物理

今井 憲一 教授
チューター:佐田優太(修士課程1回生),酒向正己(修士課程1回生)

実施場所:理学研究科 5号館 323号室

前回使ったシンチレーション検出器からの信号をNIMモジュールにつなぎ、discriminetor(シグナルのデジタル化)、coincidence(シグナルの同期)、scaler(カウントの可視化)のそれぞれのモジュールの使い方を学び、宇宙線の数を測定してもらった。また、休憩時間には磁石で鉄球を加速させるガウス加速器にも触れてもらった。

実験の様子 ガウス加速器
シンチレーターとオシロスコープ

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日のミューオンの測定はなかなか高校ではみることができない機器等を使い、とても貴重な経験ができたと思う。
    また、とても簡単なことに一見思えるようなことが、実は法則に従うとうまくできているということや、実際に実験を通してやれたことはとても
    よかったと思う。
  • 今日は先週の続きで実験をした。
    新しくディスクリミネーター、ヴィジュアルスケーラー、コインシデンスモジュールというものを使って、さらに結果が見やすくなったし、 2つのシンチレーション検出器を重ねたりして検出するというのも実験で見れてとても面白かった。 接続やコードの数とか、機械がどういう働きをしているのかややこしいけど自分達で求めることができるのは楽しいと思った。
    ガウス加速器は運動量保存則とエネルギー保存則が関係していると聞き、初めは疑っていたけど磁石が関係していたと知ってびっくりした。
  • ガウス加速器という、とても興味深いものを見せてもらった。 12000円という値段なので買うか自分で作るなどして、遊んでみたいと思いました。 学校で買ったら磁石などが速攻でなくなりそうだと感じました。
    あと、友達と話す話題がなくなったときに突如宇宙線の話などをしてみたいと思いました。
  • 前回教えてもらった宇宙線の観測の方法をさらに発展させ、エネルギーの大きさだけでなく、一秒間にどれだけ地球に届くのかということや、2枚同時に通り抜ける宇宙線の数を調べたりと、 とても高度な実験をさせてもらった。 自分達で準備から結果の考察まですることができたのでうれしかった。
  • 今回は実験をたくさんできてよかったです。特にガウス加速器が面白かったです。
    シンチレーション検出器は覚えることがいっぱいでたいへんでしたが高価な実験器具を使って実験できたのがよかったです。
  • ガウス加速器が面白かったです。鉄球を飛ばしたときに少しの距離しか飛ばなかったのが残念でした。
    物理はいろいろ自分で考えて応用できるので楽しいです。
    シンチレーター等をつなぐのは前回のときの記憶が薄れていたので困りました。
    次回も苦労しそうです。

天文

長田哲也 教授
チューター:佐野武(修士課程2回生),田村哲之(修士課程2回生)

実施場所:理学研究科 4号館 5階会議室

ブレッドボードで回路を作成し、青、黄、橙、赤、赤外の5色のLEDを発光させた。LEDへの印加電圧の大きさと回路を流れる電流の大きさを5種類のLEDそれぞれについて測定し、LEDの色と電流-電圧の関係を調べた。またペンライトで光を照射したときのLEDの電圧を測定し、光電効果を確認した。

LEDの電流‐電圧の関係について説明を受ける様子     テスターを用いてLEDの電圧を測定

携帯電話のカメラ機能で赤外LEDが発光している

ことを確認

受講したELCASメンバーの感想文

  • ダイオードの特性について電流計を用いて調べた。高校の物理ではダイオードを含む回路は出てこないので、興味深かった。ダイオードに抵抗や電池をつながなくても、周囲の光によりダイオードに電圧、電流が流れるのは面白かった。コイルの電磁誘導に似ていると思った。これにより、星の光をダイオードを利用して測定することができるそうだ。また前半の講義では、ダイオードの仕組みが詳しく書かれた紙を配ってもらい、良かったと思う。
  • 初めて見るものもあって、内容はまだ始まりの方なんだろうけどとても楽しかった。これからどんなことをするのかとわくわくしている。
  • アインシュタインのノーベル賞受賞理由が、相対性理論というよりも光電子(不確定性原理)にあるということには驚きました。また、実習では、半導体を次々と変えることで、その半導体を光らせるのに必要なVやmAを求めるのは、とても楽しく感じました。さらに、最後の実験は、光が電気に変わるというものでしたが、これを利用することで星の観測をしたりできると聞いて、光は、いろいろな事に利用できるのだなと思いました。
  • 授業で物理分野の辺りは一通りやっていたのでそんなに難しくはなかった。LEDは色によって電圧が変わるし、しかもそれが虹の色と同じように大小が決まっているのは初めて知った。テスターの値が変わってしまうという問題点が出てきてしまったけど、逆に謎が深まって、興味をひかれるものだった。実験道具が全部もらえて、京大は気前が良いなぁと思った。
  • 今日から、実験を行うということで、楽しみにしていたが、期待以上に面白かった。家で色々しらべたいです。星の光をエネルギーにするっていうのは実用できたらすごいと思います。
  • レーザーポインターの光をエネルギー源として、発光ダイオードに電流が流れることに、驚いた。器具は全て使ったことがあったので、楽に実験することができた。これからの電気信号への発展が楽しみ~。
  • 物理の実験というもの自体が一年ぶりで、とても新鮮に感じました。今回はLEDライトを使ったもので最初こそわけのわからない実験でしたが、丁寧な説明・指導をいただいたので、理解を深めることも、楽しむこともでき、本当に有意義でした。電気という、あまり得意ではない分野でしたが、少し見方がかわって、その点もよかったと思います。実験を通して結果がわかるというのは、私にとっては本当に好きな事で、今回も同じで、またこのような実習をしてみたいです。本日の実習、本当にありがとうございました。

生物

阿形清和 教授

船山典子 准教授

井上武 助教
チューター:岡本和子(修士課程2回生),和田一洋(修士課程2回生)
実施場所:理学研究科1号館BP1

1.科学研究、発生・再生、プラナリアについての説明

2.組織染色像(神経、咽頭に色をつけたプラナリア)を観察

3.プラナリアの観察、切断実験(頭部、胴体部、尾部)

4.プラナリアが再生する過程(再生0、1、3、5、8日目)を観察

5.プラナリアの行動の観察(走化性、走光性)

6.再生プラナリアの行動が回復する様子を観察する

7.ディスカッション

プラナリアについての説明中の様子 プラナリア行動実験中
行った実験について、ディスカッション中

受講したELCASメンバーの感想文

  • プラナリアについて「切っても再生する」ことしか知らなかったので、それが最近よく耳にする全能性幹細胞によるものだということや、再生のしくみを聞いて思ったより複雑で、研究のしがいがある分野だな、と思いました。切断後の再生の経過と光に対する反応をエサに対する反応の観察をして、「どうしてそうなるのか?」と考え、他の人の結果を比べ、推測をしたことで、実際に話を聞くだけではわからないというか、思いつかないことが分かって来ました。しかしそれと同時に疑問もあったので、また機会があったら研究してみたいなと思いました。今回は「サイエンスとは?」という観点で、推測、観察をしたので、今後実験や研究をする上で、大切な考え方を学べたと思います。

  • 今日は、プラナリアの再生度合いと光やエサに対する走性の出現の変化についての実験をしました。体の半分くらいの長さに伸びる咽頭に驚くとともに、実験結果を明確に出す為の苦労、今回で言えば、同じ遺伝子の個体を得る為にクローンを大量に作ったり、光を当てた時のプラナリアのストレスによる影響を定量的に測定する工夫をすると言ったことが必要であることをしり、自分が研究をする時に、果たしてここまで気が回るのかと不安になりました。友人といっしょにプラナリアを捕まえる約束をしたので、家でもプラナリアを見ることが出来そうです。

  • 今日まで、プラナリアがどんな生き物なのかと言うことを知りませんでした。1番目の体験でプラナリアを切ってそれをもともとのシャーレの中に戻した時に普通に動いていたのを見て、まず驚きました。一度ヤモリのしっぽだけが動いてるのを見たこともあったけど、今回の実験ではどう切っても死なないということがすごくよく分かりました。また再生していく様子をみて、どこをどう切り落とされても、前には頭が、後ろには尾ができその間の部分で、それぞれ首になる細胞などが作られていくといことが視覚的に理解することができました。目が3つあるものや1つに見えるものもいて驚きました。最後のエサを使った実験では自分が調べたものだけ他のみんなと違う結果がでたりしてとまどったけど、実験することの楽しさを実感しました。こういう実験もいつか医療などの役に立っていったりもするのかなーと思うとすごいなーと思いました。

  • 今回はものすごくいい経験をさえてもらいました。研究とは何かというのもなんとなくわかったし、いかに観察が大事かということも教えてもらいました。今までにはできなかった実験などをさせてもらったり、それについての論議も出来たし、新発見もあったのでとても楽しかったです。またプラナリアが鳥のレバーを食べるということにとても感動しました。自分でプラナリアを切ると言うことも出来て、切った後の断片がまだ動いているということにさらに感動しました。本当にいい経験ができたなあと思いました。

  • 今日はプラナリアを使って実験しました。プラナリアはどこを切っても再生するのでとても不思議な生物でした。頭を切り落としてみたり、体を半分にしたり、もう戻れないだろうという様な状態でも再生して感心しました。プラナリアは光が嫌いで光を当てたら逃げていったけれど、大好きな鳥のレバーを入れると光にあたりながらもレバーを食べていて、食べるのが好きなんだなーと思いました。プラナリアはとてもかわいかったので、捕まえてペットにしたいです。30個くらい目のあるプラナリアを捕まえます。