ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年2月6日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:丸橋 広和(修士課程 1回生),竹内 光(修士課程 1回生)広瀬 稔(修士課程 1回生)

実施場所:理学研究科3号館109号

Shuffling cardsの章に入った。 「(プロ野球チップス、またはポケモン等の)カード集めが趣味の人がいるとして、n種類集めるまでに果たしてだいたい何回くらい買わないといけないか」(Coupon collector's problem)という回数の期待値を求める本の箇所を解説してもらった。 調和級数がlogで近似できるという部分が高校1年生には少し難しかったかなと感じた。



受講したELCASメンバーの感想文

  • 難しかったけど理解はできた。次の発表頑張りたいです。
  • 今日は確率をしました。私はもともと確率は苦手で分からなかったらどうしようと不安になりましたが、分かりやすく教えて下さったので良かったです。
  • 今日は私が解説の担当だったのですが難しくてうまく説明できませんでした。次こそちゃんと説明できるようにしっかり勉強しようと思います。しかし新しい数学の記号を知れたのは面白かったです。
  • 今日の内容はだいたい理解できてよかった。
  • The coupon collector についてやった。H_nとかeとか知らない記号がいっぱいでできた。

物理   

米澤 進吾(助教) 

チューター:野沢 勇樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

前回は低温で電子が止まってしまわない理由をフェルミエネルギーを用いて説明したが、それらの議論は絶対零度でかつ粒子に相互作用が働かないという仮定のもとであった。なので今回の講義では、有限温度でかつ粒子に働く相互作用を考慮したとき、その影響は無視できることを説明した。また前回出された宿題の解説も行った。 後半は米澤さんの所属する固体量子物性の実験室を見学した。ヘリウム3冷凍機や、希釈冷凍機などの冷凍機を実際に見た。

 
講義の様子
ラボツアーの様子 ヘリウム3冷凍機

 

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今まで写真でしか見たことがなかった冷凍機などの実験器具が見れてうれしかったです。
  • 研究室は何度言っても楽しい。冷凍装置がいろいろな手法を使っているのがすごく面白かった。ただ単に液体窒素で冷やしたり液体ヘリウムで冷やすだけじゃなくて、蒸発を利用したり、特にヘリウム3とヘリウム4の微妙な違いを見事に活用してるのを見た時には感動してしまった。
  • いろいろな研究所を見学できて楽しかったです。ヘリウムを溜める部屋を見れなかったのは残念でした。また機会があれば入って見てみたいです。
  • ラボツアーが意外に面白かったです。おもに突っ込むところが多かったので。フェルミオンの振る舞いについても楽しくいろいろと分かりました。前回のフェルミエネルギーの結論も理解できました。
  • 実際に研究室に入れてよかったです。繊細な機器ばっかりなのに、いろいろな原始的な工夫がされていたのが面白かったです。
  • 同じエネルギーに入れる粒子が1つしかないことで、金属中の電子はフェルミエネルギーという高いエネルギーを極低温でも持っていて、銅だとフェルミ温度はだいたい8,000Kもあるそうで、イメージからすると非常に高い感じがするので驚きだなあと思います。
  • 後半の研究室ツアーではヘリウム3とヘリウム4を混ぜた時のヘリウム3の状態変化を利用した、新しい化合物をつくるためのアーク炉を見ることができました。ヘリウム3は高価らしく使用済みヘリウム3の回収管が天井をはっているのが何となく面白いなあと思いました。
  • Fermi粒子が1つの状態に1つしか存在できないときに、熱エネルギーや相互作用について考える必要がないかを教えてもらいました。図を使ったせつめいでわかりやすかったです。その後のラボツアーではヘリウム3とヘリウム4の性質の違いを利用した希釈冷凍機を見ました。同位体なのにこんなに性質の違うヘリウムってすごいなあと思いました。

天文

柴田一成(教授)、野上大作(助教)、加藤精一(非常勤講師)

チューター:西田圭佑(研究員)、西島豪宏(D1)、川井大輔(B1)

理学研究科1号館531号室

最初に、柴田教授による講義があり、宇宙におけるダイナミックな諸現象とそれらを解明するための道具としてのシミュレーションの紹介があった。次に運動方程式を差分化して時間発展させていく方法についての説明があった。次に加藤講師の指導のもと、Fortranコンパイラ等のインストールを行い、単純な微分方程式をEuler法で解くサンプルプログラムの実行を行った。

宇宙におけるダイナミックな諸現象の紹介。 ニュートンの運動方程式の解説。
Fortranコンパイラの使い方の解説。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • だいぶ難しかったです。
    自分にできるのかすごく不安になりました。
    チューターの方が、隣でパソコンを開き同時進行で説明して下さったので非常に助けになりました。
    もう少し自分でも理解できるようになりたいです。今日はありがとうございます。
  • プログラミングということで、何度もエラーが出て大変だったが、その分出来たときは嬉しかった。
    また、たかだか20数行のプログラミングであれだけエラーが出たので、今後のプログラミングが少し不安になった。
  •    
  • パソコンで数値計算をしたんだけれども、慣れていなかったので、相当手こずってしまった。次回までにはもう少しプログラミング慣れして、最終的に目標としている銀河同士の衝突のシュミレーションができるくらいまで、実力を上げたいと思う。
  • やりたかったプログラミングの学習に入って嬉しかった。シミュレーションを自分で作成して、それが作動する喜びを感じてみたいと思った。
  • シミュレーションの基礎練をしてみて、パソコンの苦手な私にとっては難しいけど、今日、学んだことはだいたい理解できました。 次からはもっと難しくなっていくと思うので、家で復習をしたいと思います。
  • 自分の書いたようにプログラムが動き面白かった。もう少しプログラムの説明をしてほしい。

生物

七田 芳則(教授)、今元 泰(准教授)、山下 高廣(助教)

チューター:荒瀬 壮兵(学部4回生)
ボランティア:前田 亮(M1)、矢野 雅裕(M1)

実施場所:理学部6号館4階 学生実習室

桿体視細胞外節から調製したロドプシンに光を当てて退色させ、これにレチナールを加えてロドプシンが再生していく過程を、分光光度計で吸収スペクトルを測定して観察した。 また、ロドプシンに元々結合している11cis-レチナールと異なる、9cis-レチナールで 再生させたアイソロドプシンとの比較により、ロドプシンの吸光特性や光反応性質を考察した。 そして、液体窒素温度下で起こるロドプシン⇔バソロドプシン⇔アイソロドプシンの光平衡が照射波長によってどのようにシフトするかということを、試料の色の変化を観察することによって考察した。

 
液体窒素中で光を照射
照射中の試料の様子
分光光度計によるロドプシン再生過程の観察

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 眼の中の仕組みを可視化する実験ができて楽しかった。先生が面白くて飽きずに楽しめた。液体窒素が冷たくてびっくりした。
  • 今回は、日常の中の出来事を科学的な視点で実験や説明を通して理解することができたので、とても充実していて良かった。眼の中の仕組み(おもに視細胞のロドプシン)は実際その仕組みを知ると、日々の生活が変わりそうで改めて物事の真実を知るのは素晴らしいことだと思った。
  • 今日は眼の網膜にあるロドプシンについて実験した。光を感じる部分があって、元々赤色で光を感じると無色になるという知らなかったことを知れて良かった。アミノ酸が違うと反応も違って面白かった。
  • ロドプシンの名前は以前から知っていたけど、詳しく知ったのは初めてだったので、とても興味深かった。波長の違う光を当てることで異なる反応が見れたのがとても楽しかった。
  • 今日は視物質の反応を見た。元々赤かったものが光を受けることで色が変わり、それがタンパク質が変化していることで起こるというのがすごかった。
  • 眼がものを見る仕組みについて踏み込んだ実験ができたので楽しかった。人は赤から紫(300~700nm)までしか見えないけれど、昆虫は紫外線が見えたり、紫外線のおかげで昆虫は人と違う花の模様が見えると言われていたり、色の世界は不思議だと思った。

化学

中西和樹(准教授)、金森主祥(助教)

チューター:宮坂晶(M1)、前田幸太朗(M1)

実施場所:理学部2号館514号室

ガラスについて、結晶との違いを中心に中西先生が1時間20分ほど講義を行いました。その後金森先生が実験室を案内し、実験装置について簡単な説明をしました。

中西先生による講義

実験室の見学

実験装置の説明

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 結晶とガラスの違いについて聞いた。ガラスは固体ではなく液体だということは聞いたことがあったけれど、詳しくは知らなかった。今日、それが詳しく聞けてよかった。でも、難しくてよくわからなかった。ノートにはきちんと書きとめておいたので、また今度しらべてみたい。
  • 自分の中ではっきりしていなかった結晶と非結晶のちがいがよく分かりました。今日のお話は普段のと比べて簡単だったので少し安心しました。ここでは、ガラスについて調べてどのようなことをしようとしているのですか。
  • とてもわかりやすい説明でよかった。ふだん身近にあるガラスだが、このような様々な性質や化学変化を起こすということは全く知らなかったのでとても興味がもてた。結晶についてもいままで知らなかった様々な事を知ることができて良かった。初めて電子顕微鏡を見ることができ嬉しかったです。
  • 高校で無機化学を習ったときは少ししかでてこなかったシリカゲルのことを詳しく説明してくれて、高校では気にせず流したけれど、すごく面白かったです。今回は単位格子とか超臨界状態とか知ってる言葉もでてきて、ちょっとほっとしました。
  • 今日は、ガラスと結晶の違いと、次回する実験についてのお話を伺いました。もともとまったく知らなかった「シリカ」というものについて、とても分かりやすく説明していただき少し理解することができました。また、研究室の色々な道具を見ることができて、次回の実験がとても楽しみになりました。今日習ったことをちゃんと復習して次回の実験に取り組みたいです。
  • 本日の体験は、身近なガラスについてのお話でした。先生の説明は基本的なところから丁寧なもので理解しやすかったです。よく吸水剤や脱臭剤に利用されるシリカの原理もしっかりと教えてもらって面白かったです。こういう事を知っていくのは、本当に有意義な時間だと思うし、滅多にない機会だと思います。実験室の器具も興味深いものばかりで、是非使っているところを見てみたいです。