ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年12月4日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:佐藤信夫(修士課程 2回生)、竹内 光(修士課程 2回生)、広瀬 稔(修士課程2回生)

実施場所:理学部3号館 109講義室

n個の壁を持つ美術館を警備するにはn/3の人数で十分であることを証明してもらった。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • 敗北しました。
  • 美術館の警備員の数え方についてでしたが、不思議な内容でした!!でも面白かったです。
  • 説明が分かりやすくて美術館の警備員の数が分かってすごいと思った。
  • 深く掘り下げると難しいと思った。n/3以下でいいのに驚いた
  • 警備員の最低人数が分かるのがすごいと感じた。すばらしい(?)説明だった。

物理   

米澤 進吾(固体量子物性研究室 准教授)、常見 俊直(研究員)

チューター:石川 諒(修士課程1回生)、軽部 皓介(修士課程1回生)、渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館115号室、223号室

米澤先生に超低温の物理についての講義をうけたあと、日常にあるいろいろなものを液体窒素で冷やしたり、銅酸化物超伝導体を液体窒素で冷やして超伝導に特有の現象が現れる様子を観察した。

 
電気抵抗と温度のグラフ マイスナー効果とピン止め効果による磁気浮上
花を液体窒素で凍らせてみる

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 超伝導については2年目だったので、去年よりは話が分かりやすかったです。Bosonです!!相変わらず磁束の量子化が難しいですが、今日は少し数学的につっこんだ話を聴けて楽しかったです。ψ=|ψ|e^(iθ)の関数形だから位相が2πずれても関数が変わらないことがわかりました。
  • 低温、超伝導について学びました。昨年も体験しましたが同じ事をするのでも、超伝導は見ていて楽しいと思います。超伝導体を複素関数で表すことができるというのは興味深いです。磁束が超伝導体に固定されているのを観察すると、磁石で超伝導体を釣ったりできて楽しいです。H.K.Onnesさんは凄いです。
  • オープンコアコースでは宇宙について知識を深めることができた。レーザーを用いた「補償光学」の話が興味深かった。研究室の見学では、0ケルビンに近づける手法についていろいろ聞けた。体験コースでは液体窒素にいろいろな物をいれて遊んだり、超伝導体と磁石を使って遊んだりして楽しかった。マイスナー効果やピン止め効果が見れてすごかった。
  • 液体窒素を生で見ることができ、使うことができたので感動でした。超伝導を見ることができたのも貴重な経験になりました。できれば、直接液体窒素も触りたかった・・・。金属の不思議を身近に体験できてよかったです。みんなよりも先に帰らねば・・・、やっぱり遠くからだとつらいです。
  • ・超伝導の実験を普通の教室で行えることに感動した。・液体窒素で色々なものを凍らせて遊んだ。・超伝導体のピン止め効果で磁石をうかしたのは幻想的だった。・波動関数?複素関数?ELCASが終わるまでにはピン止め効果の理論を少しぐらい理解したい。
  • ・今日は液体窒素を使って金属を超伝導にする実験をした。本当に浮いてかなりおどろいた。・超伝導には写真でしか見たことがなかったがとても感動した。・とてもいい経験ができた。
  • 名前だけはよく知っていた超伝導現象を、実際に確かめることができ、とても面白かった。マイスナー効果やピン止め効果などはまだよく原理が理解できないけれど、今後、自分で勉強して、今日目の当たりにした現象を理解できるようになりたい。一回限りの実習だったが、中身の濃い実習だった。
  • 初めて液体窒素をみました。花を液体窒素に入れてバラバラになったり、バナナで釘が打てたり・・・。いろんな現象が見られてよかったです。化学反応は高温で行われることが多いのですが、逆に超低温で反応させたらどうなるのかとおもいました。たとえば液体窒素と液体水素を混ぜてみるとか・・・。科学の不思議さを感じさせられた一日でした。非常に興味を持てた分野でした。
  • 超伝導に球の磁石をうかすのが楽しかった。あと液体窒素に花を入れてつぶすのがおもしろかったし、キクの花とマーガレットの花のつぶれかたに違いがあったのにびっくりした。また、マシュマロをいれるとカチコチになるけど、とけるとねちょねちょになった。今日はいろいろな実験をして楽しかった。
  • オプションで行った超伝導研究室の元素たちに心が踊りました。ちょうど化学のテスト範囲でラッキーでした。低温センターに行って珍しいものをたくさんみることができて今日も満足です。超伝導も一度見てみたかったので見れてよかったです。-196度のマシュマロは意外とおいしかったです。

天文

余田 成男(気象学研究室 教授)

チューター:竹下 愛実(修士課程1回生)、桜井 佳世(修士課程1回生)

実施場所:理学部1号館350号館

地球温暖化を理解するために非常に大切な、放射という現象について主に学んだ。前半は、地球温暖化の現状に関して様々な視点から考えることによって、定量的な把握を図り、さらに放射の基本的な法則や地球温度との関わりについて講義を行った。後半では、目に見えない放射を体感するため、フライパンやガラスなど身近な道具を用いた簡単な実験を行った。また、温暖化予測の難しさがなぜ生じるのかについて発展的な内容にも触れ、さらに、今まさに多くの知識を身につけつつある高校生たちに、科学の問題解決には幅広い分野の知識が必要であることを伝えた。

地球温暖化について、前回より詳しい内容の講義を行った。 資料を食い入るように見る生徒たち。
実験中は、赤外放射を体感して歓声があがることも。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 以前に化学雑誌で、気象学の難しさを「蝶の羽ばたきで天気が変わる」と比喩されているのを見たことがありますが、それと同じように、地球温暖化においても、個々の現象は物理の法則で完全に説明できてもそれが組み合わさるととても難しくなるということがわかりました。また観測データから法則性を見つけることはできるが、それが何故起こるのかということは高度な知識を要することも実感しました。その他、英語や物理だけではなく世界史についても、役に立たないようで、役に立つことがあるという話がありました。僕も高校生のうちに幅広く学んで知識を蓄えておかないといけないなと、反省しました。ありがとうございました。
  • 今回の講義はその前のオープンコア講座で行われた題材とも関連していて、とても分かりやすいものでした。特に、可視光線だけでなく赤外線でも観測することで新しい発見や違いがあることなどが分かって驚きでした。
  • 今回の話は難しくて理解できないことがたくさんありました。プランクの放射やステファン・ボルツマンの法則等、見たこともない数式が理解できない事がたくさんありました。しかし、赤外線や可視光線で地球が違う見え方をするという事は分かりました。また、放射冷却現象がどのようなものであるかという事も納得しました。さらに、実験から、フライパンの表・裏で温度が変わるという事にとても驚きました。
  • 赤外線を大気が吸収することで温度が上がる、というのを実感することができて面白かった。地球の気候という大きな物を扱うためには、様々な分野の知識が必要であることを知って、これまでの勉強への姿勢を反省した。これからは、テストなどですぐに必要になる知識だけでなく、もっと広い知識を得ていこうと思った。
  • 今日は地球化学分野の実習でした。今日も前回の続きといった感じで地球温暖化についての勉強でした。地球温暖化の温室効果を量的に把握するということで、結構数式が多くて理解するのが難しかったんですが、赤外線の透過率を実際に身体で感じたりと、「おぉ」と納得できることも多かったので、楽しむことができました。今日もありがとうございました。
  • 前回も感じたけれども、宇宙天文学でも地球温暖化についてのことも研究できるんだなぁと感動した。地球が赤外線を出していることをまったく知らなかった。今までは、太陽から来たエネルギーは地表にすべて届いて、温室効果によって少し残ってあとは出て行く、と聞いていたので、地球からもエネルギーを出すこと、大気にも吸収されることなど、初めて聞いたことが多くて楽しかった。今日はありがとうございました。実験おもしろかったです。
  • 難しい数式がたくさん出てきて、こわかったです。でも、いろんなグラフから地球温暖化が実際に起こっていることがわかりました。あと、赤外線を地球からも放出していることを初めて知りました。

生物

篠原 渉 (gCOE 助教)

チューター:掛澤 明弘(修士過程2回生)、小森 晴香(修士課程2回生)

実施場所:理学部附属植物園実習室

シーケンサーで解読したDNAのデータ(プライマーによりいくつかに断片化されている)を、ソフトを使って結合させ、植物サンプルごとに塩基配列を決定した。それをWeb上のDNAデータベースで検索にかけ、植物の同定を行った。

今回の実習の原理の説明を受けています。 解析に使うソフトの使用方法の説明を受けています。
自分のサンプルから得たDNAデータを、一つの配列へとまとめています。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 実際に遺伝子の配列を目で見ることができ、とても新鮮だった。そしてその遺伝子の配列から割り出した植物が、まさに自分の選んだ植物と合致した時は、ささやかな感動を覚えた。また、候補がいくつかあったが、それらと実物とのDNAがかなり酷似していて、こんな差で別の植物となるのかと驚いた。3回にわたり、とても面白い講義をありがとうございました。
  • 今日は、本物の植物の塩基配列を初めて見ることができました。かなり汚く出てしまいましたが・・・。今までのは、教科書などで少し造られたものを見る程度しかできなかったので、実物のものを見ることができてよかったです。しかし、1300もあってほんの一部とは驚きですが、その反面、たった4つの種類の塩基の組み合わせからこの複雑な生物の体が出来上がるなんて、いまだに信じられません。やはり生物は奥深いですね。だから面白いです。次回も楽しみにしています。
  • 今回の体験学習のコースでは前回の続きをしました。この前に取ってきたサンプルの塩基配列を調べ、その系統樹を見ました。今回はパソコン作業をしまして、普段あまりパソコンに触れているというわけではない自分はかなり苦労しましたが、周りの方々の助けをいただき、最後までたどり着くことができたのでほっと一安心しています。自分のサンプルがどの植物であるかわかった時はとてもうれしかったです。今回の体験学習コースも楽しかったので次回も楽しみです。
  • 今回は前回用意したサンプルの配列を調べ、DNAの配列から種類を同定し、各DNAを比較し、系統樹のようなものを作った。DDBJというサイトの存在を初めて知り、検索ができることをすごいと思った。また、その他の、DNA配列に関する、アプリケーションを使え、有意義だと思った。
  • 今日の体験学習コースでは、前々回、前回とやっていた実習の続きでした。コンピューターで配列を記入すると、DDBJではその配列の植物、またはそれに近いものを検索してくれました。検索された植物を、Googleで検索すると、確かに自分が使った植物だったので、とても感激しました。配列で植物が検索されるなんて、とてもすごいと思ったし、初めて知りました。DNAの配列は、他の人の違う植物と比較してみても、共通している部分がとても多かったです。葉の形や表面の様子などは、植物によって違うのに、配列はほとんど一緒なのに驚きました。今回はパソコンを使い、取り込まれたデータを読み込ませたり、自分が使った植物を検索したりしました。
  • 今日はずっとパソコンを使っていました。今までDNAを抽出したり、clean up したりと準備をしてきて、やっと結果が見れた!という感じです。塩基配列はA,T,G,Cが思った以上に多く並んでいて、少し見ていて目が疲れました。でも、検索して、自分が調べた植物に近いものが出てきたときは感動しました。ただ、学名で出てくるので、ぱっと見て何なのかは全くわかりませんでした。今日、パソコンを使っている間、英語だらけで、しっかり英語も身につけなければ!と思いました。

化学

林 重彦(理論化学研究室 准教授)

チューター:中農 浩史(博士課程1回生)、三木 正士(修士課程1回生)

実施場所:理学部6号館252号室

化学を理論的に研究するということについてスライドを使って説明した後、実際にパソコンを用いてシミュレーションを行った。1つ目は、タンパク質の構造が変化していく様子を見た。2つ目は、塩化ナトリウムの結晶を温度を変えたりイオンを追加した後の結晶の挙動の様子を各自操作して体験した。最後に、適当に分子を作ってもらい、最適な構造や配置などを計算してもらい、また電子状態についても説明をして確認してもらった。

 
理論化学についてのプレゼンテーション パソコンを使ったシミュレーション
同上

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回は今までと違って名前に化学がついていて化学っぽいことをするのかと思ったら、実はパソコンを使っていた。実験に頼らずに分子などの性質がわかるのだから実験が面倒に思えた。パソコンで計算するだけで、正確にしかもすぐに結果がわかってしまうと、誤差や失敗の多い実験の必要性がないように思えた。
  • 今回は理論化学の実験をさして頂きました。実験といっても薬品などは一切使わずパソコンを使って分子の動きを計算するというもので、化学は実験の上に成り立っているものだと思いましたが計算のみで理論を立てていくという今までとは全く違ったやり方で化学をアプローチしているところが興味深かったです。パソコンを使って分子の動きをわかりやすく見れて驚きました。パソコンを使うのは苦手ですがこの実習はパソコンも上手になるし化学についてもよく知れる一石二鳥だと思いました。
  • 実験をせず、コンピュータ上のみで化学というものを初めて体験し、とても新鮮な気持ちになった。このような学問があるのだと、自分の世界が広がった気がする。
  • 今日は全てコンピュータを使いゲームをしているような気分になった。僕はコンピュータ操作が苦手だけどたまにはこういうのもいいか、と思った。
  • コンピュータで分子軌道を簡単にみることができるというのは面白いと思いました。化学なので実験するかと思って来てしないと聞いて最初に思っていたのより全然興味深かったです。電子がかたよったりして反応がおきやすいというような位置を知れるのは初めて知ったので驚きました。
  • 前回の体験の知識とつなげて考えたりできて楽しかったです。量子力学はあまりわかりませんでしたが、原子・分子・電子は「波」の性質を強く持っているということをわかりやすく説明してくださってとても勉強になりました。コンピュータの操作が多くてすこし大変でした。
  • 量子力学と他の化学との違いからどんな事を実際にされているのか、分かりやすい説明と実際に自分達がパソコンでシュミレーションをしてみて、よく分かりました。工夫して計算して解くというところが、おもしろそうだと思いました。原子・分子の話は学校の授業で多少習っていたので、パソコン操作も理解しながらできた点が、よかったです。