ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年11月20日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:佐藤信夫(修士課程 2回生)、竹内 光(修士課程 2回生)、広瀬 稔(修士課程2回生)

実施場所:理学部3号館 109講義室

Chapter28 shuffling cardsの誕生日のパラドックス、クーポン収集家問題を黒板で説明してもらった。自然数の逆数和と関連してlog(x)の微分、積分による評価について説明した。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日は発表しませんでしたが、確率に関する興味深い話が聞けてよかったです。あと、僕のわからなかった部分をチューターさんが考えることで理解することができたのでよかったと思います。
  • 今日は早く終わったのでよかった。内容が難しかったがなんとか理解できて面白かった。
  • 興味深い内容で楽しかった。
  • 充実していました。
  • 確率の計算がなかなかに勉強になった。

物理   

山本潤(ソフトマター研究室 教授)、高西陽一(同 准教授)、常見 俊直(研究員)

チューター:吉岡 潤(博士課程1回生)、渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館115号室、223号室

まず山本教授に色と光の関係について講義をうけて、実際に分光器をもちいて液晶を通った光がどのような振動数の成分をどれだけもっているか測定した。

 
レーザーの明点間隔を測定 X線回折の結果
結果を解析中

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 偏光のしくみについて改めて学びました。偏光は単純に方向が変わるとかじゃなく、円偏光なんていう偏光もあるのだと知りました。円偏光が自然光に対してどんな振る舞いをするのかまだよくわかっていないので、もっと知りたいと思いました。あと、光は身近な存在だけど、性質については理解がおいついてないこともあって興味がわきました。
  • 偏光にも、偏光面が時間に依存していて回転してゆく円偏光というものがあることを知りました。偏光の方向をxとy成分に分解してみると、その位相差によって偏光の種類が変わってゆくそうです。セロハンテープなどでは複屈折といって電磁波の振動方向によって透過光の屈折率が変わるので入力光の振動方向によって出力光の振動面が変化したりするらしいです。光は身近な存在なのに色々と面白い性質や、普段の考え方とは違った現象が起こるので楽しかったです。
  • 午前のオプションコースでは、誤差について教えてもらうことができた。ガウシアンの積分が難しくてなかなか理解できなかった。でも逆に楽しかった。NF(11月祭)も見学することができた。店が沢山あって驚いた。体験学習コースは、ソフトマターの最終回。片方の方向の光がπ/2、3π/2ずれたときに円偏光が、それ以外の大きさずれたときは楕円偏光が起こることが、式からもなんとなく理解できて嬉しかった。偏光板の間にセロテープをはさんだときにきれいな色がついて見える理由が分かって良かった。
  • 前半の時間を使ってNFに行けたのは貴重な経験でした。お好み焼きもおいしかったですし、常見さんの知り合いの方もとても愛想がよく、とても可愛らしかったです。(笑)さて、ソフトマター最終回。初回は講義の内容をよく吟味できないまま実験という感じでしたが、さすがにソフトマターについても理解できるようになってきて、有意義な実験になりました。普段、当然のことと思っている可視光線や色のしくみについて数式で表されるのを理解できたときは感動でした。ソフトマターは案外生活にも密着しているものなので、このソフトマター4回を通してさらに僕の視野が広まった気がします。ソフトマターを担当してくださった教授をはじめ、みなさんありがとうございました。次回は超伝導、楽しみです。
  • ・今日は色んなものを色んな偏光板を通してみた。・光がどう偏光するかとか、円偏光は直線偏光の足しあわせだとかいうことを学んだ。・結局「ソフトマター」って何なんだ?!
  • ・今日は液晶について最後の授業であった。全体的に色々な実験をする事が出来てとても良い経験をする事ができた。・液晶の特性を深く知ることができた。・セロハンテープをプレパラートに何重にも巻いて偏光板を通してみるととてもきれいな色をみることができた。家でもやってみたい。
  • 終に4回あったソフトマター研究室の実習が終わってしまった。最初はあまり分からなかった複屈折(物質の方向によって屈折率が違うため、物質を通過した電磁波に方向によって位相差が生じる現象)も今回で割と理解できるようになり、この4回の実習での進歩が感じられる。ソフトマターについて学んでいく中で、電磁波、特に可視光等に対する知識も増えていった。ただ一つ残念なのは、ソフトマターの中でもほとんど液晶しか扱わなかったことで、できればもっと他のソフトマターについてもよく知りたかった。次回からは超伝導についての実習なので、名前だけは知っていても詳しくは知らない超伝導について、深く学べることができると期待している。
  • 色にも色々あるのだなと思った。他の物質でもしてみたいと思った。理解するのは難しかったが、実験してある程度理解できた。偏光板はすごいと思った。
  • 分光器にコレステリックやセロハンテープを入れるとグラフが変わるのが楽しかった。セロハンテープを重ねていくと、グラフが急になったりした。もっといろんなものを通してみたかったです。ソフトマターの実験(4回)のなかで一番楽しかったなと思います。
  • オプションでやった最尤性原理の問題が解けなくて泣きそうになりました・・・。ギリギリだったけど解けて嬉しかったです。セロハンテープの暑さ(複屈折)を身をもって体験しました!sin^2 θ+cos^2 θ=1をまさかここで実感するとは思いませんでした。おこのみやきおいしかったです。

天文

余田 成男(気象学研究室 教授)、西 憲敬(物理気候学研究室 助教)

チューター:竹下 愛実(修士課程1回生)、桜井 佳世(修士課程1回生)

実施場所:理学部1号館151号館

 気象学における近年最も話題性のあるトピックである気候変動に焦点を当てて、4時間の体験学習を行った。

 前半は、講義形式の学習を行った。最初は研究室に集まり、導入として、科学者の日常や研究、気象学に必要な基礎的学問や研究・学問における国際協力のあり方などについて、大まかに説明した。その後講義室に移動し、スライドを用いて地球の歴史や大気組成について概観し、地球温暖化に関して説明を行った。

  後半は、実際に表計算ソフトEXCELを用いて、実際に手を動かしながら学習を行った。はじめにEXCELの使い方を大まかに説明し、その後は担当講師やチューターが巡回して質問に答えながら、学生自身が解析を行った。解析では、京都と潮岬の過去約100年分の気温データ、および全球の約30年分の高度別気温データを用いて、グラフを描いたり年変化を比較したりした。温度変化が地域や高度によって非常に異なることや、解析方法の工夫により気象データから様々なものを得られることなどを体感した。
研究室にて、大学での研究や研究者としての立場について説明 スライドで地球気候の歴史と近年の温暖化について概略を学ぶ
各自がコンピュータを用いて気候変動解析を行う

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日は一番最初に、研究室の紹介をしていただきました。研究室の中には大量の本があり、また英語の本もたくさんあって驚きました。後半は地球温暖化についての説明のあと、Excelで全球平均気温を計算しました。小学校のころに地球温暖化に興味を持ったことがあって、インターネットで調べたことがありましたが、今日改めて、地球温暖化のお話を聞かせていただいて、再び、意識するきっかけになりました。パソコンは日頃、それほど使わないため、Excelの実習はまだ途中までしかできていません。ですが、だんだんExcelに慣れると、計算したり、グラフを作成したりするのが楽しくなってきました。なので、家に帰ったら、Excel実習の残りの部分についても、自分で取り組んでみたいと思います。今日はありがとうございました。
  • 潮岬と京都との気温を比較して、地球温暖化の実態把握をしました。潮岬が割と田舎であるのに対して京都は都会部分を観測するのですが、2つの場所の気温の変化の大きさから温暖化が進んでいるのかどうか確かめます。 excelを使ってデータをグラフに変換する過程が難しかったのですが、全球データの解析とグラフ化がまだなので帰って残りをやりたいと思います。
  • 今回の体験からExcelの作業は最初は使うのが難しいと感じましたが、後になれたら楽しく感じてくるようになりました。また、やっている内に京都等の気温が上がっているという事を感じられました。しかし、自分が持ってきたパソコンが電源つかなくなって、壊れてしまったのだろうかと感じましたが、実は延長コードの電源が切れていただけだったのでとてもホッとしました。Excel作業はもう少し練習してみようと思いました。また宇宙のはてまでの距離はとても遠いものだという事に驚きました。そして、北極の氷の溶け方の速さやグラフからのCO2の上昇の異常さにも少し驚きました。Excelから地球温暖化を知ることができるという事も驚きでした。最後に早くExcel作業ができるようにならないといけないと感じました。
  • 各地の気温変化をエクセルでグラフ化し、そのグラフから特徴を見つける活動が面白かった。グラフの作り方にもさまざまな工夫が必要で、同じデータをもとにグラフを作っても、着目するところによって見えてくるものが全然違うところが特に面白かった。今回はエクセルの使い方に慣れるのが大変だったが、エクセルを使いこなすことで、さまざまな分析をすることができるというのを実感することができた。
  • 今日は、また新しい先生やTAさん達だったので最初のほうは少し緊張しました。今回からは温暖化についてということで、今までにも少しやったことがあったので興味がありました。 まず、都市部と郊外の気温の差ということで、京都と潮岬の11月の気温のを比較しました。そしたら、京都の方が確かに気温は低かったのですが、だんだん上昇していて、もともと暖かい潮岬に近づいていっているのがグラフから視覚的に分かってびっくりしました。”都市部の温暖化”というのになるほどなと納得できました。また、潮岬は海に近く、気温の調節をしてくれているので、それもあって横ばいなんだという説明も「へぇー」と思いました。 全球平均ではもっと地球規模の気温の変化がわかっておもしろかったです。途中で終わってしまったのが残念なので、家に帰ったらまた続きをやりたいと思います。 今まで勉強する機会はたくさんあったもののそこまでしっかりやったことはなかったので(about温暖化)この際にしっかりまなびたいと思いました。
  • 最近話題になっている温暖化について学ぶことができ,真剣に考えることができてすごく良かった。惑星の大気の組成比を今までまったくしらなかったからこのことも知れてうれしかった。学校で1年のときにエクセルを何度か使ったことがあったけれど、実際に自分の力で扱えるほど身に付いていなかったんだなぁと実感させられた。今日の続きを家でやって、エクセルを完璧にマスターしたいと強く思った。潮岬も京都もだんだん気温が上がっているのが、データを見ただけでわかった。とくに、京都の上がり方は尋常ではないと少し恐く感じた。潮岬よりも都市化しているから、ヒートアイランド現象によるものだと思う。「地球温暖化」ということを今まであまり実感したことがなかったけれど、今日の講座で身近に気温上昇の様子を目で見て知ることができた。 これからの生活をもう少し見直した方がいいと思った。 今日はありがとうございました。
  • パソコンがとても苦手なので、Excelが難しかったですが、丁寧に教えてくださり、計算のしかたがよくわかりました。グラフの縦軸の目盛りの設定を少し変えるだけで、気温の変化がよくわかったりするのは、感動的でした。高度によっては気温が下がっているところもあったので、何でだろうと思いました。オゾンが増加していくにつれて、生物が進化していくのは、今まで気付かなかったことなので、すごいことだと思いました。

生物

篠原 渉 (gCOE 助教)

チューター:掛澤 明弘(修士過程2回生)、山本 武能(修士課程2回生)

実施場所:理学部附属植物園実習室

前回行ったPCRの結果DNAが実際に増幅されているかを確認するために、ゲル電気泳動を行いバンドを確認した。

その後PCR産物から目的とするDNA断片を精製し、分光光度計を用いて精製したサンプルのDNAの濃度を計測した。そしてシーケンサーにかける前処理としてラベリングを行った。

先生による講義 PCR産物を電気泳動用のゲルにアプライしている様子
分光光度計によるDNA濃度の測定

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • PCRやLabelingなど、とても複雑なものだったが、動画やチューターの先生の詳しい説明のおかげでよくわかった。今日はclean upの作業がほとんどだったが、次回のSequencingの結果が楽しみだ。また、電気泳動でDNAが赤く発光したのは面白く、また美しかった。今日も興味深い講義ありがとうございました。
  • ゲノムを見るということはしたことがなかったので、まだ終わってないですが、その手法がすこしでも知れてよかったです。ゲノムは、生物の一番神秘的でおもしろい部分の一つだと思うので、どれも興味があり、おもしろいです。早く、塩基配列を直に見てみたいです。
  • 今日の実験は前回のPCRの結果を確認してから必要なDNAを抽出するという手順の実験でしたが、学校が遅く終わったので遠心分離して抽出する作業からやりました。マイクロピペットを使っているとやはり便利だなと思いました。ぼくの学校にはマイクロピペットがないので、学校で普通のピペットを使うと苦労します。必要なDNAを抽出した後に濃度を計測して、自分の2つのサンプルのうちの1つがとても良いデータを出してくれたのでとてもうれしかったです。次回が楽しみです。
  • 前回の続きで、抽出したDNAをPCRでrbcLを増やし、CleanUpでろ過した。少し急いでいるので、ここで終了します。
  • 今回は前回抽出したDNAを葉緑体DNA「rbcL」をPCRでふやした。PCRのげんりを、ジデオキシリボース法でDNAを読む方法を知れた。早く次の実験でDNAを読んで分析してみたい。
  • PCRの話はなかなか難しくて最初は理解できなかったけれど、YouTubeの映像を見ながら解説してくださったのでなんとなく分かりました。温度を変えると二本鎖が一本鎖になったり、酵素が働いて、ヌクレオチドがくっついたり、それでDNAが複製されたり…とこの方法を思いついた人はすごいな、と思いました。あと、プレゼンテーションなんてやった事ないので、合宿が不安です。
  • DNAが増えているか調べるために、青色っぽい液体とDNAを混ぜ、穴の中に入れました。増えていたら、オレンジっぽいピンクに見えるところが、私のは「光ってるかなあ?」くらいのものでした。オレンジっぽいピンクなのに赤色というらしいです。こういう理科の分野は、アバウトな色の言い方がいつもしてあると思いました。DNAは水に溶けるので、何回かDNAを洗浄した後、水に近い液をを加えました。DNAは波長が260nmの光を吸収するので、どれだけ溶けているか、光の吸収具され具合でわかるらしいのです。260nmの波長の光なんて想像できないし、見てみたいです。

化学

竹田 一旗(生物構造化学研究室 助教)

チューター:相川 佳紀(博士課程1回生)、花園 裕矢(修士課程2回生)

実施場所:理学部6号館456号室

タンパク質のX線結晶構造解析の流れについて講義を行った。その後、リゾチームの結晶化と緑色蛍光タンパク質構造のモデリングの二班に分かれ、それぞれ実験、解析を行った。

 
タ講義の様子 緑色蛍光タンパク質のモデリング
リゾチームの結晶化中

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • タンパク質の電子密度からアミノ酸の配列を考えるのは結構おもしろかった。普段の学校での実験と違って、パソコンを使ってするのは新鮮だった。おそらく学校では体験できないことなのでできてよかった。もう一つの結晶を作る実験ができなくて少し残念だった。まだまだわからないことも多かったのでいろいろ調べてみたい。
  • 今回はX線結晶構造解析で調べた電子密度に構造を当てはめた。蛍光タンパク質の一部のみあてはめたのですが、パソコンの画面を見続け、とても大変な作業だとわかりました。一つのタンパク質の構造解析に2~4年かかるということなので研究は時間がかかるものだと思いました。
  • 今回は主に実験をさせて頂きました。タンパク質の結晶を作る実験で試料の扱う量が非常に小さく苦労しましたが、実際にタンパクの結晶ができていて良かったです。「タンパク質」は生物学のような気がしていましたが、ここでの研究はX線などを用いたりしていて化学っぽさを感じられました。また機会があれば今回はできなかったパソコンを使った解析もしてみたいです。
  • 初めて、マイクロピペットを使用した。今までは、ミリリットル単位を使っていたのだが、今回は、その1000分の1であるマイクロリットル単位をたくさん使い、とても新鮮な感覚であった。自分で作った結晶はとてもきれいで濃度が濃いほどより大きくたくさんできることがよく分かった。
  • 今回はピペットマンという見たことのない道具を使ってµlというごく小さな単位を扱ったけど作業自体はそれほど難しくなく、なれると楽しかった。自分が混ぜたりした薬品が結晶になっているのを顕微鏡で見たときはきれいだと思った。
    さて、まじめな話はここまでで、おやつの時間が一番楽しかった。なぜか清水君がトランプを持っていたのでやろうと言ったら言いだした自分自身があやうくビリになるところだった。それと最後にブラックライトを当てたら光る緑色のタンパク質を見たときは感動して「クリスマスに使えばいいのに。」と思った。
  • タンパク質の結晶を作ったのははじめてだったけれど、食塩の結晶みたいに、透明できれいな結晶だったので面白かったです。マイクロピペッターを使う機会は少ないので、最初は戸惑っていたけれど、きちんと扱うことができたので良かったです。GFPも紫外線を当てると、意外に強く蛍光を示したのできれいでした。
  • タンパク質の主鎖と側鎖を電子密度のところにはめこむ作業は思ったよりもとても難しかったです。作業を覚えるのも大変でしたがつながりを考えながら地道にできてとても勉強になりました。タンパク質の構造を知るのは簡単なことではないと身にしみました。
  • 初めてミクロ単位で物質を扱いました。結晶を作るのに24通りも作成するとは思いませんでした。ピペットマンの使い方に慣れるのに時間がかかりましたが、3種類の液を混ぜたりと結晶を作成する過程が理解できたので良かったです。X線を通す機会の使い方もこの目で実際にしているところが見れて良かったです。ありがとうございました。