ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年9月18日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:広瀬稔(修士課程2回生)、佐藤信夫(修士課程 2回生)

実施場所:理学部3号館 109講義室

前回宿題にしてあった素数が無限にあることの証明を、分担して発表してもらった。群の性質を使った議論を含む証明に挑戦してきてくれた学生がいたが、少し混乱していた部分など理解が進んだようにみえた。次回はアンケートの結果、eやπの無理性の証明をやってもらう予定である。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • 証明をすることよりも英文を日本語訳することの方が、はるかに難しく感じた。日本語版「天書の証明」が絶版となり残念に思う。
  • 家で作ってきた証明が間違ってしまっていて、詰まってしまいました。チューターの人の助けを借りながら何とか最後まで証明することができました。次からはもうちょっと準備してくるつもりです。
  • ちょっと難しかったけど、たのしかったかな。でも大学の内容がやっぱり入っているので少ししんどかった。
  • 二時間ぐらい遅刻して時間が短かったが、楽しかった。素数が無限に存在することを群を使っての証明が難しかったが、詳しくわかったので面白かった。
  • 初めて発表して少し緊張したが楽しかった。いろいろな所を指摘されて、理解が足りなかったと感じている。次は頑張りたい。
  • 今日の内容は、ひたすら「素数は無限に存在する」ことの証明をいろいろな方法から探っていったものである。それほど複雑でないものですら「無限」や「群」の考えがよく登場し、中々に頭を悩ませる。文章を読むだけなら簡単なものの、それを「理解」するのには多大な労力を必要とすることがよーく分かった。それにしても、一度理解してしまうと、なんと面白いのだろうと感じる。よく考えつくものだ。それともう一つ。ユークリッドの何と偉大なことか。

物理   

常見 俊直(研究員)

チューター:渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

簡単な実験をいくつか行った後、霧箱で放射線がとぶ様子を肉眼で観察した。

 
偏光板で工作中 蛍石がブラックライトで光る様子を観察
霧箱で放射線を観察

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 午前からオプションコースもあって質問などもできてよかった。金箔はとてもうすくて(原子数1000個の厚み)繊細さに驚いた。また、光にかざすと緑色になったのも面白かった。充実した一日だった。
  • 超楽しみにしていた第2回目が始まりました。本で結果だけ知っているような実験をたくさん実際にすることができ、実験の難しさ、また実験の楽しさを感じることができました。偏光板は自分の不手際でうまく作ることができませんでしたが、霧箱の出来のよさは自分でも自負しています(笑)α線が見えたときは快感でした。
  • 金箔をはるときの空気の重さがすごかった。霧箱の実験ではみんながα線を観察できて良かったと思う。
  • ・霧箱の実験は結局出来なかった(泣)まあ他の人のが見れたので良かった。とてもきれいだった。なんかフワフワ白い粒が落ちていくのをみてこれがα線と言われても正直実感がわかなかった。・虹を見るのもよかった。なんか久しぶりにみえて感動した。キュービックジルコニアもとてもきれいで見とれてしまった。ダイアモンドであんな大きさのものはなかなか触れないからとてもいい経験だ。
  • 偏光板を使って電磁波の向きを実感したり、金箔を見て原子の大きさを実感したり、今まで抽象的にしか理解していなかった物事を具体的に意識することができ、面白かった。また霧箱の実験では、身近なものを使って放射線の検知器を作ることができ、眼に見えない放射線を見ることができることを知り、いかなる物理現象も身近なことにつながっているのでは?と思えた。
  • 金箔がもらえてよかったです。たのしかったです。
  • 加速器を見られてよかったです。たのしかったです。
  • オプションでやった平行六面体の体積V=c・(a×b)が出せなくてもやもやしています。いろいろと珍しいものをみることができたが、一番興味をそそられたのは霧箱だった。アルファ線や宇宙線がよく見えて心の底から感動した。 

天文

平田岳史 (相関地球化学分野 教授)

チューター:

実施場所:理学部1号館151号室

化学反応を利用した隕石の鑑定実験を行った。地球上の岩石にはニッケルは殆ど含まれない(地球の核に取り込まれてしまったため)が、隕石にはニッケルは普遍的に含まれる。このニッケル存在量の違いを利用して隕石かどうかを判別するのが今回の化学実験による隕石鑑定実験である。適当な大きさにカット(0.05グラム程度)した隕石を参加生徒全員に配布し、各人が隕石鑑定を行った。全ての実験は、理学部1号館内のクリーンルーム(無塵室)内で行った。クリーンルームは実際の研究で使用している設備であるため、入室に際し参加生徒全員がクリーンルーム専用白衣・スリッパ・帽子を着用した。生徒が入室すると室内の塵カウンター(クリーン度をモニターする装置)が急激に上昇する様子もみることができ、室内の清浄度を維持することがいかに難しいかを体験できたと思う。隕石鑑定実験は、時間的制約から元素分離が不十分であったが、全員が「陽性」となり、隕石である可能性が示唆された。本化学実験(化学反応を用いた隕石鑑定)は、化学分解、元素分離、錯形成反応による元素検出という化学実験重要3項目を網羅したものである。また特殊な薬品を用いない実験であり、高校での化学実習に応用することも可能である。

全員がクリーンルームスーツを着用し、いざ実験室に。 クリーンルームに入って隕石鑑定実験の開始
最初は慣れないピペット操作も、実験が終わる頃には手慣れたもの。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回は前回とうってかわって隕石に関する内容でした。地球の外からきた物質だというだけで驚きでしたが、太陽系外から来たと考えられる部分が入った隕石もみることができた。宇宙は普段の生活では身近ではないが、隕石を見ると宇宙の壮大さを感じた。今回の実験はニッケルを検出することで隕石の鑑定を行うものだったが、溶媒抽出法を初めて知り印象に残りました。今回は隕石と分かっているものを鑑定したが、未知のものを判定したらもっと感激したと思う。天文学といっても天体を観測するか隕石を分析するなどいろいろとあって幅広いことがわかった。
  • 今回は隕石の鑑定を行いましたが、隕石中の鉄がうまく分離できていなかったためか途中で試料が濃緑色になって焦りました。結果的に目標の赤い沈殿ができ、ニッケルの存在を確認できたのでよかった。
  • 今回の実験はあまりうまくいかなかったですが、赤色にはなったので成功と考えてよいと思いました。薬品が手についたり刺激臭が強かったので気分が少し悪くなったりもしましたが楽しくできたのでとてもよかった。隕石の珍しいものはとても美しくすばらしいと感じた。人間では作れない模様が隕石にあることも初めて知った。高校ではやらない溶媒抽出法やジメチルグリオキシム法のやりかたをある程度は理解することができた。隕石についてはさらに沢山知ってみたいと関心がわいた。
  • 今回の内容はすべて初めて知ったことだった。ニッケルが地球表面には少ないことも、その理由も教えていただいたが、地球に大きな天体がぶつかってドロドロになったのだというのがとても驚いた。実際に隕石を使っての実験も、事前に説明を受けていたので今自分が何の操作をしているのかを理解しながら実験することができ、とても有意義であった。
  • 今回は天文の部分と化学の部分があり色々学べることができた。本物の隕石を見ることができたのが新鮮であり、ましてや隕石を使った実験なんて初めてでよい経験になった。実験結果は上出来とはいえないが、色の変化を見るのは楽しかった。地表にニッケルが少ないことや、隕石の地球への衝突の話が興味深かった。化学も好きなので今日は薬品を使った実験ということで一挙両得であった。
  • 隕石を生で見ることができて感激であった。ニッケルを調べることで隕石鑑定できることを初めて知った。白衣や帽子を身につけての実験は学校でもしたことがなかった。今までに見たことのない実験や器具をみることができてうれしかった。今回の実験で参加した生徒みんなの面白いところもみれてうれしかった。隕石を買いに行きたいと思う。頭の中はヘトヘトだけれどすごく楽しかった。
  • 学校の実験では使ったことがない薬品を使ったりしたので面白かった。液体が分離する性質を使って元素を分離することを考えた人はすごいと思った。鮮やかな赤色は出なかったが隕石であることが示せてよかった。難しい実験だったけど、高校に化学班をつくってまたやりたいと思った。実際に白衣を着てクリーンルームに入って実験をしたので本物の研究者になったみたいでうれしかった。今回の実験は6時間かかるが、次回の最先端機器を使った実験は短時間でできるので、最先端技術はすごいと思う。
  • 何をするのかと楽しみにやってきたらずっとやりたかった化学実験だった。隕石の成分も知らなかったし、地球にニッケルが少ない理由も知らなかった。溶媒抽出法での色の変化が感動的であった。鉄の分離が不十分だったため、溶液の色がどす黒くなってしまったが、ニッケルが存在する赤い色が見れてよかった。隕石のことに興味はあったが成分などを調べたことがなかった。今日の実験を通じてもっと隕石について知りたいと思った。高2から始まる化学実験が楽しみになった。

生物

西村いくこ (植物分子細胞生物学 教授)、田村謙太郎(同 助教)、嶋田知生(同 講師)

チューター:下野裕貴(修士過程1回生) 、河林壮憲(学部4回生)

実施場所:理学部2号館221号室

1)前半 担当:下野,田村,嶋田,西村)

 14時~30分間の講義(西村)

14時半~実習(3班に分けて)

イ)パーティクルガン(嶋田)

ロ)野生型アラビ播種(下野)、お土産に

ハ)共焦点顕微鏡(田村) 15時半~15分間休憩

2)後半 担当:河林、河本、嶋田

15時45分~15分間の講義(嶋田)

16時~実習

イ)電顕観察(河林)

ロ)切片作製・観察(河本・嶋田)

 

   
 

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 電子顕微鏡で切片を見る作業を体験した。20000倍という倍率は当然体験したことはなく、全く新しい世界で感動した。
    核や葉緑体など教科書に載っている形と実際に見えたものは違ったので驚いた。
    今回は遅刻してあまり実験できなかったが、次回は楽しみにしている。
  • 昔、下村博士がオワンクラゲの蛍光物質についての研究で、ノーベル賞をとったとき、何がすごいのかなんの役に立つのか全く理解できなくて、ずっと疑問に思っていましたが今日実際に使って植物の小胞体などを観察できて、その意味が少しでもわかってよかったです。小胞体は教科書に載っている姿を想像していたのですが、全く違う網目状で驚きました。なんであんな形で教科書に載っているのでしょうか?すごく不思議でなりません。
    また、植物細胞の中の液胞の大きさにとても驚きました。写真では、核もぺちゃんこでしたし、実物を観察することはとても大切なことなのだなと思いました。
    種の植え付けは思ったよりずっと面倒でした。まさかこの時代にあんな原始的な作業をしているとは思わなかったです。電子顕微鏡で直に葉緑体やミトコンドリアを観察することができてよかったです。電子顕微鏡ってすごいですね。
  • 本日は学校行事があって途中から参加させていただきました。まずやったのが、シロイヌナズナCS60000の種まきでした。等間隔に種をまくのがとても大変でしたが、何とかまくことができました。家に持って帰るのでどのように育つのか楽しみです。その後、電子顕微鏡で植物細胞を見ました。葉緑体を見ることができて、内部のチラコイドなどの構造が結構たくさんあって学校で習ったものと全然違っていたのに驚きました。さらに、ミトコンドリアを探そうと思って探していましたが、見つけられず写真でみることができましたが、学校の教科書で書かれているモデルと全然違っていてこれもまた感動しました。
  • 知識としては蛍光タンパク質などを知っていたが、今回実際に遺伝子銃を使い導入ができたのはよい体験だった。又、小胞体に対する考え方が、今回大きく変わったのが一番印象深い。袋状ではなく三叉路の集まりが、核周辺から細胞表面にかけて広がっているのは教科書の図では、イメージできないと思う。切片に関しては一度植物切片を手で作ったことがあるが非常に難しく、機械で切片を作成できることにある意味感動した。
  • ・分子生物学は今一番興味がある分野の一つだったので、いろいろと質問することができてよかったです。教科書に載っているような細胞図と実際の細胞とでは、全く異なる部分があり、細胞のリアルが見れてよかったです。特に小胞体のザルのような構造は面白かったです。そのザルの三叉路の切りつけの話や、ザルによる」原形質流動の話など本当に面白かったです。また、透過型は見たことがなかったので貴重な体験になりました。
    ・三叉路の話で、何のためにその形をしているのか、なぜ切れてまた新たな三叉路を作ったりするのか、などがわかっていないと聞き調べてみたいと思いました。小胞体が強度に関わるのだとしたら、テトラポットや三角形の構造を作っているのかなと思いました。
  • 今日一番驚いたことは,細胞の中の核が動くということです.今まで中学,高校と教科書で見たことが無くて,びっくりしました.その動く様子も見ることができて,今どきの機械は本当にすごいです.初めて電子顕微鏡も使わせてもらって,葉緑体の中を見ました.葉緑体の中を見るのは初めてで,中のチラコイドまで見ることが出来ました.GFPは青い光しか通さないことや,遺伝子組み換えしか見られないこと,根とかに棘がはえていることも初めて知りました.多くの初めてを体験させてもらって楽しかったです.次回も楽しみにしています.
  • タバコの細胞にオワンクラゲの蛍光タンパク質に入っているのを見ました.緑色に浮かび上がるように光り,とてもきれいでした.細胞中の核の分裂しているところはふちどられていて見やすくて良かったです.夏休みにクラゲが光るのを見たのですが,その光ととても似ていました.細胞にクラゲの蛍光物質が入っているシロイヌナズナを蛍光顕微鏡で見るとピントをうまく合わせると,表面のトゲや核が光っているのを見ることができました.葉に付いている露のようにきらきら光っていてきれいでした.次は寒天が入っているプレートの中にシロイヌナズナの種を播く実習をしました.細かい作業で大変だったけれど,芽が出たら達成感は凄いのだと思います.芽が出るので楽しみです.遺伝子等でタマネギにクラゲの遺伝子を金粒子にまぶしたものを撃ちました.葉緑体を電子顕微鏡で見たのもレンズをのぞくものではなかったので,変わっていて興味深かったです.核がうにょうにょ動くのも,小胞体が動くのも授業で扱ってないもので,初めて知ることができて感謝しています.

化学

道岡 千城 (金相学研究室 助教)

チューター:那波和宏(博士課程1回生)天野晶文(修士課程1回生)

実施場所:理学部6号館化学系学生実験室

 当研究室における実習では超伝導に関する講義と超伝導化合物の合成、超伝導物質特有の性質であるマイスナー効果を体験するための実験を行う。

 今回は超伝導に関する講義と合成した化合物の炉からの取り出し、浮上実験、研究室の見学を行った。

炉からの試料の取り出し 浮上するYBCO
実験室見学 超伝導に関する講義

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 自分で作った超伝導体がちゃんと浮いてよかった。講議の内容も疑問が多かったがなんとか理解できた。2時間でとても長かったが、時間を忘れる程、興味深かった。リニアモーターカーが実現不可能ではないことが分かった。
  • 超伝導の解説は難しくフェルミ粒子とボゾンの性質の違いぐらいしか分かりませんでした。グラファイトが自由電子を持つ理由が知ることができ、結合に対する考え方少しかわりました。フェルミ粒子を2つつけてボゾンにする発想はすごいと思いました。どうやったら2つをかためているのがも調べてみたいと思いました。
  • 最初の2時間超伝導のことを中心に理論などをみっちり話してもらって半分くらいしか理解することができなかったけど大学の先生の話を聞けて良かった。実際に磁石の上にYBCOをのせてマイスナ効果を確認する実験では、自分たちがつくったYBCOの錠剤が浮いて感動しました。
  • 超伝導のことを、少し知っていたつもりだったが、今日教えて下さったことは初耳で、とても勉強になった。ちょっと難しくて、よく分からなかったことも結構あった。まだ、よく分からないこともあったので、もっと勉強したい。
  • 超伝導の物質を作ることができて、とても面白かったです。超伝導のマイスナー効果は以前に1回だけ見たことがあったけれど、不思議だと思いました。液体窒素も、触ってもあまり冷たくなかったので、面白かったです。YBCOも、講議で原理が分かりよかったです。BCS理論も分かり、それが覆されるのがあるというのに興味を持ちました。
  • リニアモーターカーに利用されているのかなとずっと思っていたのですが違ったのですこしがっかりしました。ですが、自分達がつくった物が浮いたのでとても嬉しかったです。回転をしながら浮いていたのが不思議でした。抗議の内容は難しかったですが疑問が1つ解消したのでもっとこの分野について知りたいと思いました。あと高校の勉強をもう少し力を入れよう、と思いました。