ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2011年 2月 5日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:広瀬 稔(修士課程2回生)、佐藤 信夫(修士課程 2回生)、竹内 光(修士課程 2回生)

実施場所:

今日はラテン方陣を完成させることに関する定理の証明をやってもらった。また、反対鎖に関する性質を学んだ。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • ラテン方陣が、ものすごく難しかった。反対鎖が分かりやすくてよかった。
  • 今日はラテン方陣と、反対鎖に関する定理をやりました。集合は、特別な条件を付けると面白い性質をつける場合が多いので、とても興味深いです。今後もさらに多くを学んでいきたいです。
  • 今日も楽しかったです。後、1日しかないと思うと寂しいです。今回は、ラテン方陣と集合について。次回が本当に楽しみです。
  • ラテン方陣が全然わからなかった。眠たかった。
  • ラテン方陣の問題は難しく、理解しきれなかった。次回もう一度考えたい。
  • 内容がこかった。
  • ラテン方陣と反対鎖に関する定理の証明について学んだ。

物理   

常見 俊直(研究員)

チューター:渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

ガイガーカウンターを作成し、自然にある、一定時間あたりの放射線量を測定し、それがポアソン分布にしたがうことを確かめた。

 
ガイガーカウンター制作 ガイガーカウンター制作
ガイガーカウンター

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • USBガイガーカウンターを作りました。ガイガーカウンターは少々複雑でしたが面白かったです。ついでにマックスウェル方程式(ry まだまだちゃんと覚えてないところもあって勉強不足です。
  • 今日はガイガーカウンターを作りましたが、実は2年目なのですでに家に去年つくたものがあるので、今回は他の人の制作を手伝うことにしました。完成後は、地面からくる放射線及び宇宙線の量を計ってみました。1分間に何count得られるかを計るのですが、PCのドライバが使えなかったので、手でlogをとりました。非常に疲れ(be exhausted)ました。結局80個もとったので80分も単調な作業をしていたことになります。PCくんは偉いです。宇宙線の分布はPoisson分布になるそうですが、結局はどう見てもふたこぶの山だったのでやはり80個程度ではダメだということがよくわかりました。
  • 半田づけがうまくなったので嬉しかったです。家でしっかり完成させてきます。ELCASもラスト1回。しっかり最後までいろんなことを吸収しつくしたいです。
  • 今回も半田ごてをつかて機械を作った。ガイガーカウンターという2万円するものも一時間半でつくってすこしもったいない気もしたが完成してとてもうれしかった。
  • 今回はガイガーカウンターの制作をした。今回作ったガイガーカウンターは、手軽につくることのできるものであったが、もっとおおがかりな検出器でも同じようなしくみで動いているということで、少し親近感がわいた。次回はもう最終回なので何が出来るか楽しみだ。
  • 不器用なのでなかなか進まなかった。早く完成させたい。
  • はんだごてが難しかった。初めてやったから少し失敗した。次回も挑戦したいと思う。
  • はんだづけがとても楽しかったです。GM管に指紋が付いたのにちゃんと反応してくれて安心しました。解けなかった問題が無事解けてよかったです。

天文

余田 成男 (気象学研究室 助教)

チューター:竹下 愛実(修士課程1回生)、桜井 佳世(修士課程1回生)

実施場所:理学部1号館462号室

気象予報の仕組みとその問題点、また温暖化を含む気候予測の方法について学んだ。まず、簡単な運動方程式の話から出発して、観測とコンピュータ計算によって天気予報が行われる流れを概説した。また、必ず存在するカオスによって、将来を予測することの可能性の限界について説明した。カオス状態を実感するため、各自持参した電卓を使った繰り返し計算という簡易な方法で、実験を行った。それにより、計算の初期値がわずかに異なることによって、誤差が指数関数的に増大することを実感した。最後に、長期の気候予測に潜在する不確実性に触れ、温暖化予測の難しさを考えさせた。

スライドを用いた講義であったが、難解な部分は
ホワイトボードも使用して高校生向けに説明した。
2人1組でチームを作り、電卓による実験を行った。
全員で協力して行った実験を集計すると、高校生
から納得の声が漏れた。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日はカオスとは何かについて学びました。電卓を用いた実験では、電卓の種類が異なるだけで、最初は誤差が少なかったのに、試行を繰り返すごとに誤差が大きくなっていきました。この実験から、カオスは思ってたよりも身近にある現象であることが実感できました。実際の天気予報では、計算もさらに多くなりますし、初期値のほんの小さな違いからも、結果が違うものになることがよくわかりました。また、地球温暖化についても同様のことが言えます。IPCCの予測などが発表されていますが、完全に正しいと言い切れるわけではないので、これからは、そのようなデータを見るときには、「不確実性のあるもの」であることを念頭に置きたいを思います。
  • 今日は、気象予測について学びました。方程式を立てて将来を予測する数値天気予報は初期値問題による障害があります。「カオス状態」においては、予測の限界があり、それをelcasメンバーのそれぞれの電卓で確かめました。その結果、計算が進んで30回あたりを超えると、電卓の種類によって符合などが逆転してきました。また、天体の軌道などをシミュレーションする時にも「カオス状態」は存在するようなので、そのことについてもまた調べてみたいと思いました。
  • 今日は気象学の最終回で、カオスについての話でした。カオスは日常用語としてなじみがあったのですが、科学的に考えたのは今日が初めてで、面白かったです。私たちは、電卓を使用してカオスを自分の目で見たのですが、初期値x(0)=1.33、パラメータ値c=2とおいてx(n+1)=x(n)^2-cをどんどん計算していったのですが、本当に値がどんどんずれていってびっくりしました。「コンピュータは正確」という概念が一気になくなりました。また、常にゆらいでいる気象予報において、初期値の設定がいかに大切かもわかりました。これから、天気予報をまた別の角度から見れると思います。(気象庁の、その日の予報の正確さが書かれているページの話が面白かったです。)今日まで全4回、とても勉強になりました。
  • 今日は時間が短かったので、あんまり実習ができなくて少し残念でした。電卓の種類によって計算結果が異なるなんて初めて知りました。とても不思議です。電卓で、「x=」を押すと2乗ができることも初めて知りました。感動しました。また、気象や大気も天文分野だということをelcasの体験学習コースを通して知ることができました。
  • 電卓のメーカーによって、計算結果が全然違うことにびっくりしました。その計算結果の差が指数関数的に大きくなっているのは、大変なことだと思いました。実際に計算して、初期値が少しでも違ったら、それもまた大きな誤差を生むのだと考えると、数値の正確さが重要なのだと改めて思いました。
  • 微分などが出てきた時はどうしようと思いましたが、実習自体は簡単で良かったです。しかも、結構理解できたのでよかったです。初期値がほんのわずか違うだけで、だいぶ先には大幅な差が出る…というのは本当にすごいことであり、危険なことであると思いました。最後に聞いた、「信頼性が疑われる」ということについて、確かにそうだと思いました。それが信頼できるようになるためにも、科学の進歩を妨げるようなことは少なくあってほしいです。

 

生物

森 哲(動物行動学 准教授)

チューター:来田村 輔(教務補佐員)、稲森 啓太(博士課程6回生)

実施場所:理学部2号館216号

動物の持つ尾は彼らの生活の中でどのような役に立っているのかを行動学の視点から学ぶため、ニホンヤモリを材料にして尾の役割を観察した。樹上性のニホンヤモリは高いところから飛び降りる際に、落下中の姿勢を空中で制御するために尾を用いている。本実習では、落下中のニホンヤモリを高速度ビデオカメラで撮影することにより、尾をどのように利用して姿勢制御しているかを観察した。また、通常のホームビデオカメラでも同様の撮影を行い、高速度カメラで撮影した映像と比較することによって、動物の速い動きを分析する際に、高速度カメラが有用であることを理解した。

実験の前に、尾の機能や、高速度ビデオカメラに
ついて 勉強しました。
ヤモリの落下中の動作をビデオカメラで撮影しています。

高速度ビデオカメラで撮影した画像をモニターに
映し、空中でのヤモリ動作を見ています。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 本日はヤモリの落下時の尻尾の使い方を観察するという実習である。ヤモリは触ったこともなかったが、いざ実習に入ると、とても楽しめた。噛まれたりもしたが、ヤモリの行動を近くでよく見ることができ、非常に興味深く感じた。さらに高速度ビデオという器具も初めて使わせていただき、その精密さ、便利さに驚いた。これのおかげで、ヤモリの空中での尻尾の動きをはっきりとわかりやすく観察できたのだ。これをきっかけに、動物行動学にとても関心を持つことができたので、ぜひ自分で深めていきたい。
  • 今日はビデオの撮影および鑑賞会をしました。最初はあばれてなかなか大変でしたが、何度かおとして疲れてくると、割とおとなしくなりました。何度もおとされる姿は(特にスローで見ると)心痛むものでした。特に、しっぽなしは、無様にただおちるだけといった感じで、着地が下手くそで見ていられませんでした。やはり、ハイスピードカメラは格が違うなと思います。ホームビデオでとると、なにがなんだか、くろい塊にしか見えません。ハイスピードカメラでは、ヤモリがしっぽを使ってうまく回転、着地をきめるシーンがばっちりうつってました。たまに失敗してたけど。日常のささいな疑問も深く考えればりっぱな研究になるのだな。今回は身近なことがテーマでおもしろかったです。
  • 今日の体験学習講座では最初に動物行動学とはどのような学問かという説明を受けてから、ヤモリの落下の実験をしました。その実験ではヤモリが落下する際にどのように尾を使うのかということを調べるものでした。ヤモリを落下させる際にヤモリが背中から落ちるのがベストなのですが、なかなかそのような場面を作り出すことができませんでした。他の人が撮った良いショットをみて、それでヤモリがどのように落下中に尾を使うのか分かりました。また、様々なビデオカメラを使って機械の性能の差異を実感することもできました。また、今回の実習では生きたヤモリを何年か振りに触ることができたので、爬虫類が好きな僕にはとても面白い実習となりました。
  • 今回はヤモリの落ち方を考察する実験だった。板から落ちるヤモリの様子をスローモーションで撮影し、見るのだが、ヤモリが上手く落ちず難しいモノになった。しかし、このように実際に実験をくり返し答えを出していくのが、生物学の大きな割合を占めているのだと思う。地味な実験で笑われるようなモノかもしれないが、良い経験になったと思う。
  • 動物の落下中の体勢を見るなんて初めての経験だったので、とても感動した。ヤモリが落下した時、必ずちゃんとおなかが下になっているのは、今まで意識していなかったが、確かに仰向けで着地したヤモは見たことないなと思った。尾を回転させて上手くおなかを下になるよう体を回転させているのがみれた時は嬉しかったが、たくさん撮って、きれいに落とせているのはほとんどなくて、見るのが大変だった。けど高速度ビデオカメラはすごい!!
  • 今日はヤモリの落下実験をしました。ヤモリは今までさわったことがなくて、今日はじめてさわりました。ヤモリはしっぽを使うことで落下をコントロールして体に負担がかからないようにする、ということでした。高速度ビデオカメラを使うと、ヤモリの落ちていく様子がわかりやすく撮影されていました。ヤモリはしっぽを動かすことによって体の向きを変え、腹から落ちるようにしているのでした。しっぽにそのような重要な機能があるとは思っていなかったので驚きでした。撮影したビデオを見るときは、撮ったときよりも解析をするときの方が時間も手間もかかりました。研究にはこのような時間と手間のかかることも必要なのだと改めて知れました。

化学

依光 英樹 (集合有機分子機能研究室 准教授)

チューター:林 慎也(修士課程2回生)、東野 智洋(修士課程2回生)

実施場所:理学部6号館863号室

ピロールとベンズアルデヒドとの酸縮合によりテトラフェニルポルフィリン(TPP)を合成する。また種々の環拡張ポルフィリンの溶液がそのπ電子系に由来する様々な色を示すことと、酸化還元を行うことで色が変化することを確認する。

 
ポルフィリンを合成するために、試薬の量をきっち
りとはかりとる。
ピロールとベンズアルデヒドを加え、ポルフィリンの
合成を行う。最初は無色透明だがだんだんと赤色を
帯びてくる。
クロラニルを加えて酸化し、ポルフィリンを生成さ
せる。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日の話はわかりやすかった。二重結合の一方の結合が単結合と同じであったのははじめて知った。しかも、その残りの結合がベンゼンなどの芳香族性の原因であるというのもはじめてだった。三重結合でどうなっているのかも調べてみたい。実験も話の内容も今までの中では一番わかりやすかったように思える。この有機化学の分科にはかなり興味が出た。次の話も楽しみだ。
  • ヘムなどの生物にある構造を人工的に作り出すのがとても簡単にできるようになっていて驚きました。反応するにつれ色が変化していくのがとてもおもしろく、手近にあるものでいろんな色をつくれるように再現してみたいです。実際に使われる試薬の量がとても少なかったので、学校でも少量で使えるようになりたいと思います。
  • 今日は、ポルフィリンの合成をする実験を行った。ポルフィリンは色素であり、光合成を行うクロロフィル、赤血球中のヘモグロビンなどの色素の基本的な骨格であるそうで、酸化や還元をそれに行うことで色が変化するというところが興味深かった。理論ばかりでなく、実際に見てわかる実験ができてよかった。
  • 今まで、6π電子が安定であるという話は聞いたことがあったけど、実際に、よく分からなかった。今回の説明を聞いて、はじめて、少しわかり、今までの疑問が解けた。また、同じ構造の分子でも、電子の量が違えば色が変わるという、とてもおもしろい実験を見せてもらい、とても興味を持った。
  • ポルフィリンなどの物質は知らなくて、最初はよく分からなかったけれど、視覚的にわかるような実験もあり、面白かったです。ベンゼンなどのπ結合も理解でき、良かったです。電子が少し加わったりなくなったりするだけで、全然違う色になったりするのは、知らなかったので、興味を持ててよく理解でき、よかったです。
  • とても掘り下げて説明してくださってとてもわかりやすかったです。実験をしながら解説をして下さって、色の変化などがとても納得できました。ベンゼンの基本的なところの解説もして頂いて、その実験についての不思議さがとってもわかりやすかったです。わからない単語もたくさんありましたがわからないなりに自分の頭におとすことができました。
  • 今回の実験の内容を、またどんな反応がおきているのか詳しく説明して頂けたので、分かりやすかったです。また、何度も質問はあるか聞いてくださったので、疑問に思ったことが気軽に聞けました。気になることがあるとどうしても気になってしまう性格なので、そう言って頂けて嬉しかったです。原子の構成などが少し難しかったのですが、目で見て反応がわかるので色が変わったとき、嬉しかったです。オリジナルファイルありがとうございました。