ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年10月2日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:広瀬稔(修士課程2回生)、佐藤信夫(修士課程 2回生)

実施場所:理学部3号館 109講義室

今日はまず、前回の残りの、素数の逆数の和が発散することの証明をしてもらった。その後次のトピックとして、eやe^4の無理性の証明をしてもらった。次回は一般の有理数rについてのe^rの無理性およびπ^2の無理性の証明をしてもらう予定である。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • 分からないことばかりだった。
  • とても楽しかったが、素数の無限の証明が難しくてあまり理解できなかった。また、発表するときに緊張したので次からはもっとしっかりとやってきたいと思った。
  • 説明するには、しっかり理解していないといけないと思い知った。内容も難しいので、予習してこようと思います。
  • セレモニーで疲れて授業に身が入らなかった。
  • 今回は、eの無理性とe^4の無理性、そして前回やり残していた素数の無限性について証明するといったことを行った。中々時間を食ったせいか、e^4の無理性については完全には終わらなかった。

物理   

山本潤(ソフトマター研究室 教授)、高西陽一(同 准教授)、常見 俊直(研究員)

チューター:吉岡 潤(博士課程1回生)、渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館115号室、223号室

ソフトマターの入門的な事柄と、液晶を形作る分子のもつ特有の秩序に関する講義を聞いたあと、実際にその分子たちのもつ秩序によってもたらされる偏光の変化を偏光顕微鏡を用いて観察した。

 
ソフトマターについての講義 偏光顕微鏡で観察する資料作成
偏光顕微鏡で観察した様子

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 液晶について何となくしかしらなかったが、今回講義を受けたり偏光顕微鏡で実際に観察してみて、その性質が徐々に理解できて楽しかった。脳細胞もほとんどは液晶であることや、コガネムシの表面がコレステリック相の液晶であることが、とても興味深かった。円偏光という現象を初めて知って驚かされた。
  • 毎度のごとくすごく楽しめました。楽しみながら学ぶことができるので本当に満足しています。オプションでの雲作りがうまくいかなかったことはやはり科学の世界の奥深さだと思います。ますます科学に興味が持てました。次回のELCASはテスト終了日と重なります。疲れた脳をここへやってきてリフレッシュさせたいです。合宿も楽しみです。あー、月2回はちょっと少ないなぁ・・・(笑)
  • 液晶にもいろいろな種類があり、性質もかなり違うことが分かった。今回の実験は雑だったので液晶の色が見る場所で違っていて面白かった。温度で液晶の色が変わるのもよかった。偏光顕微鏡を使ういい体験になった。楽しかったです。
  • ・液晶でいろいろな物を見れた。・温度が変わっていくところで構造が変わる所がとてもきれいだった。・セロハンテープを偏光板であてて見ると、とてもきれいな色に変わった。・色の波長に円偏光という物があるのは知らなかったがコガネ虫を円偏光板で見ると右回りでは黒くなったが左回りではそのままの色は見れた。生物界のものは基本的に左回りらしい、生物のすごさを感じた。
  • 今まであまりなじみの無かった「ソフトマター」という概念に初めて触れ、今まで自分が知っていた物理だけが物理ではないと知った。身の回りによく使われている「液晶」についての体験学習だったが、今まで知らなかったようなことがほとんどで、新鮮な興味が持てた。今回から4回連続でソフトマターということで、ソフトマターについて体系的に学ぶことができると期待している。
  • 「液晶」という言葉は知っていたが、実際どういうものか知らなかったが、今日実際目で見たり講義を聞いたりして、構造を理解できてよかった。化学に近い物理だったが、また違った面白さがありよかった。偏光板のすごさをつくづく感じた。
  • 青や赤など色が変わっていくのが面白かったです。偏光板には直光のものを通すものもあるけど回転してる光を通すものがあるんだなと思いました。あと液晶を顕微鏡でみるととてもきれいでした。次回の実験も楽しみです。

天文

野上 大作 (天文台 助教)

チューター:前原 裕之(教務補佐員)、志達めぐみ(修士課程1回生)

実施場所:花山 天文台

前回の実習で撮像・一次処理した散開星団M52の画像に写った、星団内の75個の星のB,V,Ic バンドでの等級を求めた。その測光データを用いて色等級図を作成した。

前回の実習で作成したM52の画像で星の位置を確認。 コンピューターを使って星の明るさを計算
各々が分担して求めた星の等級データをまとめ、色等級図を作成。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回は V・B・Ic のそれぞれについて、星の等級を出しました。
    ベガを基準にしているため、それぞれの波長における0等級が光の強さで考えると一致しないということを初めて知ったので、それがとても印象に残っています。また等級は対数で表されるということも知りました。これまで1等級が上がるごとになぜ光の強さの変化のしかたが増加するのか疑問に思っていたので、その疑問が解消されて良かったです。
    次の天文台での実習では、星の距離を実際に考えていくということなので、とても楽しみにしています。
    ありがとうございました。
  • 測光する際に使った xgterm の中で、入力ミスも特になく最終結果の誤差も小規模に抑えこめたので良かった。実験結果のグラフがHR図のモデルと同じだったので嬉しかった。また、グラフ上から赤色巨星の存在も確認することができてよかったと思う。
  • やはりパソコンを使っていたので、ミスがいくつもありましたが、まあ、うまくできたのでよかったと考えています。
    V・B・Ic を入れ込む事でグラフの形が変化した事には驚きでした。星の明るさは6等まであり、ヴェガが基準でしたが、6~5等で2.5倍の違いがあるという事は初めて知りました。また、光の測光方法には2種類あり、アパーチャ測光、PSF測光で「機械等級」を測定することができて、明るさが分かっている星を比較して測定して実際の明るさを出していることは初めて知りました。また、対数で等級を表せる事ができる事も初めて知って驚きでした。次の天文の実習ではいろんな星と地球からの距離はどれくらいか知れたらいいと考えています。
  • 今回は、前回の天文台での実習の続きで星の明るさを調べました。前回撮った写真に写っているたくさんの星から、指定された星を選んで明るさを測るというのは、細かくて大変な作業でしたが、やりがいがありました。
    星の明るさを測るといっても、色々な方法があるんだなぁと思い、また今まで星の明るさを測るなんていうことは体験したことがなかったので、すごく新鮮でした。相変わらずなPC作業ですが、それがまた科学を本当にしているという感じがします。
    最後に、測った値から星の性質の違いなどの説明をうけた時に「なるほど」と思いました。今回は、PCでの作業だけでしたが、それがまた本当の天文台での仕事なんだろうなあと実感することができました。
    本日もありがとうございました。
  • 星の明るさを求めたりするのはすごく難しいと思っていたけれど、すべてコンピューターが測ってくれるとわかり、少し安心しました。また、コンピューターの技術に感動しました。この前のときはよくわからなかった明るさと距離のことが、今日の活動でくわしく理解できてすごくうれしかったです。
    明るさを求めるのに、円の半径を先に求めてから意味の分からない文字を打ちこむだけで、地球にいる私たちとはかなり遠い星の明るさがわかるとは、本当にすごいと思います。1個1個の星を測って、それをグラフにするために別のファイルに手動で移すのが一番たいへんでした。1個の星だと思っていたら、重なる星だったり、星が多すぎてどれが求めている星なのかと考えこんだり、スムーズに進まない作業でした。でも、できあがってみんなの結果をまとめたグラフを見たら、感動と達成感がすごかったです。
    今日は楽しかったです。ありがとうございました。
  • 等級は数字が小さいほど明るいので、ややこしいです。でも、古代ギリシャの時代から使われていると聞いて、すごいことだと思いました。それに、今学校で習っている対数 log と関係しているので、数学をもっとがんばろうと思いました。自分の好きな分野に関係があることだと知って、やる気が出ました。
    今回はアパーチャ測光で、前回に作っておいた写真を使って光の明るさを調べたけど、パソコンは本当に便利だと思わされました。もっと難しい作業を何回もくり返すのかと想像していましたが、意外とグラフもすぐできました。グラフができあがったとき、プリントのグラフと比べて、感動でした。
    次回は今日作ったデータをもとに、いよいよ距離を出すらしいので、めちゃめちゃ楽しみです。面接のときに私が言い出したことなので、ちゃんとしたデータが出せたらいいなと思います。
  • 前よりは、何をしているのか結構分かってきて、明るさを出している時に、画像の見ためが大きい星はその通り数字でも明るく出てたけど、時々、この星は少し暗いかなと思うものでも、明るいのもあったりして驚くこともあった。星を一つずつ見つけていくのが、少し大変でした。
    次は、ついに距離を測っていくらしいので楽しみです。

生物

小山時隆 (形態統御学 准教授)

チューター:村中智明(修士過程1回生) 、久保田佐綾(修士課程1回生)

実施場所:理学部2号館学生実習室

屋外で身近な植物を観察し、成長の過程でどのような構造を作っていくのかを考えた。実験室でウキクサがどのように成長し増えていくのかを顕微鏡下での解剖を通して観察した。葉状体の出芽順序や花芽に注目して全員で議論をし、ウキクサの成長と花成の様子について考察を行った。屋外で見た植物にも同様のことが適用できるか考察した。

大学構内での身近な植物の形態の観察をした 双眼実体顕微鏡を用いてウキクサを解剖し構造を観察した
葉の親子関係や花芽に着目し、「繰り返し」に関する議論を行った

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 植物の単位構造についても講義だったが、とてもわかりやすく、新しい発見という感じだった。今日の講義のおかげで、植物を新しい視点で見れるようになったと思う。また、実体顕微鏡を使うのも初めてだし、葉を1つ1つとったりする体験も面白かった。有意義な講義有難うございました。
  • 植物は、全て、それぞれ単位ごとに成長するとはとてもおどろきましたし、とてもおもしろかったです。最初聞いた(説明を)時は、植物がそれぞれ独自の単位を持っているのかと思いましたが、どの植物でも、ほぼ共通の単位を持っていることは驚きでした。意外な共通点を知れてよかったです。次回も楽しみにしています。
  • 今日は文化祭が終わってから来たので、少ししかできませんでしたが、写真のスライドショーで植物の構造体のしくみ、具体的に言うと、茎の節と節の間が一単位であるということを知って、植物というものは規則的に体を作っているのだなと理解することができました。また。ウキクサと他の植物における構造体については、ウキクサにも規則というものがあるが、他の植物よりも分かり難い構造になっているということも知ることができて、自分の視野が広がったようなきがしました。
  • 普段見る植物は、一単位、一単位で、重ねられて、作られたモノと思うと、また違った、視点で感じられた。
  • 植物をある単位で繰り返しをするという考え方は、生物の世界に数字を混ぜ合わせているようで、とても興味深かった。また、今回の授業は、思考型の授業で、楽しかった。ある意味で、本当の研究のようなことができて、とてもよかった。
  • 葉っぱはただ単についているんじゃなくて、ちゃんと規則があることが分かった。けんびきょうで細かい作業をするのは初めてで、難しかった。観察の仕方が不十分で、あまりちゃんと研究できなかったけど、今日、観察の仕方がわかったので、良かったと思う
  • ウキクサは1つの葉から分裂していって、どんどん枚数が増えていくのがすごいなぁと思いました。ウキクサは普段あまり見ないものです。大きな1枚から分化?して枚数がふえていっていきました。ウキクサはあまり一枚の葉で見ることはなくて、何枚かの総体で見ることが多かったです。エタノールで色を抜いた葉は、葉と葉の重なりが分かりやすくて観察しやすかったです。

化学-1

前里光彦 (有機物性化学研究室 准教授)

チューター:川口玄太(学部4回生)

実施場所:理学部6号館559号室

 最初に自己紹介と有機伝導体についての簡単な説明をしたのち、実際に数種類の有機伝導体の電解合成を行った。長い時間低い電流を流し続けることで結晶を大きく成長させ、次回の実験でその結晶を回収する予定である。

電解セルの真空‐窒素置換をしている様子 注射器を用いて窒素雰囲気下で溶媒を加えている様子
電解セルに流す電流を調整している様子

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • とても微量で、繊細な実験をして、今まで以上に、大学の化学実験のイメージがつき、興味をもった。少し難しい部分もあったが、なんとか理解できた気になった。2週間後の結晶の出来具合いがとても楽しみ。最先端の物質を扱えて、とてもよい経験だった。
  • 今日は有機伝導体を作る過程をしたけれど、真空にしたり窒素を流したりというのを初めてしたので、少し緊張しました。有機物で電気を流すというのは面白いと思いました。時間が2週間後まではかかるというのでとても長い反応だと思いました。構造や原理などは大まかに分かったけれど難しかったです。

化学-2

武田和行 (分子構造化学 講師)

チューター:土井崇嗣(修士課程2回生)

実施場所:理学部6号館377号室

核磁気共鳴の原理や、それが応用されている分野について講義を行った。また、化学だけでなく物理学や数学、さらには電気工学といったさまざまな学問が核磁気共鳴の基礎を作り上げていることを示した。その後、物質の測定に用いるプローブのセッティングや、共鳴周波数のチューニングを一部体験し、実際に実験に用いる超伝導電磁石を見学した。

講師による講義の様子。 実際に高校生に、共鳴周波数のチューニングを体験してもらう。
実験装置の見学の様子。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 先生の説明には知らない事柄がたくさん出てきたが、わかりやすくて面白かった。化学の話が数学や物理などにも関係していて、生活にも応用されているということを知ることができ、興味深かった。
  • 今回のテーマは「物質をみる」という、化学の根本に関わる事柄なので、とてもおもしろかったです。しかしそのためには、化学だけでなく物理や数学、電気工学といった幅広い分野に関しての知識が要求されていることがわかったので、今後勉強していきたいと思いました。
  • 核磁気共鳴は化学だけでなく、物理学や数学、電気工学などの幅広い分野から成っていて、さらに医学においてはMRIにも応用されている、というところが非常に興味深かったです。次回は実際に実験を行うということで、楽しみです。
  • MRIがこのような、核磁気共鳴という原理を用いて作られているとはまったく知りませんでした。磁力はすごいというイメージはあったのですが、こんなことにまで応用されているのか、と驚きました。今勉強している三角関数が核磁気共鳴の基礎に関わっていることを知り、今後の学習のモチベーションにつながるような気がしました。