ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2011年 1月 15日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:広瀬 稔(修士課程2回生)、佐藤 信夫(修士課程 2回生)、竹内 光(修士課程 2回生)

実施場所:理学部3号館 109講義室

前半は『カードをシャッフルする』の章を担当の生徒に発表してもらった。確率分布など、高校生には掴みづらい概念がたくさん出てくる章なので、具体例を挙げて確認しつつすすめた。前年度のELCAS報告集で作成した冊子の『カードをシャッフルする』の日本語訳が役に立った。後半は、前に時間が余ってしまったときに出題した問題が解けたという生徒がいたので前で説明してもらった。帰り間際に生徒が分からない問題を持ってきたのでみんなで考えた。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回は確率についての話を聞きました。また、前回出された整数の問題が解けたので発表しました。いつになるかわかりませんが、僕がやっているテーマについてもできれば発表してみたいです。
  • 今回の学習コースではシャッフルのことについてやったが、大変興味深そうなのでもう一度冊子で確認してみたい。また、整数に関する証明では、こんな証明法があるのか、と衝撃をうけた!
  • 確率分布というのを初めてやって、いろいろな記号が出てきたので難しかった。
  • とても楽しくきけた。
  • やっと「シャッフル」の日本語訳が来た・・・。難しいが、やはり言語の壁はあったようで、まだ理解しやすかった。また、「p∈P,x∈N,x|2^p-1⇒x≡1(mod p)」を示せ」の証明に感心したりした。よく証明したな・・・。

物理   

南野 彰宏(高エネルギー物理学研究室 助教)、常見 俊直(研究員)

チューター:平木 貴宏(修士課程1回生)、山内 隆寛(修士課程1回生)、渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

半導体とそれを利用した光検出器のしくみについての講義をうけたあと、LEDを光らせる回路と光を検出する回路を作り、LEDの出す光を検出してみた。また、人間にはどの程度暗い光がみえるのか、光検出器を使って調べた。

 
回路作成 できあがった検出器の回路
検出器のテスト

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 本日、体験学習かふすと言ふ物にて、ふぉとんを観測する実験と言ふものありけり。光に交ぢりて単独ふぉとん見え難しも、苦労の甲斐ありて、オシロスコープにより漸くふぉとん捕らへたり。嬉しきこと言ふかひなし。「飛ぶふぉとんの流れは絶へずして、しかももとのふぉとんにあらず。光源から出づるふぉとんのうたかたは、かつ消へ、かつ来たりて、久しく滞まりたる例しなし。」げに鴨長明の「方丈記」にいふこともまたまことなり。ふぉとんこそ、なんと捕らえがたしものなれ。
  • 高エネ研の講義は初めてでした。オシロスコープを使って測定するは、慣れていたこともあってよく分かったと思います。MPPCをつかって行われている実験にニュートリノ振動を観測するためのT2K実験などがあるそうです。これは聞いたことのある実験だったのですが、改めてニュートリノの研究の面白さが少し分かったような気がします。
  • オプションコースでは、携帯などのカメラと、一眼レフのカメラの解像度の違いについてわかって興味深かった。体験コースでは回路をつくるのがなかな難しかったがちゃんと人間がなんとか判別できた光も、ちゃんと検出できて嬉しかった。
  • 久々のはんだづけでしたが、まあうまくできたのでほっとしています。理論だけでなくしっかり実験もやらえていただいたので嬉しかったですし、実験の難しさも知りました。結果的に成功してよかったです。あと2回も頑張りたいです。
  • はんだごては楽しかった。最後の最後にフォトンというものがみえてよかった。ただシングルフォトンがみれなくて残念だった。
  • ・今回自分の大好きな電子工作をすることができた。ミューオン検出の原理である機器を作った。・N型半導体やP型半導体の原理をより深く知ることができた。
  • 今日の体験学習コースは半導体の性質から始まり、光検出器とLEDの発光器をつくって実験をした。人間の目で見える光子の数が、このような簡単な実験で測定できることを知り、非常に面白かった。次回からはミューオンの寿命測定をする予定だったようだが、時間がないそうなので実験ができるのか心配だ。
  • LEDをsinで光らせるとゆっくりついたり消えたりするのがきれいだった。あとLEDの光る原理や半導体の原理がわかって面白かった。実験がなかなか成功しなくて時間がかかったけど最後に成功して良かった。
  • 実験がうまくいってよかったです。まさかELCASで人間の目のt限界に挑戦できるとは思っていませんでした。体脂肪計のしくみもなんとなくわかり、とゆう参加だったのに思ったより多くのことを吸収できました。

天文

野上 大作 (恒星物理研究室 助教)

チューター:石井 貴子(研究員)、阿南 徹(博士課程1回生)

実施場所:

太陽赤道東西の太陽縁のスペクトルを花山天文台太陽館で観測し、太陽光球起源の鉄吸収線(6302.499Å)のドップラー効果による波長のずれを測定し太陽の自転速度を調べる。今回は観測し、太陽自転速度導出原理を勉強した。

太陽館シーロスタットの鏡の蓋を取り外して観測準備 太陽を導入
花山天文台見学。歴史館にて。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日はこの前の天文台の実習に引き続き、太陽の観測を行いました。また、前回、太陽の自転速度を求める計算の解説もしていただきながら、その続きを行ないました。前回はどんな作業をすればよいのか全く分からない状態でしたが、ドップラー効果や光の性質について一から説明していただき、何とか理解できて良かったです。今日はありがとうございました。
  • 今回の観測で黒点が見れなかったことは残念でした。それでも日暮れまで太陽がはっきりと見えたので、よかったと思います。また、時間があまり残っておらず太陽の自転速度まで求めることができませんでした。できるところまで家でやってみたいと思います。
  • 今日は天気予報で雪が出ていて、空も曇っていたので太陽観測は不可能だと考えていましたが、途中で晴れてきたから、太陽観測をすることはできましたが、ずっと外にいたから、とても寒くて手が凍りそうだったので、カイロはとても助かりました。前回よりは太陽の観測は東の方は上手にできたので、良かったと考えています。また、太陽が雲にかくれている間に、太陽望遠鏡の下や望遠鏡の1つ等、前回行かなかった場所を見ることができたから、良い経験になったと考えています。太陽の自転の速さの計算の仕方はある程度は理解する事は出来ましたので良かったと考えています。しかし、黒点を見ることはできなかったので、次回こそは最初から晴れていて、黒点を見る事ができたらいいと考えました。
  • ドップラー効果について教えてもらった。救急車のサイレンの音の変化から、太陽の自転速度まで分かってすごいと思った。
  • 今回は前回同様太陽の観測の予定でしたが、あいにくのくもり空&雪がちらちら舞っていたので、今日は晴れるまで天文台の見学をしました。太陽館の下や地下の見学は普段あまり見ないような所で「裏側」といった感じで新鮮でした。そうしてる間に太陽が顔を出してくれたので、少しだけ観測することができました。今の実習のテーマは「太陽の自転速度を出す」ということで、西の端、東の端の波長の写真を撮りました。ドップラー効果の説明では、今どういうことをやっているのかということがよく分かりました。太陽は固形物ではないので、西と東の端を測る・・・という話はすごく納得しました。次回は、ちゃんと速度を出して、前回も今回も見れなかったので、黒点が見えるといいです。というより、次回こそはちゃんと晴れてほしいです。今日もありがとうございました。
  • 少ししか参加できなかったので、何をしたのかわからなかったですが、前回やろうとしていた計算の意味が理解できました。ドップラー効果のしくみがよくわかりました。波長がどの距離からとっても同じなのはすごいなあと思いました。
  • 今日は太陽の観測2回目。前半は太陽が出なくて、どうなるかと思ったけど、地下等色々な所を探検して楽しかった。昔の望遠鏡とか時計とかすごいなと思った。途中から太陽出てきて良かった。計算の仕方はまだいまいち分からないけど、ドップラー効果の原理はなんとなく理解できて良かった。

 

生物

疋田 努(動物系統学 教授)

チューター:栗田 和紀(博士課程1回生) 、中野 隆文(修士課程1回生)

実施場所:理学部2号館216号

爬虫類の同定:京大総合博物館に所蔵されているマダガスカル産のカメレオン・ヘビ類標本の同定を行った.検索表等の同定支援情報を使用して,形態形質の観察からそれぞれの標本の学名を決定した.爬虫類の液浸標本は退色してしまうため,最後に観察した標本の生態写真と採集地の写真のスライドと共にマダガスカル採集旅行の紹介を行った.

爬虫類の分類形質の説明を行う疋田教授 標本の観察から学名が決定される

観察した爬虫類の生態写真を紹介する疋田教授

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日はヘビ,カメレオンの種族の同定の実習だった.はじめは判断の基準となる”key”が英語だったこともあり,本当にできるのか不安だったが,ウロコの数を数えたり,作業を進めていく内に,少しずつ要領をつかむことができた.そして同定が終了し,それが正解だとわかった時は,本当に嬉しかった.最初のもやもやが一気に晴れた時の爽快さは,筆舌につくり難い.今日も有難うございました.
  • 今日,初めてまともに種の同定をしたわけですが,いや~難しい.まず,keyが英語なわけで.英語嫌いの私にはそれだけでも大変なのですが,それに加え,同種としか思えないくらい似ている奴もいまして.1人一匹ずつくばられたのですが,なぜか私の担当はどちらもややこしく.同定の大変さがよくわかりました.
  • 今日の体験学習講座ではマダガスカルのヘビとカメレオンの種の同定を行いました.僕はは虫類が大好きなのでとても楽しかったです.カメレオンの種の同定はかなり難しかったのですが,先生に助けてもらって種の同定ができました.また,テレビでしか見ていなかったトビトカゲやトビヘビの標本をも見ることができてかなり貴重な体験になったと思います.さらに,マダガスカルの動物のスライドショーを見て,マダガスカルにはとても珍しい種がいるのだなぁと思いました.とても貴重な体験をすることができたので感謝しております.
  • 今回は,ヘビとカメレオンの同定をした.トカゲの同定を一度したことがあるので,似たようなヘビの同定はスムーズに進んだが,カメレオンの方は,難航した.同定につかう資料は,英語であるため,専門的な単語が出てくると,立ち止まるしかなかった.このような活動は,久しく,楽しかった.
  • ・今日はヘビとカメレオンの標本を使って,種類を判別しました.200以上もあるうろこを数えたり,たくさんあるうろこには名前があり,それがどのような位置に存在しているか,など多くのkey(検索表)を使って,1つの種類に特定していきました.なかなか,これには根気がいりました.
    ・先生の外国での採集の活動がすごくおもしろかったです.私もいずれ外国に行ってみたいと思いました.でも,病気にはかかりたくないですね(汗).
    ・分類学は,生物の進化などを調べる上で,とても重要であるということがわかりました.また,興味があれば調べてみたいと思います.
  • 今日は,今までで1番楽しかったし,分かりやすかった.ハ虫類を手でさわったのも初めてだし,イグアナとかカメレオンも実際見たことがなくて良い経験でした.マダガスカルにいる多種多様のハ虫類は色も形も生き延びるために工夫されていました.最先端科学もすごいことだと思うけど,今回のような生物の研究も最先端科学と同じくらい必要で素敵なことだと思いました.
  • 私は爬虫類が好きなので,今日の実習は標本とか,じっくり細かいところまで見ることができてとてもおもしろかったです.マダガスカルには死ぬまでに1回は行きたいと思っていますが,話をきいて,やっぱり病気とか大変みたいで,病気には負けない体にきたえたいと思います!ヘビの分類とかにうろこの数を二百枚とか数えないといけない,というのは驚きでした.雑な私には少しつらい作業です(笑).
  • ハ虫類は,(特にヘビ)昔から少し苦手意識がありました.今日,実際に標本を見て,意外と目が可愛かったのに驚きました.最初は触るのに抵抗があったものの,慣れると可愛く見えました.実習の方は,標本のヘビやカメレオンを出してきて,その属や種類をうろこの数などから推測するものでした.英語でkeyが書かれてあったので読めませんでしたが,頑張って読めるようになったら良いと思いました.今日はハ虫類のかわいさが良くわかって良かったです.

化学

中井 郁代 (分子分光研究室 助教)

チューター:南部 範行(修士課程1回生)、石野 雄太(学部4回生)

実施場所:理学部6号館5階 化学学生実験室

光触媒である二酸化チタンを用いて実験を行った。まず粒径の異なる二酸化チタン微粒子を2種類用意し、それぞれの懸濁液について紫外-可視吸収スペクトルを測定し、バンドギャップと粒径の相関を見た。次にメチレンブルーの吸収スペクトルを指標として、二酸化チタンを触媒とした光反応による有機物の分解を観測した。

 
中井助教による実験の説明 二酸化チタンの懸濁液を作成中。この後もう一度
薄めて紫外可視吸収スペクトルを測定。
メチレンブルー水溶液に二酸化チタンの粉末を
入れ紫外光を照射

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日の内容は前よりもわかりやすかった。実験では同じようなことを何度も繰り返して少し疲れた。でも途中から慣れてきて楽しかった。化学反応の時間と濃度のグラフが指数関数になるのはとても興味があり、調べてみたいと思う。
  • 二酸化チタンの反応がここまで素早く起こるとは思いませんでした。二酸化チタンが使われた製品が多い理由がわかりました。分光光度計を初めて使い、その数値の意味を初めて知りました。今後学校でも使えるようになればと思います。
  • 今日は二酸化チタンのバンドギャップの計測とメチレンブルーの分解を実験しました。二酸化チタンは光触媒で、光が当たると有機物を分解するという性質があり、実生活の中でもさまざまなところで活用されているところがとても興味深かったです。実験の中で粒子の大きさの違いで吸収する光の波長が変化する、それは電子の波長が短くなることによるものだとわかってよかった。
  • 光触媒とかいう言葉は耳にしたことはあったけれども、いったい何なのか知らず、今回初めて、少し理解できてよかった。実際に実験をすることで、より理解できた。
  • 今日の実験はメチレンブルーを使った実験できれいだった。それに反応が起こると青色が薄くなっていったのでわかりやすかった。でもその現象の1つ1つにはちゃんとした理由があって今の僕の学力と知識じゃまだ分からないことばかり。いつか学校でより多くのことを学んだら今日の実験データをもう一度見直してみたい。
  • 二酸化チタンが光触媒になることは知っていたけれど、今日の実験で分解するものに、二酸化チタンだけ、または光だけ、という条件では全然分解せず、光と二酸化チタンの両方がなくてはいけねいというのがとても面白いと思いました